急激な訪日外国人観光客の増加によるオーバーツーリズム問題が取り上げられている京都で、現在もう1つの公害「看板公害」が問題になっています。インバウンド対策として、街のいたるところで見受けられるようになった看板が加速させる「看板公害」の背景と現状をふまえ、訪日客のマナー対策の課題について見ていきましょう。
訪日ラボのメールマガジン登録はこちら>(無料)京都で表面化している「看板公害」とは
京都における訪日外国人観光客の急増がもたらすオーバーツーリズム問題は、"看板の氾濫"が引き起こす景観破壊「看板公害」にも影響を与えていると言えます。観光名所や由緒ある神社仏閣においても、入り口や順路、トイレの場所を"指示"する看板から、撮影禁止・境内禁煙などの "注意"を促す看板まで、ありとあらゆる看板で溢れているのが現状です。

神聖で潔癖な清らかさが特徴の神社仏閣や、歴史的な趣ある街並みが魅力のはずの通りで、指示・注意・宣伝用の看板ばかりが目に入ることは、景観保全に取り組む上での大きな阻害要因となっています。「看板公害」はインバウンド誘客が活発化する以前から問題となっていましたが、訪日客の急増による多言語対策が、「看板公害」をさらに加速させていくと懸念されます。
看板での多言語表示は本当に必要?
インバウンド対応の1つとして現在国内で積極的に取り組まれている多言語対応ですが、元々過剰な看板が多言語化することで、「看板公害」誘発の懸念が高まります。看板のみならず、観光名所や商業施設などでマナー喚起のために繰り返し流れる多言語アナウンスも、精神的なストレスになり得るでしょう。
実際に、国の取り組みで多言語表示に関するルールの規定や、看板に頼らずアプリで多言語対応を実施している例もあります。観光庁は「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」で、「駅名表示・立ち入り禁止・展示物の理解などに関する基本ルールは、日本語と英語の2言語」というように、ルールとして記載しています。総務省は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、日本語・英語・中国語・韓国語・ベトナム語など31言語に翻訳可能なスマートフォンアプリ「VoiceTra」を運用中です。
景観破壊を引き起こしかねない過剰な看板による多言語表示ではなく、アプリなどのテクノロジーを用いた解決策も、今後求められるでしょう。
看板を掲げても改善されない訪日客のマナー違反
訪日客に対するマナー喚起の役割でも看板が広く活用されていますが、花見小路で芸妓さんや舞妓さんを取り巻く「パパラッチ観光客」や木造建築物の軒先での喫煙、飲食などのマナー違反は跡を絶ちません。
海外でも観光客のマナー違反が問題になっている一方で、より強行な手段で対策に乗り出している都市もあります。イタリア・フィレンツェでは、世界遺産の周囲で飲食をしゴミが散らかるといった問題に対し、市がランチの時間帯になったら周囲に水をまき、人が居座れないよう強行策を講じました。
日本においても看板に頼りすぎるのではなく、罰金を課すなど、今後はより強行な対策の検討も求められるでしょう。看板であらゆる行動を規制し、マナーコントロールを目指すには限界があると言えます。
まとめ:看板以外の新たな多言語&マナー対策導入が急務
京都では、"看板の氾濫"による景観破壊「看板公害」の誘発が懸念されています。今後は看板に頼り過ぎないインバウンドの多言語対策やマナー対策が必要になってくるでしょう。海外の事例のように強行策を講じる検討をするほか、多言語対策においてはアプリなどのテクノロジーを活用した解決策の効果が期待されます。
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