スポーツツーリズムと観光の関係/インバウンド誘致の事例・失敗例や課題は?

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スポーツツーリズムとは、スポーツ観戦のための旅行、それに伴い周辺の観光地に足を運ぶことや、スポーツ選手と交流するための旅行など、スポーツに関わる旅行のすべてを意味します。

国内や海外への旅行が一般的になり、旅行の目的も多様化してきている中、現地体験を重視する「コト消費」の流行も顕著となっています。

こうした中で、スポーツツーリズムの可能性にも注目が高まっています。スポーツツーリズムの推進は、これまで以上の旅行者の誘致や地方の活性化の可能性も秘めています。

日本では、2019年は9月にラグビーワールドカップが行われ、2021年はオリンピックが控えており、これまでにないスポーツツーリズム推進のチャンスだといえるでしょう。

この記事では、スポーツツーリズムの意義や目的、スポーツツーリズムを推進してインバウンド誘致や地域の活性化につなげた事例について紹介します。

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スポーツツーリズムとは?

スポーツツーリズムとは、スポーツに関連した旅行と観光を意味します。

日本のスポーツツーリズム

日本はアジアでも有数のスポーツ先進国です。国技である大相撲をはじめ、プロ野球、サッカーJリーグ、ゴルフやラグビーなど、さまざまなスポーツが盛んに競技されまた観戦されています。

このほかにも全国各地でマラソン大会やウィンタースポーツなど様々なスポーツイベントが開催されています。

2011年には政府で「スポーツツーリズム推進基本方針」が取りまとめられました。この方針は、こうしたスポーツ分野の盛り上がりを、訪日外国人や国内旅行の振興を図るスポーツ資産として活用することを趣旨としています。

こうした方針を受け、日本は官民を挙げてスポーツツーリズムに取り組んでいます。

2019年のラグビーワールドカップの際には、会場となったエリアで訪日外国人の姿も多く見られました。

この先は2021年のオリンピックが予定されており、ここにもその取り組みの成果が表れることが期待されています。

スポーツツーリズムの意義・目的

観光庁に設置されているスポーツツーリズム推進連絡会議事務所では、スポーツツーリズム推進の意義を「観光立国日本」を実現することにあるとしています。

スポーツツーリズムの推進は、スポーツの振興だけではなく地域の活性化、産業の振興、国際交流の推進など、日本の観光産業を成長させるための大きなカギを握っています。

スポーツツーリズムによって新しい旅の魅力を作りだし、訪日外国人の誘致および国内旅行の活性化を図ることで交流人口の増加を目指しています。さらに、多種多様な観光資源を有効に活用して日本の観光力を向上させる目的があります。

東京オリンピック日程いつから?

※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年延期され、開会式は2021年7月23日(金)、閉会式は2021年8月8日(日)となりました。2019年3月、東京オリンピック開催まで500日を切りました。また4月にはパラリンピックまで500日の節目の日となっています。2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会では、史上最多の33競技・339種目が42もの競技会場で開催されます。4月には東京オリンピックの競技日程が発表されました。今月5月9日には競技観...


スポーツツーリズムの推進によってインバウンド誘致・国内旅行を活性化

近年では、FIT(海外個人旅行)と呼ばれる、ツアーを利用しない個人旅行が広がっています。

スポーツツーリズムの推進はこうしたFITのニーズを満たすことにもつながりますので、結果として訪日外国人の誘致や国内旅行の活性化を実現します。

スポーツツーリズムが地域の新たな魅力を創出

スポーツツーリズムは新しい言葉のようですが、日本でも昔からスポーツツーリズムによる観光客を受け入れてきました。

たとえば今から55年前の1964年東京オリンピックです。当時、交通網の整備や宿泊施設の提供、その他観光に関わる様々な設備が整えられ、このイベントにかかわる人々の滞在や観光を可能としました。

またスキー、ゴルフ、マリンスポーツ、テニスといったスポーツをするための旅行をしたことがある方は少なくないでしょう。リゾート地と自然環境の中でするスポーツは密接にかかわりがあります。

こうしたスポーツ設備は、リゾート地において現在優先的に整備されています。その地域の気候に適したスポーツイベントや大会は、こうした領域に関心の高い人々にとって大きな魅力となります。結果、地域に人を呼び込み、経済の活性化につながるでしょう。

このように地域の自然環境や立地、気候などを把握してスポーツを資源と考え、その資源を守りながら最大限に活かす方法を考案できれば、地方創生の一つの方策となります。

爆買いとは

「爆買い」とは、主に訪日中国人による一度に大量の商品を購入する行為をいう俗語です。2015年には流行語大賞を受賞するほどの社会現象となりましたが、昨今は以前と比べ下火になったとの論調もあり「爆買いは終わった」といわれることもあります。 一方で最近でも、ドラッグストアや小売店に足を運べば、そこにはやはり日用品や医薬品を購入する訪日中国人の姿があります。しかし、広く訪日外国人観光客の消費傾向が「モノ消費」から「コト消費」へと変化していることも事実です。 この記事では、果たして爆買いは本当に...


新たな観光客の獲得のチャンスに

スポーツは、競技に参加する人はもちろんのこと、観客、運営、地域の居住者に一体感を生み出します。その空間を共有した者同士の交流は、普通の観光よりも、より深い思い出に残るものとなります。

深い感動を味わったその地域への愛着も感じる可能性も大いにあります。こうした心情が、将来またその場所を訪れる動機になり、リピーターの獲得という結果につながることもあるはずです。

定期的にスポーツの大会やイベントを行うことで知名度の向上を図ることもできるでしょう。スポーツツーリズムの推進は集客のチャンスを拡大することになります。

スポーツツーリズムによる地域活性化/成功事例と失敗のリスク

スポーツツーリズムにより認知度の向上と集客に成功している地方の取り組みを紹介します。

事例1. 北海道のニセコ「パウダースノー」の認知度向上で観光客が増大

今では世界中からスキー観光客がこぞって押し寄せるニセコ地域ですが、ニセコが国際的に有名になるまでには、ニセコ市長を始め、倶知安町、札幌市、北海道庁当局からの協力体制がありました。

米国市場向けのPRなどが成功して「ニセコ」という名前と「パウダースノー」の認知度は高まりました。

またマレーシアとタイからの直行便も就航して、ビジネス拡大の一端を担っています。

こうした2009年から2014年の間に、ニセコでの延べ宿泊数は20万9,700泊から44万300泊まで拡大しました。

2020年にはラグジュアリーホテルのリッツカールトンも開業予定となっています。

スポーツツーリズムを主眼においた施策により、ニセコは世界的なスキーリゾートとして地位を確立したといえるでしょう。

事例2. 広島ではタイ人のサッカー選手がJリーグ加入し話題に

タイでは広島(Hiroshima)の知名度は非常に高くなっています。

2018年にタイの国民的英雄と言われるほどの人気を誇るティーラシン選手がJリーグチーム「サンフレッチェ広島」に期間限定で加入したことが理由です。

ティーラシン選手のJリーグに加入が、タイ人の広島に対する認知を爆発的に向上させました。タイでは広島というワードがよく検索されるようになり、広島ブームが起こりました。

その他のスポーツツーリズムの成功事例はこちらでご紹介しています。

スポーツツーリズムとは

2018年の訪日外国人数が史上初めて3,000万人を突破し、今後も訪日外国人観光客の増加が見込まれています。2020年の東京オリンピックに向けて日本の国際的注目度が高まると同時に、ここ数年は訪日外国人観光客のスポーツへの関心が高まっています。スポーツを目的とした旅行を「スポーツツーリズム」と呼びますが、それはどのようなものなのでしょうか。日本国内のスポーツツーリズム成功事例も合わせて見ていきましょう。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、イン...

失敗やその他のリスクは?

スポーツツーリズムにより訪日外国人による観光市場の盛り上がりが期待できる一方で、すでに人気観光地となっている鎌倉や京都のような地域で見られている、オーバーツーリズムのリスクがあります。

具体的には、観光客があまりに多く、住民の日常生活に支障が出てくるといった事象が見られています。観光客の集客に熱心になることで、生活圏としての価値を失ってしまうリスクがあるといえるでしょう。

またニセコ地域では外国資本による観光施設の運営も増えており、訪日外国人による観光経済の活況が日本経済の活性化につながっていないという現状もあります。

また特定の人材に頼ったスポーツツーリズムの振興には、その人物の不在により大きな影響を受けるリスクもあります。持続的な発展、観光地としての地位確立を目指すのであれば、スポーツツーリズムを主軸に置くにしても多様な観光資源の確保に取り組むべきでしょう。

スポーツツーリズムはインバウンド市場拡大の起爆剤

スポーツツーリズムは決して新しいコンセプトではありませんが、コト消費の機運が高まる今、ブームに乗ってさらなる集客を図るチャンスだといえます。

地域に根付いたスポーツや新たなムーブメントをターゲットを定めて打ち出し、訪日観光客にとっての新鮮な魅力を作り出すことができれば、インバウンド市場拡大の起爆剤となるはずです。その際、官民が一体となりスポーツを資源として守り、育てていくことが有効な手段となるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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