外国人対応の研修とは | 接客業の現状・3種のツール・おもてなしの品質を向上させる研修サービス2選

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小売店飲食店宿泊施設などでは、訪日外国人観光客を受け入れる機会が増えています。しかし、英語でのコミュニケーションや外国人ならではの対応に関し不安を感じる場合も少なくないでしょう。

和歌山県某市では多言語に対応する音声翻訳アプリを消防本部へ導入し始め、また静岡県では外国人の宿泊や観光のサポート強化を目的に、宿泊、観光施設観光案内所を利用する外国人のための多言語コールセンターを今夏設置することが報道されています。

この記事では、訪日外国人を受け入れる飲食店旅館ホテルなどの施設で訪日外国人が困っていること、そしてこうした訪日外国人のニーズを満たすために実施されている研修とその内容を紹介します。



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訪日外国人が困ったこととは?

この数年、訪日外国人の数は増加を続けており、2018年には初めて3,000万人を突破しました。これは、JNTO(日本政府観光局)が統計を取り始めた1964 年以降、最多の数字です。

増え続ける訪日外国人は、どんなことに不満を抱えているのでしょうか。

6年連続で過去最高を更新

訪日外国人数は、2013年より6年連続、過去最高を更新しています。

また政府は、東京オリンピック・パラリンピックの開催される2020年には訪日外国人数4,000万人まで引き上げるという目標を掲げています。

コミュニケーションが取れないことに不満を持つ訪日外国人が多数

こうした中、訪日外国人を対象に観光庁が行った訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」(対象期間:2017年9月~10月)では、「日本での旅行中に困ったこと」という質問に対し約3割が「困ったことはない」と回答しました。

続いて困ったことの上位に挙がったのは「施設等のスタッフとのコミュニケーション」です。この回答を選んだ訪日外国人は26.1%であり、困ったことのない訪日外国人とほぼ同程度、不便を感じている旅行者がいることがわかります。

この結果からは、訪日外国人の満足度を上げるためには、多言語対応の整備が必要であるということがわかります。

またこの数年、中国語を母語とする訪日外国人も非常に多くなっています。また、タイベトナムからの観光客も伸びており、英語以外の言語への対応が求められているといえるでしょう。

訪日外国人が困ったことについては、下記の記事で詳しく解説しています。

外国人観光客が日本で困ったこと1位は「コミュニケーション」/4割がスマホで解決

目次外国人はコミュニケーションに困っている…もはやWi-Fiが一番の困りごとではない日本人は英語が話せない? 訪日外国人が困ったこと1位は「コミュニケーション」一方で外国人は自分のスマホを使って「言葉の壁」を解決まとめ外国人はコミュニケーションに困っている…もはやWi-Fiが一番の困りごとではないゴールデンルートと呼ばれる東京、大阪、名古屋の観光名所のみならず、地方の田舎町を訪れる訪日外国人観光客が急増しています。しかし、「英語ではなしかけられたけれど対応できない」「メニューの説明ができな...

接客業における訪日外国人対応の現状

TOEIC Programを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が、2018年2月に実施した「訪日外国人への接客に関する実態調査」によれば、接客担当者の約3割が1ヶ月に10人以上の訪日外国人を接客しています。

ここでは、接客業における訪日外国人対応の現状について紹介します。

訪日外国人対応は、接客担当者個人のスキルが頼り

先述の「訪日外国人への接客に関する実態調査」では、飲食店旅館ホテルなどの施設がどのような対応をしているかを確認するために「あなたの会社/お店で、外国人の接客のために何か用意していることはありますか。(複数回答可)」という質問項目も設けています。

その結果では「会社/お店で用意していることはない」が全体の49.6%と約半数を占め、現状では接客担当者個人のスキルを頼りにしているという現実が見えてきました。

用意しているものでは「定型文が書かれた資料(31.6%)」「外国人が見て分かりやすいイラストや写真(29.0%)」が多数派となりました。また両方が用意されていると回答したのは全体の17.6%となりました。

訪日外国人のための対応ツールは「ノートとペン」「メモ」「タブレット」

また「外国人を接客するために個人で用意していることはありますか。(複数回答可)」と質問したところ、「個人で用意していることはない(51.4%)」が会社やお店の対応と同じく約半数を占めました。

また用意している方に何を用意しているか尋ねたところ「ノートとペン(29.0%)」「接客用の簡単な英語が書かれたメモ(24.6%)」「タブレット・スマートフォンに翻訳アプリを入れる(23.2%)」に分散されました。

接客業向け!訪日外国人のおもてなし研修サービス2選

前段で紹介した国際ビジネスコミュニケーション協会の調査では、組織・個人の約半数が全く対策を行っていないことがわかりました。ただし、訪日外国人の接客に関する研修をしていると回答した飲食店旅館ホテルなど宿泊施設12.6%存在します。

こうした研修では実際に訪日外国人を接客する現場にいた講師から、訪日外国人を接客する際に役に立つ技術や、接客に必要な知識を習得できます。

ここでは、大手企業による2つの事例を紹介します。

1. 訪日外国人おもてなし研修・接遇&マナー|ANAビジネスソリューション

日本を代表する航空会社の一つであるANAグループが行う研修サービスです。同社従業員の経験と実績をベースに、言葉の壁・心の壁から生じる外国人への苦手意識を払拭することを重視しながら、「接遇=おもてなしの心」の表し方を学べるプログラムになっています。 

講師は全員ANAグループの客室乗務員経験者であり、業務において経験した異文化との接触、付き合いをベースに演習を交えながら研修を進めます。

英語への苦手意識を持つ日本人が多い中、言葉以外のコミュニケーションの重要性といった外国人対応の核心を学ぶことのできるプログラムであり、外国人対応力の向上が期待できます。

2. 訪日外国人旅行者対応おもてなし研修|JTB総合研究所

旅館ホテルなどの宿泊施設観光施設の従業員、飲食店の従業員、外国人旅行者と接する人を対象に、3時間の半日研修を約50万円から提供しています。

地域の実情を踏まえ、その地域における旅行者の主たる国籍等を考慮した研修内容が特徴です。

研修では、観光が果たす役割や重要性についての理解を深め、「会話だけにこだわらないこと」「仕組みづくりをすること」といった訪日外国人の接客技術、また国別・宗教別の専門知識などを身につけます。

「また来たい」と思ってもらえる環境づくりを目指して

メニュー・案内板の多言語化などのハード面も、インバウンド対策のうち重要度の高いものではあります。

しかし同時に、訪日旅行中に外国人が受ける接客の体験は、訪日旅行の醍醐味の一つでもあるはずです。接客シーンの満足度を上げることで、訪日外国人から「また来たい」と思ってもらえるのではないでしょうか。

また、英語力と、訪日外国人をもてなす能力は必ずしもイコールではありません。研修では会話以外での対応も重視しています。こうした研修を受けることは、訪日外国人集客の大きな助けとなるでしょう。


【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

  • 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
  • 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
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宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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