多くの訪日外国人が観光の拠点とするのが、ホテルなどの宿泊施設です。ホテルには「コンシェルジュ」と呼ばれる、宿泊客の要望や希望にこたえることを専門としているスタッフがいます。
コンシェルジュの仕事は宿泊客の要望を聞き入れ、一元的に対応することです。要望の内容は「近くにあるレストランを教えてほしい」というようなものから「コンサートのチケットを取ってほしい」「誕生日プレゼントを代わりに買ってきてほしい」というようなものまで様々です。
こうしたユーザーの個別の要望に細やかに応えるサービスは、インターネットサービスにも取り入れられています。最近ではウェブサイトにチャットツールを実装し、AIによる受け答えが提供されていものも少なくありません。
宿泊施設に関連したこうした「AIコンシェルジュ」は、実際のコンシェルジュのように何かを予約してくれたり代わりに購入してくれるものではありませんが、滞在に関係する不明点を即時に回答することで、顧客の満足度を向上させています。また、増加する訪日外国人に対応できる多言語でのサービス提供開始も報じられています。
今回は、ユーザーにとってより満足度の高いサービスを提供するコンシェルジュという仕事の仕事内容、給与、やりがいなどを紹介していきます。
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コンシェルジュとは?
コンシェルジュとは、ホテルなどで客のさまざまな要望を聞くスタッフのことを指します。ホテルのほかには、百貨店やショッピングモール、マンションに常駐するコンシェルジュもいます。
もともとは、フランス語でアパートの管理人を指すConciergeという言葉で、日本語で発音するとコンシェルジュ、またはコンシェルジェとなります。日本語の訳は特にありませんが、しいて言えば「よろず承り係」となるでしょう。(よろずとは「すべてのこと」の意味)
規模の大きなホテルや高級ホテルでは、フロントとは別にコンシェルジュカウンターが設けられているケースが一般的ですが、小規模のホテルではフロント係がコンシェルジュ業務を兼任していることもあります。
また、日本国内では役所や百貨店にもこうした肩書きの人員を配置し、個別の要望に細やかに応えることを目指す動きもあります。
仕事内容は?
コンシェルジュは、客の要望に合わせて業務を行うため、業務内容は多岐にわたりますが、主なものとしては以下のような業務があります。
- 周辺観光の案内
- 荷物の発送・受取代行
- レストランの予約代行
- コンサートチケットの予約代行
- 病院の手配
上記以外にも、自らの裁量で行える範囲の業務については臨機応変に対応する必要があり、とっさの判断力や経験が問われます。
「マンションコンシェルジュ」もある
一般的にコンシェルジュは、ホテルコンシェルジュを指しますが「マンションコンシェルジュ」という職もあります。
マンションコンシェルジュは、高級マンションにおけるサービスで、クリーニング代行、宅急便の一時預かり、訪問客の案内など、居住者の要望に対応することが主な業務となります。
先述の通り、コンシェルジュはマンションやショッピングモール、百貨店などにおいても活躍する職ではありますが、この記事ではホテルコンシェルジュにフォーカスし、その業務や給与待遇、職業としてのメリット・デメリットについて紹介していきます。
コンシェルジュになるために必要なスキル、心構え3点
コンシェルジュになるのに必須の資格などはありません。スタートとしてはホテル業界に就職する、またはホテルマンの養成学校に入る、などがあります。養成学校を経ずにホテル業界に就職する場合は、はじめに清掃係やフロント係として業務を行い、ホテル内の基本的な業務を覚えたのちにコンシェルジュとして勤務するケースが多いです。
養成学校を卒業しており、既にホテルマンとしてのマナーや、業務についての基礎を心得ている場合には、新卒でコンシェルジュとしての業務を任されることもあります。
1. 外国語が話せる必要がある
近年ではインバウンド需要の高まりにより、様々な業界で外国語対応が求められていますが、ホテル業界も例外ではありません。訪日外国人の宿泊客が多いホテルでは、英語での対応ができることがコンシェルジュの必須スキルとされているホテルもあります。また、訪日外国人の約半数は、中国、台湾、香港といった中国語を母国語とする人々のため、英語に加え、中国語を話せるコンシェルジュは重宝されています。
2. 周辺の観光地やレストランなどの知識が必要
ホテルの宿泊客は遠方からの旅行客が多いため、周辺の地理に詳しくない人がほとんどです。こうした宿泊客に対し、コンシェルジュはホテル周辺の主要観光地だけでなく、宿泊客の好みに合ったおすすめのスポットやレストランを紹介する場面もあります。
普段から周辺の施設や人気のスポットについて把握していなければなりません。日頃からいろいろな領域に関心を高め、関連した情報を豊富に蓄えて初めて、宿泊客の多種多様な要望に応えられるようになります。
3. 他の業種とも関わりをもつ
上記に挙げた周辺情報についての問い合わせが最も多いですが、コンシェルジュにはそれ以外にも様々な要望が寄せられます。
そこで各種交通機関や観光地、病院など様々な業種の方とコネクションを持っておくと役立つことが多いでしょう。コンシェルジュにとって人脈を広く持つことは業務のパフォーマンスに直結します。
コンシェルジュの給与はどのくらい?
続いては、コンシェルジュの給与について紹介していきます。
年代やキャリア、勤務地によって異なる部分はありますが、平均としては年収400万円~600万円台の場合が多いようです。月収にすると17万円~35万円ほどと一般的なホテルマンの給与と近いです。
コンシェルジュのキャリアの積み方としては、業務経験を積み、年長者となってからは日常のコンシェルジュ業務のかたわら、若手のコンシェルジュを育成するようになるケースが一般的です。
実は海外では日本以上にコンシェルジュの役割が重要視されており、勤務するホテルや仕事のパフォーマンスによっては支配人と同程度の待遇を得られる場合もあります。
コンシェルジュになるメリットは?どんなやりがいがある?
決して楽ではないコンシェルジュですが、その業務に携わるメリットもあります。
まず1点目として挙げられるのは、宿泊客からの感謝が直接伝わる点です。要望に応えるという対面でのサービスのため、客のニーズに合わせた対応ができれば、感謝を伝える客の表情や言葉から達成感を得られることは間違いありません。
2点目は、自らの業務によって宿泊客の満足度を大きく上げられる点です。コンシェルジュは、フロントと同様に、ホテルの顔として業務を行うため、宿泊客の満足度を大きく左右します。その分、プレッシャーもありますが、宿泊客の満足度を上げることができた際の喜びはひとしおでしょう。
2つのデメリットとは?
上記のようなメリットがある一方で、コンシェルジュになるにはもちろんデメリットもあります。
デメリットの1点目としては、勤務時間だけが仕事ではない点です。日頃の情報収集や人脈形成が、顧客に提供できる価値に直結します。コンシェルジュは業務時間外であってもこの2つをおろそかにすることはできません。
2点目は、就業時間が不規則になりがちな点です。宿泊施設であるホテルは24時間営業のため、シフト制での勤務が基本となります。結果として就業時間や休日が不規則になってしまい、ワークライフバランスを整えることが難しいかもしれません。
多くの知識が必要だがやりがいのある仕事
コンシェルジュが日常的に集積する知識、人脈、経験は、顧客に提供できるサービスの質を左右します。こうした業務時間外での活動や、求められる臨機応変な対応の程度が高いため、その業務は非常に難易度が高いと言えるでしょう。
同時に、自らの働きぶりが宿泊客の満足度に直結している点や、宿泊客から感謝の言葉を直接耳にすることができる点など、やりがいも多いな職業です。今後インバウンド市場が拡大するにつれて、注目のポジションとなっていくでしょう。
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