経済成長著しく、国内の経済格差も残る中国では、「欲しいに対してはいくらでも払う」という消費者も珍しくありません。そして、欲しいものは中国国外であっても手に入れたいと考える人も少なくありません。
そんな中国人が好きな日本製品と言えば、化粧品や医薬品・医療サービス、そしてアニメです。古くは「一休さん」「聖闘士星矢」、その後は「ドラゴンボール」そして「ワンピース」などなど、数え切れぬ日本のアニメ作品が中国人を熱狂させています。
コンテンツだけでなく、グッズやコンセプトカフェといった体験型の関連商品にも大きな需要があります。こうした「グッズ」を対象に、中国ではもはや日常的行為ともいえる「転売」を仕掛けようとした中国人がいました。この現場に居合わせたTwitterユーザーにより、販売店の秀逸な対応についてネットで称賛の声が集まっています。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
国民的アニメ『エヴァンゲリオン』新作一部公開が決定、事件の発端はフィギュアの予約受付
日本でシリーズ開始からファンから絶大な人気を誇るアニメ作品「新世紀エヴァンゲリオン」は、日本のオリジナルテレビアニメです。「エヴァンゲリオン」「エヴァ」の名で知られ、1995年10月のテレビアニメ放映開始前から平行して漫画連載があり、2006年には新たな設定とストーリーで再構成された映画作品も上映されています。
この映画は4作構成で、2007年『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』、2009年『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』、2012年『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』と、現在までに3作品が公開されています。年単位の時間の経過にも関わらず、コアなファンがこうした上映を待ち望んでいるだけでなく、作品の公開に伴い新たにファンが生まれています。
そして一昨日の6月24日、2020年に公開が予定されている4作目の作品『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の一部が、2019年7月6日にフランスのパリで行われるJAPAN EXPOにて上映されることが発表されました。Twitterには期待を寄せるファンの声が見られます。
人気フィギュアの予約開始
この発表と時をほぼ同じくして、本年11月から販売されるエヴァンゲリオンの新作フィギュアの店頭予約の受付が開始しました。
メーカー希望小売価格は税込み24,200円、受付場所は小売店の玩具売り場等です。
このフィギュアは商品名を「METAL BUILDエヴァンゲリオン2号機」といい、商品名に「メタル」の文字が入っていますが、モデルとなる作中のロボットをイメージし、金属の雰囲気を損なわないデザインに高い評価が集まっています。ガンダムの登場人物をモデルにした商品や、同じくエヴァンゲリオンの登場人物である「初号機」がこれまでに販売され、また販売開始から1年未満ですが再販も決定しています。
こうした人気作品めがけて、ファンだけでなく、転売を目的に購入をもくろむ人々が長打の列を作りました。
プレ値フィギュア目当ての「転売ヤー」で長蛇の列
こうした長蛇の列は、秋葉原、池袋、京都といった大都市で目撃されています。現場にいたTwitterユーザーによると、転売目的の予約者の中には、中国人も多く並んでいたようです。

Twitter:エヴァンゲリオンの新作フィギュアの予約列に並ぶ人々の画像(https://twitter.com/XFNOISE1/status/1143082931675512833)
こうした事態に対し、販売店はメーカーの販売目的を振り返り「商品がファンのもとに届くように」と配慮を働かせたようです。販売店の一つである京都タワー横にある京都ヨドバシ(ヨドバシカメラ マルチメディア京都)では、「転売目的で来ている外国人の方には売れない」ことを、中国語も交えてアナウンスします。
争う声も「商品名・作品の好きなところを答えてください」一蹴
また、これだけでは国籍で販売相手を選別することになり、差別問題まで発展しかねません。そこで、京都ヨドバシでは「商品名が言えるか」「エヴァ(今回問題となったフィギュアの原作)の好きなところを言えればよい」という判別方法をとりました。
転売目的ではなく本当にそのフィギュアをほしい人は、当然商品名を言うことができるでしょう。また、作品の好きなところも簡単に答えられます。しかし、転売目的だけの購買者には難しいでしょう。これによって、販売店は真のファンだけを見抜こうと努めたのでしょう。
こうした姿勢と機転をきかせた対応に、ネットではファンはじめ称賛の声が多く上がっています。
予約を拒否された客の中には、わめいたり暴れたりする人もいたと言います。この人物は予約者本人がエヴァンゲリオン作品のファンではないと判断され、予約には申し込みができなかったとみられています。目撃者によれば、この人物は中華圏の出身であったようです。
中国での転売市場の大きさ
中国では転売は非常に日常的に行われており、専業に取り組む人もいれば、旅行のついでに購入する人もいます。今回、ファンではないのに予約を試みた人物の販売相手が日本人なのか、日本在住の中国人含む外国人なのか、あるいは中国国内の中国人なのかははっきりとはわかりません。
ソーシャルバイヤーと呼ばれる中国人たちは、大量に日本製品を購入し、中国国内の中国人に販売しています。商品情報の拡散にはWeiboやWeChatのグループなどが利用されており、ソーシャルバイヤーを通じて正規には輸入されていない海外製品の購入を楽しみにする消費者もいます。
一方で、ソーシャルバイヤーを通じた商品の販売には、今回日本国内でも見られたような不当な価格のつり上げや、医薬品のような使用方法に注意の必要なものがその詳細を知らされないまま消費者の手に渡ってしまうというリスクがつきまといます。
まとめ
商品によっては、メーカーにとっても重要な販売経路となりうるソーシャルバイヤーですが、消費者の「利益」を考えた際、全ての製品においてソーシャルバイヤーによる転売を手放し肯定してよいのかというと、そうでもありません。
今回話題になったフィギュアは、中国でも広がる「オタク」にとっては喉から手が出るほど欲しいものであると考えられます。中華圏の予約希望者がおり、その購入意思を強く主張したことの裏側には、そうした中国の「オタク」の大きな消費意欲が隠れていると言えるのではないでしょうか。
日本だけでなく、世界中のファンに適正な価格で商品が販売されるような仕組みが今、必要なのかもしれません。
<参照>
- 画像:公式特設サイトよりキャプチャ
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!