今年始め、「ハードロック・カフェ」で知られるハードロック・インターナショナルは、北海道苫小牧のIR構想模型を公開し、同地でのリゾート開発の意向を明らかにしました。その後の報道で、5,500億円以上を投資する意向であることが伝えられています。
北海道で通年型リゾートを経営するルスツリゾートもIR事業へ参加を発表し、国によるIR事業者の選考結果はまだ発表されていません。
苫小牧の自然を守りたい地元住民からは反対意見もあります。今回は、海外ですでにいくつものIR事業を成功させているハードロック・インターナショナルの北海道でのIR事業の構想を紹介します。
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ハードロックはIR事業を見込み先駆けアクション
2019年1月9日・10日に行われた「第1回北海道IRショーケース」で、ハードロック・インターナショナルは北海道におけるIR事業構想「ハードロック・エクスペリエンス」の概要を伝える特設ブースを出展しました。ハードロックカフェを象徴するギター型のエントランスを設置し、自社所蔵品のマイケルジャクソンが使用したジャケットやグローブを公開するなどで強烈な個性と音楽をイメージした「音楽をDNAに」のコンセプトを伝えています。施設名は「ハードロックエクスペリエンス」で、北海道苫小牧の広大な土地と資源を生かした体験型の施設を建設する計画を打ち出しています。またハードロック・インターナショナルは、この構想に先駆けて、また同時並行で北海道での様々な活動を展開しています。
例えば、地元サッカーチームの北海道コンサドーレ札幌のオフィシャルトップパートナー契約、2019年の北海道雪祭りでのファミリーコンサートなどです。
懸念されるギャンブル依存への対策
カジノを含めたIRリゾート開発の目的は、観光客へのサービス提供です。ギャンブルを行う施設であるカジノというと、パチンコのような依存性のある行為と思う人も多いかもしれませんが、例えば高級レストランのような、非日常感を味わう理性的な消費を想定しています。カジノの会場には入場料や入場階数の制限を設定し、ギャンブル依存の性質を引き下げるようなサービス設計が予定されています。すでにこの分野で実績のあるハードロック・インターナショナルに施設の設計や運営を任せることで、こうしたギャンブル依存の可能性を引き下げることも期待できるでしょう。
IR事業提案に含まれた5つのプラン
ハードロック・インターナショナルは、苫小牧でのIR事業において、有名アーティストのIR施設での公演、また環境を活かしたアクティビティや、提携スポーツチームによるコンテンツの創出による集客を計画しています。
1. ブロードウェイホール
世界中で魅了させる舞台が定評のあるエンターテイメント企業のネダーランダー・ワールドワイドとの日本国内専属契約を結ぶ構想があります。実現した場合に、日本国内で唯一、ブロードウェイショーが楽しめる施設となる予定です。2. 10,000人を収容できるライブ会場「Hard Rock Live」
1万人が収容できる大型ホールを建設により、鑑賞を目的とした訪日客の増加が見込まれます。3. 室内スノーアクティビティ「ウィンターワンダーランド」
安定した室内スノーアクティビティが楽しめる「ウィンターワンダーランド」で年間を通したウィンタースポーツが楽しめます。冬の魅力が存分に味わえるので、日本の四季やウィンタースポーツに関心の高い訪日客の来訪が期待できます。4. アイヌ文化展示+アメリカの「メモラビア」
ハードロック・インターナショナルはIR事業を通じて、文化の継承を実現しようとしています。北海道のアイヌ文化への認知を高めるため、アイヌの歴史と食文化の体験ができる施設を作り、またロックの有名アーティストが使用した楽器と衣装などの貴重な所蔵品を展示する「メモラピア」を施設内に建設する予定になっています。5. 協力な提携企業
ハードロック・インターナショナルは、MLBヤンキーズとパートナーシップ契約を結んでいます。北海道でIR事業を開始した場合には、北海道でも関連したコンテンツの展開が期待され、その集客力はかなり大きいと考えられます。
ホテル事業も、国際的ホテルチェーンのフォーシーズンズ・ホテルにより提供されるため、上質なサービスとなると見られています。
まとめ:これまでなかった「音楽」による集客へのフォーカス
これまですでに複数のIR事業を手掛けてきたハードロック・インターナショナルの苫小牧におけるIR事業展開には、多数のメリットがあるように見えます。カジノの運営による国や地方への納税が期待でき、雇用の創出にもつながるでしょう。
特に、ハードロック・インターナショナルの構想は「音楽」「文化」を中心に据えたもので、これは現在の訪日観光客の潮流にも合致したものです。こうした大規模で全面的な取り組みは他には見られず、北海道という広大な土地とハードロック・インターナショナルの資本によって初めて計画できる内容となっています。
IR施設建設によるギャンブル依存発生への懸念の声は絶えませんが、敷地内におけるカジノが占める面積は3パーセントと小さく、カジノ以外の施設の存在も健全な環境を守ると考えられます。今後の展開には日本全国からの注目が集まります。
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