人手不足の酒蔵がインバウンド客を満足させられるワケ:ニーズを見極め専門ガイド養成も

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訪日外国人観光客が訪日旅行で体験したことの中で日本食を食べること」が満足度第1位となるなど、インバウンド日本食への関心の高まりはますます顕著となっており、訪日旅行の最大の目的になっています。

今回は、各地域にある「日本酒」をコンテンツに訪日外国人観光客地方誘客促進を目指す、日本酒蔵ツーリズム推進協議会の取り組みについて見ていきましょう。



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地酒を楽しみ地域の文化に触れる、日本酒ツーリズム

近年は国内の酒類出荷量が減少傾向にあることから、日本全国の酒蔵の数は、直近20年で半数以下にまで減少しているのが現状です。その一方で、海外における日本食ブームにより、日本酒の海外輸出量は増加傾向にあり、インバウンド日本酒に対する関心の拡大や満足度の高まりも顕著と言えます。

「日本酒蔵ツーリズム推進協議会」が積極的に取り組んでいる「日本酒蔵ツーリズムでは、日本全国の酒蔵を巡り、地域の人と触れ合うといった機会を提供しています。本場で日本酒を味わうことはもちろん、その土地の文化や郷土料理を同時に楽しめる旅行スタイが魅力です。

観光庁の『訪日外国人消費動向調査 2018年次報告書』では、「訪日前に期待していたこと」で「日本の酒を飲むこと」が第6位にランクインしました。

「今回の日本滞在中にしたこと」としては、「日本食を食べること」「ショッピング」「繁華街の街歩き」「自然景勝地観光」に続き第5位となり、温泉入浴を抜いています。日本酒体験は、もともと人気が高く満足度も高い日本食体験との相性も良いため、新たなインバウンド施策として、日本酒ツーリズムの活発化に期待が高まります。

日本酒蔵ツーリズム推進協議会が受け入れ体制の整備を支援

日本全国の酒蔵の中にはアクセスが不便な地域もあり、人手不足や言語対応といったインバウンド受け入れ体制整備への課題を抱えているケースも少なくありません。日本酒ツーリズムの活性化を目指す上で、日本酒蔵ツーリズム推進協議会では、会員向けに英語の酒蔵ガイドやマニュアルをはじめとする「外国人受け入れ体制標準化ツール」を作成しました。

英語の酒蔵ガイドには、イラスト付きでお酒ができるまでの工程がわかりやすく解説されており、誰でも簡単に訪日外国人観光客にお酒の説明をすることができます。人手不足の酒蔵では、ガイドツールを置き型タイプにアレンジし酒蔵内に設置することで、インバウンド客自らお酒についての情報収集ができるよう環境を整備しているケースも見受けられます。

日本酒蔵ツーリズム推進協議会は、通訳案内士向け酒蔵研修ツアーも実施しています。インバウンド対応の中でも特に日本酒への関心が高い欧米圏からの訪日外国人観光客への外国語対応ができる通訳案内士外国語対応酒蔵ツーリズムガイド」の養成が主な目的です。福島県の会津で実施された研修ツアーでは通訳案内士約40名を対象に、酒蔵見学とテイスティングを中心に、鶴ヶ城や大内宿などの見学が行われました。

酒蔵見学では、「酒と郷土食のペアリング」といった観点から日本各地域の食文化を総合的に楽しみたいといった欧米人客のニーズに対応することに重点を置いた研修となりました。

「本場で楽しむ日本酒」を訪日旅行の目的に

ツーリズムEXPOジャパン2018では、酒蔵ツーリズムブースを設置し、埼玉エリア・利根沼田エリア・播磨エリア・東広島エリア・沖縄エリアの計5つのエリアが、地域ごとの酒蔵ツーリズムの魅力を発信しました。

業界日には観光関連事業者やメディアとの商談会が実施され、一般日には観光プロモーションや試飲イベントが開催されています。各ブースには世界初の英字日本酒専門誌「Sake Today」をはじめ、「The Japan Times」「Metropolis」といったメディアも訪問しました。

海外における日本酒プロモーションも活発化しており、2018年7月から8ヶ月にわたりフランスのパリを中心に開催された「Japonismes 2018」の企画として、「酒巡り in Paris」日本酒の試飲イベント、「サロン・デュ・ショコラ」の日本酒とチョコレートのマリアージュ」セミナーなどが実施されています。

海外で日本酒や酒蔵の魅力発信を行うことも、日本酒への関心を高め訪日旅行の認知拡大を目指す上で効果的と言えるでしょう。

まとめ:日本酒をコンテンツにインバウンドの地方誘客促進へ

日本酒蔵ツーリズム推進協議会では、日本酒と郷土料理をはじめ、日本酒と世界各国の料理といった食とのコラボレーションから、自然景勝地、祭り、温泉や神社仏閣を関連づけたツアー商品の造成なども検討しています。今後は地域とのさらなる連携強化により、二次交通の整備やインバウンド対応の強化を進めながら、日本酒ツーリズムによるインバウンド地方誘客促進ならびに地域の活性化を目指していくそうです。


<参考>

・JTB INBOUND SOLUTION:「日本の酒」をコンテンツに地域へ誘客

・観光庁:訪日外国人の消費動向 訪日外国人消費動向調査結果及び分析 2018 年 年次報告書

・SAKE FAN-tourism.com:通訳案内士向け酒蔵研修ツアーin会津

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

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  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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