オールインクルーシブリゾートを世界中で展開しているクラブメッドは、フランスのパリに本社を置く国際的なバカンス会社です。世界最大の閲覧数を誇る旅行サイト「トリップアドバイザー」によるトラベラーズチョイスアワードで1位を獲得するなどの快進撃を続けています。
日本でも北海道や石垣島などにファミリー向けのリゾートを展開しているクラブメッドにはどのような特徴があるのか、そしてトリップアドバイザーで1位を獲得した裏にはどのような戦略があったのかをご紹介します。
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クラブメッドとは?
クラブメッドは、バカンスの先進国と言われるフランスで生まれました。2012年に中国の復星国際に買収されています。
世界25カ国以上で約70カ所のリゾートを展開し、航空券からホテルの宿泊費、滞在中の食事からアクティビティまで全て旅行代金に含まれるオールインクルーシブな旅行が特徴です。
滞在中のアクティビティやプログラムも多彩で、ヨガやピラティスなどのフィットネス、テニスやゴルフのレッスン、空中ブランコなど、専門のインストラクターがついてさまざまな体験をすることができます。4ヶ月の赤ちゃんから17歳までのお子様には年齢別のキッズプログラムもあり、楽しめるだけでなく、子どもの成長を促すようなプログラムを提供しています。
オールインクルーシブでストレスフリー
オールインクルーシブとは、旅行代金の中に航空運賃と宿泊費はもちろん、ホテル内での食事やドリンク、アクティビティやプログラム、ジムやプールなどの利用、キッズプログラムなどがすべて含まれているシステムのことを指します。
現地での追加料金を気にせずに、自分だけの贅沢な時間を楽しむことができます。
パッケージにもよりますが、旅行代金に含まれるのは以下の通りで、追加料金がほとんどかからずストレスフリーのバケーションを実現しています。
- 宿泊費
- 往復の航空運賃、空港とリゾート間の送迎(航空券付きのパッケージプランにはリゾートへの往復送迎が無料で含まれます)
- 滞在中のお食事や軽食、ドリンクすべて
- バーでの各種アルコール、ソフトドリンク(一部有料あり)
- スポーツアクティビティ・レッスン
- キッズプログラム(4ヶ月~3歳までのプログラムは有料)
- エンターテインメントショーやイベント、パーティなど
- Wi-Fi
- ショーやイベントなどのエンターテイメント
世界の色々なところに展開
クラブメッドのリゾートは、世界中の美しい場所や文化に恵まれた場所など約70か所に展開しています。
日本国内には、石垣島と北海道のサホロ、トマムの3カ所にリゾートがあります。海外には、アジアに7つ、モルディブに3つ、ヨーロッパアルプスに23、ヨーロッパ・アフリカに19、アメリカ大陸に10のリゾートがあります。
インド洋に浮かぶモルディブやモーリシャスなど、ハネムーンを過ごすのに最適なロケーションでのハネムーン専用プランなどもあり、特別なひとときを過ごすことができます。
お客さんと親密に関わり合うG.O(ジェントルオーガナイザー)
クラブメッド内のスタッフはG.O(ジェントルオーガナイザー)と呼ばれ、お客様と密接にかかわりながらお世話をします。
レストランでお客様と一緒に食事をしたり、バーでゲームをしたり、託児やショーを行うなど、通常のツアーとは違い、お客様とスタッフの距離が近いのがクラブメッドの特徴です。G.O.の国籍はさまざまで、G.O.同士の会話は英語で交わされます。
フロントに電話をすると英語で出たりするなど、日本にいても海外のリゾートに滞在しているような雰囲気を味わえます。
G.O.の国籍と話せる言語は名札に国旗の柄で表示されていますので、日本語を話すスタッフに話しかけることもできますし、外国人のスタッフにも日本語で「日本語スタッフをお願いします」と伝えればすぐに対応してくれます。
新千歳空港からJR急行55分、帯広空港から高速バス40分に位置する「北海道 トマム」
日本国内のクラブメッドのリゾートは北海道のサホロと石垣島の2つでしたが、2017年には北海道に2つ目のリゾートとなる「北海道トマム」がオープンしました。
ホスピタリティの高さで有名な「星野リゾート トマム」の敷地内で遊休状態にあった4つの建物などを改修し、クラブメッド独自の格付けの中でも最高の「5トリダン」として運営しています。
では、その北海道トマムではどのようなサービスが行われているのか見てみましょう。
アクティビティと日本の食文化
クラブメッド北海道トマムは、占冠村のリゾート施設「星野リゾート・トマム」内にあります。
目の前に広がるパウダースノーのゲレンデで無料のスキーレッスンが受けられるほか、全長80m×横幅30mの日本最大の屋内プール、露天風呂やアイスヴィレッジなど、アクティブに滞在を楽しむ外国人やファミリー層に最適な施設が充実しています。
客室数は、近くにあるクラブメッドのリゾート「北海道サホロ」を上回る341室で、約1,000人を収容できます。
レストランは寿司や和食の他にイタリアン、フレンチ、中華などバラエティに富んだビュッフェが好評です。マグロが解体されているのを見ることができることもあり、日本の食文化を肌で感じることもできるのが人気の理由です。また、日本酒やウイスキーが楽しめるバーや120名を収容できる焼き肉レストランなどもあります。
「外国人に人気の日本のホテルランキング2018」堂々の1位
2016年の北海道トマムの建設時の戦略では、ターゲットとして夏季は日本人が中心で冬季は日本人と外国人の半々を想定していました。
外国人は南半球でスキーのできないオーストラリアや、シンガポールなどの東南アジア、香港からのお客様を想定し、富裕層の取り込みにも力を入れました。目標はサホロと同じく、冬季の稼働率100%を目指しました。
その結果、2018年のトリップアドバイザーの「外国人に人気の日本のホテルランキング2018」では1位を獲得するという快挙を成し遂げました。
クラブメッドの戦略を紹介
トリップアドバイザーで1位を獲得するという輝かしい成果の裏には、さまざまな戦略がありました。その中でも大きなものは、客室の在庫をリアルタイムで提供できるシステムの採用と、ファミリー層へのアプローチに力を入れるというものでした。その戦略をご紹介します。
客室在庫をリアルタイムで提供
2018年度上期に、クラブメッドの宿泊予約システムをJTBワールドバケーションズ(JTBWV)やエイチ・アイ・エス(HIS)などのシステムと統合しました。
これにより、JTBWVやHISのツアーを利用する場合でも、予約時に好きな客室を最低料金で選ぶことができるようになりました。クラブメッドは以前から、自社システムでの直接販売の他にも旅行会社向けのBtoBビジネスに力を入れていました。
2017年に営業部隊を「大手旅行会社の経営企画部や商品造成部」「地方のヘッドオフィス」「地域の旅行店舗」という3つの対象に分けて改編し、それぞれの会社に合った販売支援をするなど流通の仕組みを根本から見直しました。
これまで旅行会社に客室在庫の一部を預けていた仕組みを廃止し、クラブメッドのシステムをリアルタイムで提供することに加えて、航空券は仕入れ力の高い旅行会社JTBWV、HISに任せることで価格での訴求力を高めるという戦略です。
両社のダイナミックパッケージとして販売するなどして集客力もアップしました。
ファミリー層へのアプローチ
クラブメッドの主要客層はファミリー、カップル、ひとり旅、友人同士という4つのセグメントから成り立っています。日本でのクラブメッドのイメージは新婚旅行が大きく、リピーターになりやすいファミリー層の拡大がかねてからの課題でした。実際に、世界での客層の平均は全体の70%がファミリー層というのに対し、日本では45~48%にとどまっていました。
同社は、ファミリー層を獲得するために、施設のリノベーションや国内外のリゾートで「マストトライエクスペリエンス」の充実といった施策を打ち立てます。
マストトライエクスペリエンスとは、その土地ならではの文化や生活習慣に触れることのできるアクティビティの提供です。
たとえばバリ島では、リゾート内でのバリニーズダンスの鑑賞や、カップル層・ファミリー層などのセグメント別のクッキングクラスなどを提供しています。
日本らしさだけでなく外国人のニーズに合わせることが大事!
クラブメッドは、客室を最低料金でリアルタイム予約ができるようなシステムの導入と、ファミリー層の拡大という戦略で快進撃を続けています。
また、ターゲットの外国人顧客に対しては、日本らしい体験やその土地ならではのアクティビティをアピールして、トリップアドバイザーで1位を獲得しました。
日本らしさだけでなく、ファミリー層やアクティブな滞在を望む層など、ターゲットになる外国人がもつニーズを盛り込んだ施策を考えて効果的にインバウンド対策をしていきましょう。
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