VPNはネットワーク回線を利用する際に情報漏洩のリスクを軽減し、通信品質を向上させるためのツールです。同時に、中国などネット規制が敷かれている国では、アクセスを制限されるSNSやWebサービスを利用する際には必要不可欠な存在です。
2016年のサイバーセキュリティ法施行など、中国のインターネット利用はさらに厳格化の方向に動いています。今年も、これまで問題なく利用できていたVPNサービスが中国国内で利用できなくなるというケースが報告されています。
この記事では、VPNの概要や役割、仕組み、中国で利用可能なVPNについて解説します。
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VPNとは?
VPN(Virtual Private Network)とは多くのユーザーが利用するネットワーク回線において仮想の専用線を設けることで情報漏洩のリスク低下や通信品質の向上を可能にする仕組みです。特に情報漏洩が大きな問題となるビジネスシーンにおいて、VPNは必須であるといえるでしょう。
「VPN」とは?なぜ中国からTwitterが使えるようになるのか?
VPN(Virtual Private Network)とは、公共の通信回線上において安全な通信環境を実現するために仮想の専用ネットワークを構築する仕組みです。 近年では情報漏洩や通信傍受のリスクを軽減するためにVPNが用いられるケースも増えています。 また中国に滞在する際には、中国のネット規制を回避するためにこうした回線を使う人も少なくありません。 ただしこうした回線の中には通信が安定しないものや、中には中国政府へ回線利用者のデータが提供されている可能性が指摘されるサービスもあり、知...
VPNが必要とされる理由
VPNが利用される主な理由は情報漏洩のリスク低下、通信品質の向上です。インターネットは非常に便利ですが、各通信事業者が提供する通信回線は多くのユーザーが共同で利用しているため、暗号化されていない情報は他人から見られてしまいます。
VPNを経由して行われる通信はパブリックな回線を利用していますが、その回線上に仮想の専用線を設けているため、他のユーザーからは盗み見ることが難しくなります。
また、仮想の専用線は利用できるユーザーが限られるため、多くのユーザーが同時に回線を利用している場合に通信速度が遅くなるというパブリック回線のデメリットを軽減する効果もあります。
VPNの仕組み
VPNは互いの通信拠点に専用のルーターを設置することで仮想の専用線による通信ができ、実際にはパブリック回線上で暗号化を施すことにより専用の通信網を設けるという仕組みでセキュリティの向上を可能にしています。また、VPN設備を整えることで外出先からもVPNを経由して社内のデータやシステムにアクセスすることが可能になります。
サテライトオフィスやノマドワーカー、テレワークなど、働き方の多様化が進む現代において場所を問わず安全な通信を利用して業務が行えることは大きなメリットとなります。
VPNの種類
VPNは専用線の構築方法によってインターネットVPNとIP-VPNに大きく分けられます。インターネットVPNは通常のパブリック回線を利用して通信します。
回線そのものには誰でもアクセスすることが可能ですが、VPNを利用するため情報漏洩のリスクはある程度低下させられます。
IP-VPNはさらに厳重なVPNを構築する際に用いられる方法で、既存のネットワーク回線ではなく通信事業者によって用意される閉鎖されたネットワーク回線を利用します。
各通信事業者がそれぞれの顧客のみに提供している閉域ネットワークを利用してVPNを構築するため、情報漏洩のリスク、通信の速度や品質の両方の点においてインターネットVPNよりも優れたパフォーマンスを発揮します。
中国の厳しいネット規制の実態とは?
中国では情報統制が行われているため、一般人に対して厳しいネット規制が敷かれています。そのため、中国へ旅行や出張に行く際には通常のWi-Fiやネット回線、Webサイトが利用できなくなる可能性が高く注意が必要です。
以下では、中国におけるネット規制の実態、VPNを利用する際の注意点について解説します。
中国ではGoogle・YouTube・LINE・Facebook・Instagramが使えない
GoogleやYouTubeなどのサービスはインターネットに接続すれば世界各国で視聴、投稿ができます。ただし、中国は例外です。中国ではGoogleやYouTubeのほかにもLINE、Facebook、Instagramなど、ほとんどのSNSを利用することはできません。これは中国政府が金盾(グレートファイアウォール)と呼ばれる技術によって、検閲と通信規制を行っているからです。
ポケットWi-Fiや、中国国内で通信を利用できる媒体を用意しても、SNSを利用することはできません。
中国ではこうした日本や世界で利用されているインターネットサービスにアクセスできませんが、中国では類似の国産サービスが普及しています。
中国で日本などのウェブサービスを使う場合はVPNが必要
中国国内において日本のSNSやwebサービスを利用する場合にもVPNが活躍します。VPNではIPアドレスを取得して専用線を利用しますが、そのIPアドレスは日本のものであるため、VPNを経由して行う通信は海外のデバイスによるものと認識され検閲は行われません。
VPNにも規制、個人情報の流出にも要注意
2017年6月にサイバーセキュリティ法が施行されて以降、中国国内におけるネット規制はさらに厳重になっています。VPNサービスにも一部規制がかかるようになっています。2019年7月には、有料で提供されているVPN回線も利用できなくなるという状況も報告されています。政治的に不穏な活動とみなされるとより一層インターネット利用に規制がかかるとも言われています。
政治的に敏感な話題に踏み込むような人物は国籍を問わず処罰の対象となることもあるため、中国国内におけるネット利用では、VPNを利用している場合でも注意する必要があると考えられています。
中国でも使えるVPN:2選
徐々にVPNを利用した通信にも規制がかかり始めている中国ですが、利用できるVPNが皆無ということはありません。もちろん規制の対象や状況は日々変わるため、必ず利用できるという保証はありませんが中国でも安定して動作するVPNも数多く存在します。
以下では、中国国内でも利用できるVPNの中でも特に有名なセカイVPN、UCSSについてそれぞれの特徴やメリットを解説します。
セカイVPN
セカイVPNは安定した通信環境を確保できるVPNです。世界各国にサーバーを設置しているため、さまざまな国のIPアドレスを取得すして、中国をはじめとするネット規制の厳しい国内でも、他国のサービスを利用できます。また複数国のIPアドレスを利用できるので、特定の地域のみで利用可能なオンデマンドサービスであっても利用できます。
公式ホームページは日本語に対応しており、利用に関するサポートも日本語で受けられるため、万が一のトラブル発生時のカスタマーサポートも安心です。
また、最大2ヶ月間の無料トライアルを設けているため、ひとまず試用として導入する事も可能です。Open VPNを利用した高セキュリティ、充実したサーバーによる安定した通信には定評があります。
UCSS
UCSSはVPNの中でも中国をはじめとしたネット規制が厳しい国において他国のサービスを利用できるという点に重点を置いたサービスを提供しています。UCSSが提供するVPN回線は検閲が厳しい国においてユーザーがさまざまなオンラインサービスを利用できるようにチューニングされており、中国国内においてもほぼ確実に利用できると言われています。
また、UCSSでは一般回線のほかに中国国内へとつながる商業用の直通回線も所有しており、通信速度や安定感においても高く評価されています。
WindowsやMac、Androidなどの各OSに対応しており、24時間365日いつでも問い合わせ可能な日本語サポートも用意されています。
ゲーミングプランやデータ通信料無制限プラン、グローバルプランがあり、契約期間についても3ヶ月、1年、カスタムとさまざまなプラン設定ができます。個人法人を問わず、ニーズに合わせて利用できる点も人気の理由です。
中国で日本のWebサービスを使うならVPNは必須
日本のみならず多くの国においてネット社会化が進み、日常的にネット環境を利用する機会が増加している現代では、情報漏洩のリスク軽減や通信品質の向上は生活の質の向上につながります。
ネット規制の厳しい中国国内では、在日時と同様にSNSやWebサービスを利用するためにも、VPNは欠かせない存在となるでしょう。
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