【海外事例】地味だったロシアで今、旅行市場が盛り上がる理由は?インバウンド向け5つの取り組みを解説

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世界最大の国土を持つロシアは、2011年から「国内旅行・インバウンド旅行の発展」を策定し、この取り組みにより海外からの旅行客が年々増加しています。

また昨年、JNTO(日本政府観光局)はロシアと協力して双方の旅行者数の増加を図る覚書に署名しました。ロシアへの観光客呼び込みの一環でもありますが、ロシアから日本への観光客拡大も期待できるでしょう。

2018年のサッカーW杯も終わり、今後本格的に訪露客を獲得する動きがみられています。2014年からは中国人によるロシア観光は年間20万人を超え、ルーブル安なことから爆買い現象も起きているといいます。

ロシア国内の観光インフラの整備も順調に進んでいます。ロシア人はこれまで、夏の休暇中のビーチバカンスを目的とした海外旅行が盛んでしたが、こうしたインフラ整備により国内レジャーの機運も高まっているそうです。

今回は、ロシアの観光業整備や、海外からの観光客に向けた取り組みを紹介します。



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ロシアの旅行環境は?観光整備は?

ロシアは国土が広いこともあり、登録されている世界遺産も複数あります。

観光に関わる旅行資源やインフラの現状を整理すると、以下の5つの特徴があります。

1. ビザ取得の簡便性

日本からはビザを取得する必要がありますが、2017年から電子申請が可能となっています。韓国は14年から観光・商業目的で60日以内の条件でビザを取得せずに入国可能になっています。

2. 食事の楽しみが少ない?

ロシアは寒冷地なことで食材が少なく、あまり料理にバリエーションはないと言われています。基本の味付けは塩・マヨネーズ・サワークリーム・香辛料・ハーブで素材の味を楽しむ人には好評ですが、味気ない煮物とシチューの中間と表現する人もいます。

ピロシキもカスカスして大味で食べにくいという辛口な意見もあるほどです。何より地元のB級グルメがなく食に関しては賛否両論です。

このように辛口な批評をされがちなロシア料理ですが、ビーフストロガノフはあまり外れがないと言われます。また高級なお店だとしっかり煮込まれた料理が提供され、グルメな旅行者も満足するほどです。こうした情報は徐々に広まりつつありますが、まだまだ観光資源としては成長分野と言えそうです。

3. 空港整備と航空便の拡充

現在は国際線ターミナルを新築や国内線ターミナルの改修が完了したことで、空港の利便性が向上し施設も充実していることから、乗り継ぎを利用し訪露する外国人客が増えています。

日本から直行便を利用してウラジオストクまで2時間40分モスクワまで9時間50分ユジノサハリンスクまで2時間15分で到着できます。

4. 鉄道網の整備:便利&インスタ映え&特別な体験

環境改善が著しいのが鉄道網とその運行です。

飛行機を降りてから電車が遅れることは日常茶飯事でした。ホテルまで予定より大幅に遅れることは普通のことで、地元の人が小噺にして楽しむほどでした。

現在は3つの主要空港から市内までの足として、アエロエクスプレスという特急列車を増便して大幅に時間を短縮し、モスクワまで4時間かかっていたところが40分に、ヘルシンキまで3時間30分かかっていたところが30分と改善されています。

世界の地下鉄の利用者数は実は東京が1位、ロシアが2位です。地元の人も利用しており治安は良いと言われています。また、駅の内装も非常に豪華で旅行客の満足度を向上させています。

また自然遺産へは、数日間かけて移動しますが、寝台列車の旅行として人気を博しています。

5. エコノミークラスのホテルで多様な宿泊ニーズに対応

ロシアのホテルでは観光名所に近いほど料金が高い傾向にあり、赤の広場周辺の相場は一泊3万円です。料金を下げ隣の駅を予約するなどの工夫が必要でした。

こうした環境は観光客の多様なニーズに応えるものではありませんでしたが、先のサッカーW杯開催の際に、エコノミークラスホテルが多数建設されました。これにより、現在はリーズナブルな客室も多数選択肢があります。こうした宿泊施設の中には日本のカプセルホテルを導入したところもあるそうです。

サンクトペテルブルク人気上昇中!その理由は?

古い町並みが残る人気の観光地サンクトペテルブルク はロシアの文化や芸術の中心で人気が高く、世界三大美術館のエルミタージュ美術館と郊外には歴代のロシア皇帝の離宮などがあり、市内外に世界遺産が点在する場所です。

これまで観光客の滞在時間が短かったこの都市は、ロシアが観光名所の復興に取り組む中で、3~5日間観光客が滞在するような観光都市へと変化を遂げました。

具体的には以下のような取り組みがあります。

ホテル建設

サンクトペテルブルグでは、夏のハイシーズンの集客数が増えています。2015年から2021年では、年間に旅行客が730万人訪れることを予想しており、サンクトペテルブルク市内に有名ホテルやエコノミークラスホテルあわせて20軒を新築する計画があります。

アミューズメントパーク建設

サンクトペテルブルクのイメージをもとにした映画スタジオとインタラクティブ・ゾーンとアミューズメントパークを一体型にした施設「キノグラド」 の建設が予定されています。

他にも、日本企業と海に関するテーマパークを計画しています。すでに2つのテーマパークがあり、サンクトペテルブルクのイメージ向上を図る計画です。

日本でも大阪のユニバーサルスタジオジャパンや、東京ディズニーリゾートは訪日観光客に人気の施設となっています。北京でもユニバーサルスタジオの建設が進められており、今後もこうしたアミューズメントパークは旅行目的の一つとして存在感を増していくでしょう。

観光整備により訪ロ客は増加中、インバウンド市場に活かせる点は?

ロシア国内観光設備は向上し、人気の市街地サンクトペテルブルグの都市開発と周辺施設の魅力を向上したことで、ロシア国民が好む南国ビーチへの海外旅行率は減り、国内のアミューズメントで楽しむロシア国民が増えたようです。

成田~ロシア間の往復直行便は、成田空港~モスクワ便 が週11便、成田空港~ウラジオストク便が週9便、札幌新千歳空港~ユジノサハリンスク便が週4便のスケジュールで運行しています。ロシア人の訪日客は9万4,800人と増加しています。今後も、2020年の春にはANAが東京~ウラジオストクと東京~モスクワへの運行を開始する予定です。こうした航空便の増加は、ロシアからの訪日客の増加も見込めるでしょう。

また、以前はロシア国内で英語は通じにくい状況でしたが、現在は英語教育が進み訪ロ客がコミュニケーションがしやすくなっています。こうした点も、ロシアへの観光客増加を後押ししているとも考えられます。日本も見習っていくことで、訪日客の増加や消費額の拡大につなげていくことができるのではないでしょうか。


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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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