JTBが2015年から実施している『JTB訪日旅行重点15カ国調査』では、訪日外国人観光客の旅マエの情報収集から行き先選定、予約、旅ナカの行動動向について、訪日外国人観光客が多い上位15カ国・地域の訪日旅行経験者を対象とした調査を実施しています。
今回は2019年の調査結果を基に、訪日中国人観光客のオンラインサービスの利用による情報収集手段の傾向について見ていきましょう。
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ネット大国「中国」からの訪日客の情報収集手段とは?
2018年の訪日中国人観光客数は、838万34人で前年比13.9%増となりました。訪日外国人観光客数全体の約27%を占めており、近年ではリピーターの増加や消費拡大が顕著となっており、インバウンド市場の中でも引き続き誘客促進が期待される注目の市場と言えるでしょう。
インバウンドの中国市場の最新動向を掴む上で、中国のネット社会の特殊性を理解することが重要です。中国では、政府がすべてのメディアを検閲しており、世界的に有名なGoogleやYahoo!、FacebookやTwitterといった中国国外の企業のサービスは規制対象となっています。一方で、最新の発表では中国のインターネット利用者数は8億5,400万人を突破し、検索エンジン『百度(バイドゥ)』やメッセンジャーアプリ『微信(ウィーチャット)』といった中国のサービスの成長が著しい状況にあります。
本調査より、訪日中国人観光客の情報収集手段は『旅行口コミサイト・コミュニティサイト』の利用率が最も高いことが明らかになりました。
旅マエでは66.9%、旅ナカでは51.5%の旅行者が利用しているのが現状です。
上位5位は旅マエ旅ナカともに『旅行サイト、宿泊予約サイト、観光情報サイトなど』と『携帯電話やスマートフォンのアプリ』がランクインしていることから、インターネットにおける旅行情報の収集が一般的であることが伺えるでしょう。
口コミを重視する傾向が強い訪日中国人観光客
訪日中国人観光客の情報収集手段を、台湾・韓国・香港と比較すると、中国における『旅行口コミサイト・コミュニティサイト』の利用率が高い傾向にあることが明らかになりました。旅マエ旅ナカともに、3地域の平均を10ポイント以上引き離す結果となっています。
その他も、『携帯電話やスマートフォンのアプリ』の利用率の高さも顕著です。本調査における『情報収集で最も役立った手段』という質問に対して、中国人が『旅行口コミ・コミュニティサイト』と回答した割合が、旅マエが23.2%、旅ナカが15.7%となりました。
中国人が旅行の情報収集で口コミを重視する傾向は、2017年にExpedia Media Solutionsが実施した『ASIA PACIFIC TRAVEL TRENDS 2017』からも見受けられます。
『旅行を予約する際の意思決定プロセスに影響を与える要因はどれですか?』といった質問に、50%が『ネット上での家族・友だち』38%が『ソーシャルメディア』と回答しました。同じ質問に対し日本人は、『ネット上での家族・友だち』が15%、『ソーシャルメディア』が13%となったことから、日本人の感覚以上に中国人は口コミを重視していることがわかります。
訪日中国人観光客の40%が利用する『Mafengwo』
訪日中国人観光客が旅行の情報収集に利用しているオンラインサービスには、旅マエ旅ナカともに中国のサービスが上位を占めています。中国の大手検索エンジン『百度(バイドゥ)』やメッセンジャーアプリの『微信(ウィーチャット)』マイクロブログの『新浪微博(ウェイボー)』があります。
本調査において他の東アジアの国の結果を見てみると、旅マエ旅ナカ問わず1位にランクインしたのが台湾ではGoogle、香港ではFacebook、韓国ではNAVERとなっており、中国のオンラインサービスの中国国内における利用率の高さが伺えるでしょう。
現在のトップ3である『百度(バイドゥ)』『微信(ウィーチャット)』『新浪微博(ウェイボー)』に続き、中国の旅行情報メディア『Mafengwo(マーファンウォー)』の台頭には注目すべきでしょう。
『Mafengwo』は、旅マエで40.5%、旅ナカで45.6%の訪日中国人観光客が利用しており、前回の調査時から10倍近い増加となりました。2006年からサービスを開始した『Mafengwo』ですが、現在は中国国内で最大規模の1.3億人もの会員を有しており、アプリのダウンロード数は7.6億ダウンロードにも達します。
観光情報の発信だけにとどまらず、ユーザーによる旅行体験の投稿や口コミの共有、パッケージツアーや宿泊施設などの予約機能も備えています。今後も中国のオンラインサービスの最新動向を掴む上で、『Mafengwo』の成長からは目が離せません。
まとめ:インバウンドの中国市場の最新動向を掴み、効果的なデジタルプロモーションを
『JTB訪日旅行重点15カ国調査』から、訪日中国人観光客のオンラインでの情報収集手段に関する最新動向を見てきました。中国は特殊なネット社会であることから、中国産のオンラインサービスの利用率が非常に高い点や、口コミを重視する点などが明らかになりました。
インバウンドの中国市場では、中国で利用率の高いSNSやメディアを活用した、中国人目線の効果的なデジタルプロモーションが重要となるでしょう。
<参照>
・JTB INBOUND SOLUTION:訪日中国人旅行者の情報収集手段とは?中国インバウンド市場におけるデジタルプロモーションを考える
・Expedia Media Solutions:『ASIA PACIFIC TRAVEL TRENDS 2017』
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「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
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