現在の日本では訪日外国人客数が年々増加しており、企業や店舗、そして地方自治体においてはインバウンド事業の重要性について広く認知されてきています。
インバウンド対策に取り組むことはビジネスにおける大きな課題の1つとされており、市場の拡大や地方創生のためには必要不可欠となる、重要な事業であるといえます。
この記事では、日本のインバウンドの現状や、必要な対策、訪日外国人をターゲットとしたマーケティングやプロモーションに特化したコンサルティング会社について解説します。
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インバウンド事業とは
インバウンド(inbound)は「入ってくる、内向きの」という意味の英語の形容詞で、転じて「外国から自国への旅行」や「自国への外国人旅行者」を指す言葉として定着しました。日本へのインバウンドは「訪日旅行」「訪日外国人」とも呼ばれます。
インバウンド事業とは、訪日外国人や訪日旅行など広くインバウンドに関連する事業を指します。近年訪日外国人が増加していることから、企業や店舗、そして地方自治体においてはその重要性が認知されてきています。以前は訪日外国人を商売相手としていなかった企業も、最近になってインバウンド事業に乗り出す例が多くみられます。
関連記事:インバウンドとは? ーインバウンド用語集
インバウンドの歴史と現状
日本のインバウンド事業はいつから始まった?
日本が本格的にインバウンド市場に目を付けたのは2003年のことで、「ビジット・ジャパン・キャンペーン」によって観光立国を目指す上での方針を示しました。
その後2013年には目標の訪日外国人客数年間1,000万人を達成し、新たに2020年に2,000万人、2030年に3,000万人との目標を設定しました。
しかし、オリンピック誘致の成功や円安為替相場の追い風を受けて政府の予想をはるかに上回るペースで訪日外国人客数が増加し、2018年の時点で、訪日外客数は3,000万人を突破しました。
コロナ禍で需要減も、急速に需要回復へ
ところが2020年以降、新型コロナウイルスによるパンデミックでインバウンド需要は激減。2021年の訪日外客数は25万人まで落ち込みました。
およそ2年半に渡る渡航制限を経て、日本が海外へ再び門戸を開いたのは、2022年10月のことでした。
翌2023年、円安も追い風となり、訪日外客数は4年ぶりに2,000万人を上回りました。
現状、日本ではインバウンド事業が急速な復活を遂げています。
2025年には大阪万博の開催を控えていることもあり、政府は「早期の訪日外国人旅行消費額5兆円の達成」を目指すとしています。
どの国からの訪日観光客が多い?
2018年における訪日外国人客数の内訳を市場別に表すと以下の表の通りとなります。
1位 | 中国 838万人 |
2位 | 韓国 753万人 |
3位 | 台湾 475万人 |
4位 | 香港 220万人 |
5位 | 米国 152万人 |
6位 | タイ 113万人 |
訪日外国人客の中で最も多くの割合を占めているのは中国人訪日客で、2018年に日本を訪れた3,119万1,856人のうち800万人以上が中国からの訪日客でした。
訪日中国人増加の背景には、航空会社の新規就航や増便や、2019年1月から開始した、訪日リピーターや学生への観光ビザの発給要件緩和が主な理由として考えられます。
多くの国で言えることとして、渡航費用が格段に安いLCCが次々と市場に参入してきていることが増加の理由でしょう。
インバウンド事業を始める際にやっておきたいこと
インバウンド市場の拡大にともない企業や店舗におけるインバウンド対策への意識の高まりがみられています。
今や、訪日外国人を客層に取り込むことは日本人客を取り込むことと同等、もしくはそれ以上に重要であると考える企業・店舗が増加しており、さまざまなインバウンド対策が注目を集めています。
関連記事:インバウンドやるなら必ず知っておくべき イスラム独特の「シャリーア」:マレーシア・インドネシアからの「ASEANムスリム訪日客」に特別な気遣いが必要なのは何故?
1. SNS対策はやっておくべき
SNSは海外でも多くのユーザーが日常的に接触するツールであり、情報収集の目的で利用する人も少なくありません。
ターゲット市場で多くのユーザーがいるSNSに、翻訳付きの投稿することで、物理的な距離と関係なく、外国人への情報発信が可能になります。
海外でユーザー数の多いSNSとしてはFacebookやYouTube、Twitterなどが代表的ですが、ネット規制の厳しい中国人ユーザーに向けたインバウンド対策ではWeChatやWeiboを利用するとよいでしょう。
2. グローバルに使える「Googleマップ」を最大限活用する
また、近年注目されている「Googleマップ」上での情報発信も重要です。
中国本土を除く国内外で、お店探しに使われる「Googleマップ」。
Googleマップに表示される情報(営業時間・口コミなど)は、英語・韓国語をはじめ、世界各国の言語に自動的に翻訳されます。
つまり、Googleマップ上の情報を整理しておくと、訪日客がGoogleマップでお店探しをする際に、見つけてもらいやすくなるのです。
Googleマップに表示される情報を店舗側で管理できるツールが「Googleビジネスプロフィール」です。
観光庁は「観光DX推進のあり方に関する検討会」のなかで、オンライン上で欲しい情報が見つからないという課題に対し、Googleビジネスプロフィールを解決方法の1つとして記載しています。つまり、観光・インバウンドにおけるGoogleビジネスプロフィールの重要性は政府も認知している、ということです。
無料で登録・運用できるため、飲食店や宿泊・サービス業には見逃せないツールです。
訪日ラボでは、インバウンド事業者向けGoogleマップ活用ガイドも提供しています。こちらもぜひご活用ください。
関連記事:インバウンド対策の”はじめの一歩”が分かる!インバウンド対策 × Googleマップ&口コミ対策完全ガイド【2023年最新】
3. 多言語対応も必須
インバウンド対策に取り組む上で最も重要であるといえるのが多言語対応です。
WebサイトやSNSの多言語対応はもちろん、店舗内の案内やメニューなどもできる限り複数の言語で記載したものを用意しておくことが大切です。
母語話者という観点では最も使用されているのは中国語、次いで英語ですが、店舗におけるメインターゲットが韓国人であれば韓国語にも対応させるなど、臨機応変に対策を講じていく必要があります。
4. ターゲットを絞る
インバウンド対策では海外からの訪日客に対する集客対策を講じるわけですが、その中でもメインとなるターゲット層はあらかじめ絞り込んでおく必要があります。
ターゲットを絞らずに行うインバウンド対策はアピールできる客層の幅は広いかもしれませんが、特定の層に特化したプロモーションやマーケティングに比べて訴求力が弱くなりがちです。
一口に外国人といえどそれぞれの国や年代、性別によって国民性、特徴、ニーズが異なるため、取り込むべきターゲット層を絞り込んで集中的にアプローチするようなインバウンド対策を心がけましょう。
訪日外国人集客・インバウンド対策サービスの資料を紹介
インバウンド対策に取り組む上では自らさまざまな情報を収集し、自社や自店において取り組むべき対策について考えることも重要ですが、エキスパートによるコンサルティングを受けることも有効な手段の1つです。
以下では、インバウンド対策についてのコンサルティング業務やサポート業務を提供している企業について紹介します。
また訪日ラボでも、インバウンド対策についてさまざまな資料を提供しています。
1. 株式会社ポインツジャパン:インバウンド/アウトバウンドプロモーション
株式会社ポインツジャパンではASEAN市場に特化したコンサルティングサポートを提供しています。
ポインツジャパンはシンガポールにも拠点を構えているため、現地で常に最新のトレンドを調査しており的確なコンサルティングを提供することで好評を得ています。
また、ASEAN各国のあらゆる分野や業界にネットワークを構築しているため、豊富なソリューションを提供することが可能です。
2. FOSCHIA JAPAN株式会社:街ジャック
FOSCHIA JAPANでは各自治体とタッグを組み、街全体としてのインバウンド集客をサポートします。
具体的には、店内の360°パノラマ映像をGoogleマップ上に掲載する屋内版ストリートビューや、街単位での集客を促進する「街ジャック」ポータルサイトへの掲載によりインバウンド対策のサポートを提供しており、スポンサーをつけることによって極力自治体の負担を軽減したサービスを展開しています。
地域レベルでのインバウンド対策が行えるサービスは希少で、FOSCHIA JAPANの提供するサービスは多くの自治体や店舗から厚い信頼を得ています。
3. 株式会社デジタルガレージ:中国を中心としたアジア圏のマーケティング支援
株式会社デジタルガレージは20余年にわたってグローバルな事業運営をしているマーケティングカンパニーで、データや戦略に基づいたプロモーション支援を主な業務としています。
POSデータや消費者分析はもちろん、ソーシャルリスニングや行動データなど多角的な分析に基づいて行われるマーケティングは理論的かつ効率的です。
特に中国を中心としたアジア圏におけるマーケティングサポートに長けており、多くの企業や店舗がデジタルガレージのサポートを受けています。
自社の課題を解決して効果的なインバウンド事業を
訪日外国人客数の増加やインバウンド市場の拡大にともない、訪日外国人の集客といったインバウンド対策が注目を集めています。
インバウンド対策に取り組む上では自社や自店における課題の特定やターゲット層を絞ったアプローチが重要です。思うように結果につながらない場合には、コンサルティングやサポートを利用することも検討するべきでしょう。
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