佐野市「ムスリム歓迎」で外国人観光客呼び寄せた佐野ラーメンの戦略

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栃木県佐野市は外国人の居住者比率において、栃木県で第5位(2.39%)の都市です(2019年12月31日)。国籍別ではベトナム、中国、フィリピン、ペルー、ブラジル、ボリビア、ネパールやインドネシア、スリランカの人々が100名以上居住しています(2020年4月1日)。

居住者だけでなく、外国人観光客の誘致にも力を入れています。都心から1時間半で到着するアクセスの良さやアウトレット、農産物や温泉など観光資源も目白押しです。

近年では、インドネシアやマレーシアといった東南アジアのイスラム教徒(ムスリム)の多い国からの訪日観光客が増えています。そこで佐野市でも「ムスリム歓迎」のムスリムフレンドリータウンとして様々な取り組みを行っており、中でもご当地ラーメン「佐野ラーメン」のムスリム向けのメニューが人気です。

なぜ佐野ラーメンはムスリムの心をつかんだのでしょうか。この記事では佐野ラーメンから見る、インバウンド向け観光資源の発掘について解説していきます。

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「佐野ラーメン」とは

佐野ラーメンとは、透明感のあるスープでさっぱりとした味付けが特徴の、栃木県佐野市を中心として食べられているラーメンです。

夏は蒸し暑く、冬は乾燥している佐野の気候によりできた良質な水と、青竹打ちという製麺技法を用いたコシの強い麺を使って作られています。

ハラル対応の佐野ラーメンを開発、ムスリム訪日客の人気を博す

佐野ラーメンの店舗では、ムスリム向けのメニューを出す店が増えており、この取り組みがムスリム訪日客からの人気を呼び起こしています。佐野ラーメンの店舗には、イスラム教徒であるムスリムのツアー客が押し寄せているそうです。

この背景になは、イスラムの戒律に基づく「ハラル」という考え方があります。

ムスリムの人々は、戒律により豚を食べることやアルコールを飲むことが禁じられています。反対に、定められた手順で調理されたものを「ハラル」と呼びます。

この「ハラル」に対応して、ムスリムにも体験してもらえるよう、特別な佐野ラーメンが開発されました。チャーシューの代わりに鶏肉を使い、アルコールの入っていない醤油を使用しています。

宗教的に対応しているだけでなく、味も美味しいとムスリムの方から定評があります。

ムスリム訪日客を呼び込むう上で理解すべき「ハラル対応」とは

先ほど述べたように、ムスリムとはイスラム教徒のことです。ムスリムは唯一神アッラーを信仰し、コーランと呼ばれる経典に基づき日々の生活を送っています。

既に2010年の時点で16億人以上がイスラム教を信奉していると言われており、その数は増え続けています。東南アジアのマレーシア人やインドネシア人の多くもムスリムです。

ムスリムはイスラム教の定める戒律に従って(=ハラル)行動するため、この戒律に配慮されていない(=ハラムな)食事や体験型の消費には手を出せないという場合があります。

世界人口の「4人に1人がイスラム教徒」となった今、訪日ムスリム旅行者を無視するわけにはいかない…そのための具体的なインバウンド対策とは?

近年、日本を訪れるムスリムの訪日外国人が増えていますが、観光庁をはじめとする各省庁では訪日ムスリム旅行者向けの具体的な施策を取りまとめ、「訪日ムスリム旅行者対応のためのアクション・プラン」を策定しています。 これは今後日本におけるムスリム対応を推進するための具体策を取りまとめたもので、今後政府はこのプランに基づいた取り組みを進めていくとしています。 [blogcard url=”https://honichi.com/news/2017/12/20/musliminbound/...

ムスリムとは

ムスリムとは、アラビア語でイスラム教徒を意味します。世界中に1...

「ムスリム歓迎」佐野市は町全体で取り組み

栃木県佐野市は町全体としてムスリムを歓迎しており、観光客や定住者を支援するための取り組みを実施しています。

2016年にインドネシアの旅行会社と提携しツアーを開催したり、礼拝するためのモスクや、紙の地図がほしいという意見を受け観光マップ、指さし会話を設置するなどの体制を整えたりと、ムスリムの過ごしやすい環境づくりが進められています。

また、それらの効果もありムスリム向け飲食店や食料品店も増加傾向にあります。

他にもムスリム向けのPR動画を作成し、佐野市の魅力を発信しています。

▲[ムスリム佐野観光PR動画(PR video of Sano City for Muslim):YouTubeより引用]

ムスリム向けインバウンド対策

日本人が普段何気なく行っていることでも、ムスリムにとっては戒律に反しているということが多くあります。ムスリム向けのインバウンド対策をするのであれば、ムスリムについての知識を深める必要があります。

ムスリムの習慣やムスリム向けのインバウンド対策について見ていきましょう。

インバウンド対策1. ムスリムの習慣を知る

ムスリムは、イスラム教の聖地であるメッカの方角へ向かって1日5回礼拝をします。ムスリムの礼拝は、地面にひざまずいて行うため、礼拝のための部屋を用意する必要があります。

また、イスラム暦9月のラマダーン(断食月)には日没まで断食します。希望があれば朝食を夜明け前に取れるようにするなどの配慮をするとよいでしょう。

さらに、女性は家族以外の男性に肌や髪の毛を見せることはよくないとされ、異性との接触は望ましくないという教えがあります。大浴場なども避けたいと考える傾向にあり、貸切風呂などプライバシーのしっかり確保できる環境を案内できると喜ばれます。

インバウンド対策2. ムスリムが食べられる料理「ハラルフード」

ハラルフードとはイスラム教の信者ムスリムが宗教上、食べることを許された食材・食事のことです。ハラールフードともいいます。「ハラル」はアラビア語で「許された」を意味します。

禁止されている食材の例としてよく挙げられるのが豚肉とお酒です。

また、豚肉以外の牛や鶏などの肉であっても、イスラムの法律に基づいて処理されたものでなければ食べられないので注意が必要です。

ムスリムの人たちが安心して食事ができるように整備された制度のことを「ハラル認証」と言います。

飲食店のための宗教別インバウンド対策・おもてなしポイント:イスラム教編

飲食店が訪日外国人観光客をおもてなしするためのインバウンド対策を考える際に、相手の立場に立つと 「食べることが出来ないもの」「食べてはいけないもの」「食べたくないもの」 でそのニーズを整理することが出来ます。特に世界の宗教の中には 「食べてはいけないもの」 を定めた宗教も数多く存在します。その中でも世界の中で特に人口が多いイスラム教徒の訪日外国人観光客向けインバウンド対策をする際に、飲食店が気をつけるべきポイントは何なのでしょうか?目次宗教別インバウンド対策基礎知識:イスラム教徒の分布宗教...

佐野市を手本にハラール対応でムスリムに優しい店を実現

日本はムスリム向けのインバウンド対策が未だ進んでいないと言えます。その中でひと足先にムスリム対応に取り組むことで、栃木県・佐野市のようにムスリム客が多く集まることが期待できます。

ムスリムの満足度が向上することに加え、店側も新たな客層の開拓につながるでしょう。

一歩先のムスリム対応「ハラル化粧品」洗顔・歯磨きも安心できてこその"おもてなし"

日本を訪れる外国人は年々増えていますが、その中にはインドネシアやパキスタンなど、イスラム教徒(ムスリム)が多い地域も含まれています。引き続き、日本が観光立国を目指すに当たり、こうしたムスリムたちの快適な日本滞在のための配慮が必要となってきています。目次イスラム教とはハラル認証とは 身体に触れるものには全て注意、広がるハラル化粧品3選1. 石田香粧"Melati(メラティ)"の基礎化粧品2. Michel Merry(ミッシェルメリー):H&Nトラベルバスセット3.GLO-UP(グロ...

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<参照>

ムスリム佐野観光( PR video of Sano City for Muslim)

栃木県:栃木県外国人住民数現況調査結果(令和元(2019)年12月31日現在)について

佐野市:佐野市と外国人

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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