ムスリムとは | イスラム教の習慣を知ってインバウンド対策を

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ムスリムとは、アラビア語でイスラム教徒を意味します。世界中に10億を超える人々がイスラム教を信奉しており、東南アジアのマレーシアやインドネシアにも多く存在し、近年日本を訪れるムスリムも増えています。

ムスリムはイスラム教の定める戒律に従って行動するため、この戒律に配慮されていない食事や体験型の消費には手を出せないという場合があります。

ムスリム人口の増加に伴い、首都圏では近年、こうしたムスリムにとっての不便を解消するためのサービスを試行しています。例えば、埼玉の美容室ではムスリム向けのサービスを始め、ムスリムの女性が家族以外の男性に髪の毛を見せることは禁じられていることに配慮し、男性の目に入らないような空間を用意して女性スタッフのみで施術しています。

一方、旅行者として訪日ムスリムの多くは食事の面で不便に感じることがあるといいます。ムスリムには宗教的に食べられない食材があるためです。

この記事では、来日したムスリムをおもてなしする際に知っておきたいイスラム教の習慣、風習や戒律、ハラールフードと呼ばれる、ムスリムにも食べられる料理について紹介していきます。

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「ムスリム」とは?

ムスリム」とはアラビア語で「神に帰依する者」という意味を持ち、イスラム教を信仰する人々のことです。

近年、東南アジアからの訪日外国人の数は、年々増加しており、マレーシアやインドネシアといったムスリムの多い国から来日する人も多いため、彼らをもてなす上でイスラム教やムスリムに対する理解は不可欠であると言えます。

世界最大規模の宗教イスラム教

ムスリムが信奉しているイスラム教とはどのような宗教なのでしょうか。

イスラム教は、キリスト教、仏教と並んで世界三大宗教の1つとされており、その信徒数はおよそ16億人といわれています。

主にアラビア、中近東を中心として、パキスタン、バングラデシュ、インドなどの南アジア諸国インドネシア、マレーシアなどの東南アジア圏、また、アフリカの大西洋側でも信奉されています。特にインドネシアは、世界最大のイスラム人口を有する国として知られており、人口2億5千万人のうち、2億2千万人がムスリムです。

ムスリムは、唯一神アッラーを信仰し、コーランと呼ばれる経典に基づき日々の生活を送っています。

風習、習慣

イスラム教を信奉するムスリムは、イスラム教の聖地であるメッカの方角へ向かって1日5回礼拝を行い、イスラム暦9月のラマダーン(断食月)には日没まで断食します。

それだけではなく、イスラム教では食べてもよいものと食べてはいけないものが厳格に線引きされており、これらのしきたりは調理方法や提供方法にも影響を及ぼします。

こうした礼拝や断食、食事に関するイスラム教の風習、習慣は、ムスリムにとってその場所が自宅であっても、外出先であっても、変わらず守るべきものです。

つまり、外に出て礼拝の時間に礼拝ができる場所がないことや、ハラールフードが食べられるお店がないことは彼らにとって非常に不便な生活環境といえます。

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ハラールフードとは?

ハラールフードとは、ムスリムが食べてもよいとされている(ハラール)食べ物をさす言葉で、ムスリムは日々ハラールフードのみを食べて生活しています。

食べることが禁止されている食べ物

イスラム教では、豚肉とアルコールを摂取することが禁じられています

豚肉を食べること、アルコールを飲むことはもちろん、豚肉に触れた調理器具や、同じ冷蔵庫で保存した食材を使用すること、調理酒、みりん、しょうゆ、みそ、醸造酢といった原材料にアルコールを含む調味料の使用も禁止されているため、注意が必要です。

加えて、血液が付着する可能性があるものについても、ムスリムは食べることができません。

避けた方がよい食材

次に挙げる食材もムスリムにとって食べられないものであるケースが多く、避けるべきとされています。

  • うなぎ、イカ、タコ、貝類
  • 発酵食品
  • 爬虫類
  • 昆虫類

ハラール認証とは

ハラール認証とは、イスラム教のルールに則り調理された商品であることを証明するライセンスで、企業としてハラール製品を製造する体制が整っていること、すべての原材料のハラール性を確認できること、社内にイスラム教徒、またはハラール管理者を有しており、2年以内にイスラム教徒を雇用することなど、一定の基準を満たすお店だけがハラール認証を受けることができます。

アルコール飲料を提供しているお店は、ハラール認証を受けることはできません。

ハラール認証は、ムスリムが日本でも安心して食事を楽しむために必要不可欠な、重要なライセンスです。

イスラム教徒は牛肉を食べられない?食べてはいけないもの・食べてよいハラールフードの違い

近年、マレーシアやインドネシアといったイスラム圏からの訪日外国人観光客が増加しています。イスラム教徒(ムスリム)は、豚肉をはじめ、宗教の関係から食べられない食品が存在します。そのため、飲食店ではイスラム教徒でも安心して食べられるハラールフードの提供が求められています。 この記事では、イスラム教徒が食べてよいとされるハラールフードと、ハラームと呼ばれ禁止されている食品について紹介します。また、イスラム教徒の集客におけるハラール認証の重要性について解説します。インバウンド対策にお困りですか?「...

訪日ムスリムへの対応

先述の通り、ムスリムは日本周辺のアジア諸国にも多く存在しており、日本を訪れるムスリムも多いです。

また、世界に16億人以上もいるムスリムに対する施策を行うことは、マーケティングとしても非常に大きな意味を持ちます。

しかし、その一方で現段階では彼らに対する施策を講じる上で課題が残されていることも事実です。

食に関して

訪日ムスリムを迎えるうえで最も大切なことは、調理法や禁止物についての理解を深めることです。

日本では、家族や友人など、身の回りにムスリムがいるという方は決して多くないでしょう。そうした場合でも、知識を得て彼らへの理解を示することが重要です。食べられないものがあること、常に注意を払いながら日々の食事をしていることを理解し意識するだけでも行動が変わってくるはずです。

ハラール認証やハラール調理師認定をとることは、ムスリムが安心して食事を楽しめる環境が提供できることを意味します。またたとえば大阪観光局では、食分野におけるムスリム対応として、ハラールフードやそれに準ずる食を提供している店舗を紹介するためのマップを作成しています。こうした取り組みにより訪日ムスリムにとって過ごしやすい環境が実現しつつあると言えるでしょう。

礼拝に関して

食に関する規律同様、訪日ムスリムを迎えるうえで課題となるのが礼拝をのための場所の確保です。ムスリムの礼拝は、地面にひざまずいて行うため、礼拝のための部屋を用意する必要があります。

日本でもいちはやく施策を講じたのが三井アウトレットパークと青森空港でした。

三井アウトレットパーク木更津では、リニューアル時に「プレイヤールーム」という礼拝のための部屋を設置しました。また、青森空港でも同様、ムスリムの利用者が礼拝するための「祈祷室」を新設しています。

このように、他国の文化や風習に合わせた施設を設け、訪日外国人が母国にいるときと同様に生活ができる環境を整えていくことも、これからの日本に求められるおもてなしの形の一つでしょう。

ムスリム向け礼拝室完備「三井アウトレットパーク 木更津」インバウンド需要狙い10月26日リニューアルオープン

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情報の少なさについて

訪日ムスリムにとって、ムスリム向けの情報が少ないこともネックとなっています。

この問題に対し、川越市が対策として行ったのがKAWAGOE COEDO MAP for MUSLIMSというマップの発行です。

東武鉄道株式会社、フードダイバーシティ株式会社と川越市が連携し作成したこのマップには、川越市の観光スポットや、ムスリム向けの施設が載っており、彼らが食事や礼拝のできる場所についても紹介しています。

施策を講じることと並行して、どこにどんな施設があり、どのような施策が講じられているかを当事者に伝えることも重要です。

東武鉄道株式会社では、その他にも訪日外国人旅行者限定の企画乗車券KAWAGOE DISCOUNT PASSを販売するなど、訪日外国人向けの施策を行っています。

急ピッチで進む 急増する訪日ムスリム観光客の受け入れ体制整備:東武鉄道、埼玉・川越のムスリム向け観光マップを作成

東武鉄道株式会社は、フードダイバーシティ株式会社と埼玉県川越市と連携し、2018年12月1日よりムスリムの訪日外国人観光客に対し観光マップ「KAWAGOE COEDO MAP for MUSLIMS」を発行しています。日光・鬼怒川エリアにおける「NIKKO GUIDE MAP for MUSLIMS」に次いで2例目となる東武グループのムスリム観光客対策として、注目が集まります。近年急増しているムスリムの訪日客の現状と対策促進の必要性をふまえ、東武鉄道が実施するムスリム観光客に対する最新のイ...

世界に16億人のムスリム、快適に観光できる環境整備が必要

イスラム教への理解が深まると、まだまだ日本では彼らが過ごしやすい環境を整えるための施設、施策が少ないことに気付くのではないでしょうか。

世界に16億人も存在するムスリムは、特に地理的な近さも相まって日本を訪れる観光客も増えています。ムスリムが多く存在するインドネシアやマレーシアでは経済成長も著しく、今後中国人観光客のように大きなマーケットを形成する可能性もあります。こうした市場のニーズに応えることが、今後のインバウンド市場の発展を左右するかもしれません。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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