訪日ムスリム旅行者が2年で4倍以上に増加した2つの理由とは?

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以前の訪日ラボの記事でもご紹介したようにムスリムの海外旅行市場は、2026年には 3,000億米ドル(日本円で33兆6,000億円)にまで成長するとされており、世界中で注目されている市場 です。日本のインバウンド市場に関しても近年、ムスリム誘致へさまざまな取り組みが行われていますが、そもそも 日本のムスリム旅行者市場はどの程度のものなのでしょうか。 CRESCENT RATING・mastercard・HMJの三社が作成したMastercard-CrescenRating Global Muslim Travel Index 2017 (GMTI 2017)をもとに紐解いていきます。

「何故、今ムスリムなのか」を知るための7つのキーポイント

日本のインバウンド業界にとって訪日中国人観光客は長年主役といっても過言ではないポジションに位置していました。しかし近年では、一人当たりのインバウンド消費額が比較的大きく、訪日旅行時にディープな体験を求める欧米圏出身の訪日外国人観光客も大きなターゲットとされています。インバウンド業界のターゲットは近年になって多様化してきており、その中でも特に注目しされているのがムスリム(イスラム教徒)のインバウンド市場 です。インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知る...

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まずは日本とイスラム教の関係を振り返り:国内には20万人ものイスラム教徒が存在

ムスリムの訪日旅行市場を解説するまえに大まかに日本とイスラム教の関係に関して振り返ってみましょう。日本国内には、10万人から20万人のムスリムが生活している といわれています。そのうち90%は外国人ですが、10%は日本人です。イスラム教と日本の歴史を辿ると以下のようにあらわすことができます。

出来事
1870年 イスラム教徒が初訪日
1928年 神戸でムスリムがコミュニティーを形成
1935年 神戸に日本で初となるモスクが建設される
1938年 東京にもモスクが建設される
1952年 日本ムスリム協会が設立される
1968年 イスラム教が政府から正式に宗教として認められる
1990年 ムスリムの居住者が増加傾向に
2012年 ムスリムの留学生及び旅行客が増加傾向に

日本とイスラム教には100年以上にわたる長い歴史が存在していることが確認できます。日本のインバウンド市場においてムスリム市場はどの程度の規模感なのでしょうか。キーポイントとなる事柄をいくつかご紹介します。

日本におけるムスリムのインバウンド市場:2016年のムスリム訪日客は70万人2年間で4倍以上に増加 20年には140万人まで増加予定

ムスリム訪日客は年々増加傾向にあります。2014年には15万人、全体の訪日客のうち2.4%を占めるにとどまっていたムスリム訪日客数は、2016年には4倍以上となる70万人、全体の3%を占めるまでに増加 しました。

Mastercard-CrescenRating Global Muslim Travel Index 2017 (GMTI 2017)によると、2018年にはムスリム訪日客は100万人を超えると予測されており、 東京オリンピック・パラリンピックが開催される 2020年にはこの数字はさらに大きくなり、約140万人、訪日客全体の3.5%を占める ようになるとのこと。また、2016年のムスリム訪日客のうち60%はASEAN諸国出身です。その中でインドネシア出身のムスリム訪日客が27%、マレーシアが23%、シンガポールが5%を占めています。

以前の記事でもご紹介したように、2026年に市場が約34兆円規模に達し、人口も爆発的に増えるムスリムのアウトバウンド市場は世界で注目されています。上記でご紹介したように 日本のインバウンド市場においてもムスリム訪日客は増えており、市場規模も徐々に大きくなってきている模様。 日本のムスリム市場が成長した背景には具体的にどのような要因があるのでしょうか。

日本のムスリム訪日客市場が成長した2つの理由とは?

①インドネシアとマレーシアへの訪日ビザ緩和+円安・LCC増便によりムスリムにとって日本は身近な場所に

2012年に発足した安倍政権によるアベノミクスの政策の一環として2013年にマレーシアタイ、2014年にインドネシアフィリピンベトナム訪日観光ビザが緩和されました。 円安とLCCの就航増もともなって 東南アジアのムスリムにとって訪日旅行が手軽なものになったということが第一の要因として挙げられます。

韓国では6割超 アジア圏の訪日客の間で高いLCC利用率 訪日客数の増加とも影響する?改めて考える「LCC」と「インバウンド」の関係性

近年、FSA(Full Service Airline:ANAやJALなど従来の代表的な航空会社)に比べてフライトの料金が安いことから、世界中でより多くの人が LCC(Low Cost Carrier:格安航空会社)にて旅行する ようになっています。日本のインバウンド市場においても、 特にアジア圏の訪日外国人観光客を中心にLCCで訪日する人が増えており、 LCC市場の動向とインバウンド市場は切っても切り離せない関係になってきています。観光庁では、訪日外国人消費動向調査のトピックス分析におい...

増え続けるムスリム旅行者 日本観光の玄関口である成田空港がある千葉県のムスリム対応は?

近年はビザの緩和、LCCの就航などによって 東南アジアを初めとするイスラーム圏からの訪日旅行者が増えています。 こうした流れを受けて観光庁はわかりやすいムスリム対応を実際に周知、ムスリム旅行者の受け入れ体制を強化するという目的で「ムスリムおもてなしガイドブック」を作成しています。各都道府県、自治体も独自の「ムスリム対応ガイドブック」「ムスリム旅行者向けガイド」を制作していますが、訪日観光の玄関口である成田空港がある千葉県もこうしたガイドを制作しています。早速内容を見てみましょう。目次「CH...

②ムスリムをビジネスターゲットとして認識するように?国内ではさまざまなムスリム誘致例が存在

ムスリム向けのサービスを開始している観光施設や店舗が日本中で増加傾向に あります。礼拝堂の設置やハラール対応がその例にあたります。また、ムスリムをターゲットにビジネスを展開しようと日本企業ではムスリム消費者のニーズを学ぶ研修機会が数多く開催されています。 こうした「ムスリムフレンドリー」という概念が日本国内で一般化しつつあることで、イスラム教徒にとって日本は旅行しやすい環境が整備されてきた 点もムスリム訪日客の増加の要因として挙げられるでしょう。

増加するムスリムインバウンド 各自治体の先進事例に学ぶ、ムスリム旅行者の受け入れ対策とは

近年、ビザ要件の緩和やLCCの就航等により東南アジアからの旅行者が急増しており、マレーシアやインドネシアからのムスリム旅行者が今後一層増加することが見込まれています。観光庁は施策としてムスリム旅行者を迎え入れる環境の整備に取り組んでおり2015年8月にはムスリム旅行者が訪日した際に、宗教的・文化的な習慣に不便を感じることがなく、安心して快適に滞在できる環境の向上を図るため、ムスリム旅行者の食事や礼拝に対する習慣やニーズをもとに、「ムスリムおもてなしガイドブック」を作成。また、2015年11...

まとめ:20年には140万人のムスリムが訪日する予定:ムスリム訪日客市場はこれから最重視していくべき市場に?

ムスリム訪日客は年々増加傾向にあります。2014年には15万人であったムスリム訪日客数は、2016年には4倍以上となる70万人にまで増加しました。 これからもムスリム訪日客は増加することが予測されており、Mastercard-CrescenRating Global Muslim Travel Index 2017 (GMTI 2017)によると 2020年には140万人のムスリムが日本に旅行するようになる とのこと。

訪日ムスリム市場の成長には①東南アジアでのビザ緩和+LCC増便・円安②ムスリムをターゲットにしたビジネスの拡大が背景にあり、このペースでムスリム誘致を進めていけば、2020年の東京オリンピック・パラリンピック後には、ムスリム訪日客は日本のインバウンド市場にとって最重要なターゲットになっているかも しれません

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2023年年間の訪日外客数は2,500万人を突破。外国人消費額は5兆円で、過去最高額となっています。また、2024年1月の訪日外客数が268万8100人となり、2019年1月(268万9339人)とほぼ同数となったと発表され、今後さらなる伸びが見込まれます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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