【中国】6兆円かけた人類最大級の空港誕生と裏で進む"非首都機能の分散"とは

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インバウンド市場で注目を集める中国ですが、近年は行先の海外・国内を問わず、旅行ブームが起こっています。

2019年9月25日、こうした流行をさらに盛り上げるかのように、中国の首都・北京に新しく「大興国際空港」が開業しました。

新空港の開港の裏で進む、北京の非首都機能の分散計画も合わせて、今後の動向に大きな注目が集まります。大興国際空港の開業に至った背景や狙いについて解説します。


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北京の空港事情

北京には「首都国際空港」と「北京南苑空港」の2つがありました。後者は1910年に完成した中国で最初の空港として、とりわけ戦後は中国で最も重要な空港の1つとして利用されてきました。

しかし施設の老朽化や低迷した旅客取扱数などが浮き彫りになったことも影響し、今回の新空港の開業に伴って閉鎖となっています。中国人の間では別れを惜しむ声が広がりました。

新空港「大興国際空港」は北京の南に、利便性アップを強調

中国で新たに開業した「北京大興国際空港」は、北京市中心部の天安門から南に約46キロの距離に位置しています。

▲大興国際空港の内部の様子:人民網より引用
▲大興国際空港の内部の様子:人民網より引用

空港の設計は、日本で新国立競技場のデザインを巡り話題となったザハ・ハディド氏が手がけました。中心部から放射線状に伸びるコンコースのため、最も遠い搭乗ゲートまでも600メートルと、利用客の移動に対する負担が軽減される設計となっています。

2025年には年間7,200万人の利用者を想定しており、現在は滑走路が4本ですが将来的には7本まで増やし、年間1億人の利用者を迎える能力を備えた空港になる予定です。

同空港の関係者によると、北京市内の地下鉄・草橋駅と空港を最高時速160キロ、19分で結ぶ地下鉄の連絡線も開通するとのことです。また、中国の新幹線が駅に直結するとの情報もあり、世界で初めて高速鉄道がターミナルに直結する例として、注目されています。

空港利用客は「草橋駅」に設置された空港の受付カウンターにて、出発の6時間〜2時間半前に限り、事前に荷物を預けることもできるなど、利便性向上も期待されます。

9月25日開業、就航する航空会社は?

大興国際空港は、中国の国慶節に合わせるかのように、9月25日に開業しています。首都国際空港から各エアラインが移転するスケジュールを2019年から2021年までに段階的に進め、2022年2月に開催される北京オリンピックまでに完了させる予定です。

現時点では、中国東方航空系エアライン、中国南方航空系エアライン、スカイチームとワンワールド加盟エアライン、中国系エアライン(首都航空・河北航空・春秋航空・中国联合航空・奥凱航空・東海航空など)が移転対象のエアラインとなっています。中国の航空会社大手3社のうち2社が、大興国際空港を利用することになることから、空港の利用客の大半が中国東方航空と中国南方航空の乗客となると見られています。

中国国際航空系エアラインや海南航空グループ、スターアライアンス加盟エアラインは、首都国際空港に留まる予定とのことです。

また中国系のエアラインは大興国際空港と首都国際空港の両方への就航は認められませんが、台湾と香港を含む海外エアラインは両空港への就航も選択できるとしています。

なぜこの場所に?北京市の新たな「両翼」通州市と雄安新区

実はかなり中心地から離れた場所に建設されており、厳密には北京ではなく河北省になります。中国の中央政府と北京市は、通州区の行政副都心と河北省保定市内にある新興開発地域の雄安新区を市の新たな「両翼」と位置付けています。

北京では現在、非首都機能を北京市中心部から分散する政策を進めており、2019年1月には北京市政府の庁舎を通州区の行政副都心に移転しました。非首都機能とは、一般的な製造業と、地域の物流基地と卸売市場、一部の教育医療等の公共サービス機能、一部の行政的・事業的サービス機関の4分野です。

通州が移転先として選ばれた背景としては、北京のメインストリート・長安街を東に真っ直ぐいった先に位置していること、公園などがあり緑が豊かなこと、政府が進める「北京・天津・河北の一体化計画」において通州が天津と河北に接していることなどが挙げられます。

通州はのどかな風景が特徴な北京のベッドタウンとなっており、2015年から北京市政府の移転先として、大規模な開発が進められていました。大興国際空港の河北省での建設も、こうした非首都機能の分散を後押ししたり、「両翼」の活性化を進める面があると言えそうです。

まとめ:大興空港の登場で中国の旅行ブーム加速の可能性も

今後は、首都国際空港と大興国際空港の2つが、北京の二大空港となります。大興国際空港の開港により、近年の旅行ブーム到来による空港の混雑やフライトの遅延などの問題の緩和に繋がることが期待されます。

大興国際空港は利便性の高さが期待できることから、中国国内での旅行がますます盛んになり、また中国を訪れるインバウンドの盛り上がりが起こることも予想できるでしょう。今後はハブ空港間の競争が加速され、ベトナムやタイといった東南アジアの観光客や、欧州からアジア文化を期待する観光客の奪い合いも起こるかもしれません。

一方で、発着枠に余裕ができることから、さらなる日本路線の開設がしやすくなることも考えられ、今後のインバウンド誘客に好影響を及ぼすことも予想できるでしょう。


<参照>

・exciteニュース:北京の巨大ハブ空港で閉鎖する「中国最古」の空港 かつては日本との深い関わりも=中国メディア

・CRI Online:北京大興国際空港、まもなくオープン

・sky-budget:北京の新空港となる北京大興国際空港が2019年9月30日開港へ スカイチーム・ワンワールドが移転予定

・NNA ASIA:北京市庁舎が通州に移転 非首都機能の分散、まず第一歩

・JETRO:9月30日の開港に向け、北京大興国際空港への交通網整備が進む

・アイキャッチ画像:王之桐 [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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