本日から、中国最大の連休の一つである「国慶節」が始まりました。注目は、この期間に観光などを目的に8億人が国内外を移動するとされる中国人の動向です。
今年の国慶節の旅行先予約状況から、中国人の海外旅行先としてついに日本が人気一位になったと各メディアが報じています。
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街中が「紅」で彩られる国慶節
国慶節とは、中国(中華人民共和国)の建国を祝福する記念日で、毎年10月1日と定められています。国慶節の「慶(簡体字:庆)」の文字は、日本語と同様に中国語でも「祝賀する」という意を持ちます。1949年の10月1日に、天安門広場(北京)にて中華人民共和国の建国式典が行われたことに由来します。
国慶節の定番といえば、天安門広場のセレモニーです。国旗の掲揚が行われ、10年ごとの節目には軍事パレードが行われています。中国国内全土の至る所で祝賀の横断幕や国旗が掲示されます。また、例年国慶節の時期のテレビ放送では、愛国色が強いドラマ作品や特別番組などが放送されます。

Twitter:国慶節に関する投稿(https://twitter.com/69i8sB3hYu2Yyf4/status/1178183512102301696)
今年の国慶節期間は10月1日(火)〜7日(月)の七日間です。一般市民はこの長期連休を旅行の最適期間として捉えている人が多いため、日本のインバウンド需要が高まりに注目される連休となっています。
ちなみに、中国では10月1日を国慶節としていますが、台湾では辛亥革命の発端「武昌起義」を記念した10月10日が同様の意義を持つ祝日となっています。
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中国では期間中高速道路が無料化、Alipay決済で割引など
国慶節の連休期間は、中国国内全土で有料道路の通行料が無料になります。座席数が7席以下の小型乗用車が対象で、10月1日0時から10月7日24時まで無料化が実施されるようです。また、日本国内でも国慶節に関連してイベントやキャンペーンが実施されます。日本国内で最も国慶節の祝杯ムードになる場所といえば、横浜中華街ではないでしょうか。「慶祝パレード」や「慶祝獅子舞(採青)」などの祝賀イベントが盛大に行われる予定で、飲食店では特別サービスや商品、スペシャルメニューも予定されています。
そのほか昨年には、中国最大のアプリ決済サービスAlipay(中国語名:支付宝)は、日本の百貨店等で「国慶節キャンペーン」と称して、Alipay決済すると5%の割引が適用されるキャンペーンなどを実施しており、今年もこのような販売促進が打ち出されると見られています。
中国人にとっては「ただの休日」軍事パレードはテレビで
国慶節同様の中国の大型連休である春節(旧正月)は、日本のお正月のように「故郷へ帰省し、家族や親戚と一緒に過ごす」ことが一般的です。しかし国慶節はというと、今年は70周年と言えど、多くの中国人にとっては「単なる連休」ととらえられています。
街中を横断幕や国旗で彩っているものの、こうした祝賀ムードが一般家庭や個人にまで及ぶかというと、実際はそうではありません。北京での軍事パレードは厳戒態勢で執り行われることが予想され、こうした行事を直接見に行く人も少数派と考えられます。
こうした状況で、家族への義理を果たす必要のない国慶節期間は、春節以上に旅行への動機づけも強まります。今年の予測では、観光目的の旅行者がおよそ8億人に達するとの情報もあり、旅行業界にとって最大の書き入れ時と言えるでしょう。
旅行業は休みなし、海外では台湾・香港がダウントレンドに
旅行向きの連休とはいっても、長距離バス運転手やタクシー運転手にとっては観光シーズンは繁忙期となります。こうした人々にとって連休はあってないようなものです。海外旅行も引き続き人気となっています。旅行予約サイト大手の携程旅行網(シートリップ)によると、日本が人気首位となり、例年人気訪問先の上位に入る台湾と香港が圏外になっているそうです。
最近の中台関係の悪化により、8月に中国政府は台湾への個人旅行を停止しました。団体旅行は継続してはいるものの台湾のツアーの売れ行きが芳しく、台湾旅行業は大きな打撃を受けています。また、香港については、連日繰り広げられるデモにより、この時期の旅行は敬遠されているようです。
そこで、この二カ国が占めていた旅行者らが日本や東南アジアに流れ、首位が日本、続いて2位がタイ、その他東南アジアに人気が集まっています。同社が発給したビザ件数の25%が日本であるとして、4人に1人が日本を旅行先に選択しているとの情報もあります。国慶節商戦は、その時期の政治動向が色濃く影響することがわかります。
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まとめ
今年10月1日の国慶節は、中国の建国70周年を祝う大きな節目ではあるものの、若者のうちでは、特別な感慨はないという人も少なくありません。日本のゴールデンウィーク感覚でこの長期連休を利用し、国内外の旅行に出かける人も多くなっています。近年では、このような大型連休で観光地が混雑することを受け、外出をおっくうに感じる人もいるようです。自宅でECサイトを通じて商品を購入する人も増えていると言います。
経済成長とともに労働環境の厳しさも伝えられるようになってきた中国で、こうした長期連休期間は、日常の緊張を和らげるべく、旅行や買い物などへの需要も必然的に高まってくでしょう。
今後の変化や消費者心理の機微にキャッチアップしていくことが、インバウンドの中国市場攻略には必要と言えそうです。
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