ドイツの公用語はもちろんドイツ語ですが、英語を喋る人は珍しくはありません。「訛りがあるもののドイツ人の英語は日本人に聞き取りやすい」とも言われており、日本人にとってはコミュニケーションを取りやすいと考えられます。
ドイツでは英語を話す外国人を手放しで褒めてくれる人も多く、英語が話せないことをコンプレックスに思っている人も数多くいる点は日本と共通しているようです。
今回はドイツでどの程度英語が通じるのか、またドイツ人が英語を話せる理由やその背景について紹介します。
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ドイツ人の英語力は世界で10位
すべてのドイツ人が英語を話せる訳ではありませんが、他のヨーロッパ諸国と比べても話せる人口は多いでしょう。公共交通機関で英語表記はあまり見かけませんが、周囲の人に英語で話しかけるとほぼコミュニケーションをとることができます。
年配の方よりも若者の話せる比率が高く、発音にもクセがないと感じられる場合が多いようです。南部の方へ行くと訛りが強くなるとの意見もありますが、決して聞き取れないようなレベルではありません。
2019年のEF英語能力指数によると、ドイツ人は100か国中10番目に英語能力が高い国とされています。
熟練度も「Very high」に位置し、日本が53位の「Low」にカテゴライズされていることからも、ドイツの英語力の高さを知ることができるでしょう。
地域によってレベルの差はありますが、男女共に60%以上の人が英語を操れることに加えて、単語や構文がドイツ語の感覚に似ているため取得しやすい背景があるようです。
ドイツ人が英語を話せる理由
なぜドイツ人の多くが英語を話せるのか、その理由をご紹介します。
ドイツ隣接国の母国語は英語が多い
陸続きのために他国の人が移住しやすいヨーロッパでは、国際カップルが珍しくありません。特にドイツは9か国が隣接する多言語国家として知られています。
イギリス人が生活していたり、フランス人と結婚したドイツ人が共通言語として家庭内で英語を使うケースもあります。家庭内では英語が当たり前という環境で育ったドイツ人にとっては、最初に触れる言葉のひとつが英語であり、英語を母語として話す人も少なくありません。
また学校自体が留学を後押ししていることもあってか、近隣国に留学する機会も多く、英語を必要言語として認識している世代も多くなっています。
ドイツの英語教育は小学3年生から
学校によって異なりますが、ドイツでは平均で小学校3年生から英語教育を始めています。日本に比べても特別早いわけではありませんが、大きな違いは実践する環境があるかないかでしょう。
週に2時間以上が英語教育に割かれ、早い地域では6歳から外国語教育が始まります。英語教育は外国語教育とは別枠で、2003年より小学校の必修科目となりました。
ドイツには外国人が多く居住しており、両親の知り合いや友人と英語を話す機会があるため、日本のように受験英語のみになってしまうことはあまりないようです。
必修と選択の両方で最低5年間、 英語が学ぶことができる上に、一定の成績を修めなければ小学生からの留年する制度を設けるなど、進級にもシビアなドイツでは語学学習へのモチベーションが高いと言われています。
さらに中学校に進学すると「バイリンガルクラス」が新たに設けられ、英語を学ぶことではなく、他の教科(数学や社会)を英語で勉強する制度も存在します。
大学進学後にはしっかりとした英語教育のカリキュラムが整っていたり、英語圏の語学学校に通って英語を習得する慣習があったりと、10代後半~20代前半で他国と英語力の差が現れてくると考えられます。
ドイツは外国語学習が義務、英語を選ぶ人が8割以上
ドイツでは、2004年に「教育の質開発研究所」が創立され、最低5年間の外国語学習が義務付けられました。学習する外国語は自由に選べますが、実に86%もの生徒が英語学習を選択していることからも、ドイツ人がいかに英語を重要視しているかわかるでしょう。
「教育の質開発研究所」はドイツ全土で語学習熟度を図るテストも実施しています。競争心を煽ることがないよう結果を非公開としていますが、結果は向上しているようです。
一方で恥ずかしがる人も?
先述したようドイツ語と英語には共通点が多く、ルーツが同じであるため、喋れて当たり前と考える人もいます。特に外国人と相対する時には英語が必須だと感じていて、話せない人は教養がないと見る傾向にあるようです。
日本人はいわゆる受験英語勉強していることが多く、書く・読むが得意なものの、聞く・話すことを苦手としています。さらには「完璧な発音が出来ない限りは話してはいけない」とコミュニケーションに消極的になってしまいます。
実はこれはドイツでも共通していて、英語を話せないことを引け目に感じていたり、訛りや発音にコンプレックスを感じている人も多くいると言われています。
ドイツの英語教育は「聞く」「話す」を重視
日本では文法を主に習い、読む・書くが中心の英語教育ですが、ドイツでは話す・聞くに重点が置かれています。
英語がわからない段階から、教師が話すのは英語であり質問や指示にもドイツ語を使用することはありません。
1つの議題を生徒たちが討論する機会も多く、チームを作って発表を行う際も全て英語で行われます。
常に英語を聞き、そして話す場に触れ合っているため実践的な英語が身につくようになります。
ドイツ旅行で英語を使うときに気をつけた方がいいこと
よっぽどの田舎に行かない限りは、旅行先で英語が通じないことはないでしょう。ドイツでは観光業界の多言語化にも力を入れているため、ツアーで訪れる際には英語だけでも十分に旅行を楽しめます。ドイツ旅行の際には、以下3つの点を心に留めておくといいでしょう。
1.簡単な英語で問題ない
日本人が陥りがちな「完璧な英語でなければ通じない・恥ずかしい」といった気持ちは捨てましょう。
文章を気にすることなく、簡単な単語を並べるだけでも十分通用します。相手も英語が母国語でない可能性が高いので、むしろその方が通じることもあるでしょう。
他国語を操る外国人に対して寛容な部分もありますから、わざわざ小難しい表現方法をとらず、知っている範囲でコミュニケーションを取れれば心配いりません。
2.若い世代の方が通じる
ドイツ人もシャイで「完璧思考」があることは先述しました。年配の人ほどその考え方が強く、英語を話せるのに「完璧じゃないため恥ずかしい」と思っている人も珍しくありません。何かを英語で確認したい、質問したいときには、20~40代の人に話しかけると返事をもらえる可能性が高いと考えられます。特に高齢者には「ドイツ語以外話さない」と考えている人もいるそうです。
3.タクシーの運転手は話せないことが多い
都市部では英語が話せる人が多いという認識は間違っていませんが、タクシーに限ってはそうとは限りません。ドイツには移民が多く、タクシー運転手として働いている人もいます。この場合、英語を話せない場合もあります。
タクシーを利用する場合は、英語が通じないと思っていた方がいいでしょう。スマートフォンの地図やメモ書きなどをあらかじめ用意することをおすすめします。
英語が上手いドイツ人は教育のたまもの!インバウンドの接客時には図解の活用も有効
家庭に英語が溢れていなくても英語を話せるドイツ人はたくさんいます。それは幼い頃から彼らがしっかりとした教育を受けてきた証拠でしょう。日本人と同じように「下手な英語でも使ってみる」という壁を打ち破れない世代もいるものの、年齢が若くなるほどその傾向が薄くなってきています。
「積極的にコミュニケーションをとり、じっくりと相手の言葉に耳を傾ける」これがドイツの英語教育で一貫された方針です。ドイツ人とのコミュニケーションでは、ドイツ語が分からない場合には英語での意思疎通を試みてみると良いでしょう。
またドイツ人に限らず、訪日外国人の接客等においては図解でわかるようなメニューや資料を用意したり、日本語の掲示物には単語を併記したりといった工夫により利用者や来店客の満足度を高めることができるでしょう。
ポケトークのような翻訳機器も有効ですが、場合によっては外国語人材の確保の方が適切なサービスもあるでしょう。インバウンドが快適に過ごせる環境構築が、これからの日本各地に求められています。
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