近年では日本を訪れる外国人の数が急激に増加しており、飲食店や小売店をはじめとする店舗や施設では外国人対応の一環として英語での対応が求められています。
しかし、日本人のうち英語を話せる人の割合は未だ十分なレベルに達しておらず、外国人へのおもてなしについて苦慮している店舗や従業員も多いようです。
この記事では、外国人客に対する声掛けとして使える基礎的な表現、フレーズや、いざ対面した際に英語が出てこない時の対処法について解説します。
関連記事
覚えておきたい「NGジェスチャー」
気軽に使える各国言語「声かけ」まとめ
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
英語でのおもてなしが欠かせない
年々拡大するインバウンド市場や2020年の東京オリンピック開催などを考慮すると、今後は訪日外国人客がさらに増加すると見込まれています。
店舗や施設においても外国人利用客が増加し、英語でのおもてなしが必要不可欠となるでしょう。
以下では、日本におけるインバウンド需要や英語での対応について解説します。
拡大するインバウンド需要
訪日外国人客数は年々増加しており2018年にはいよいよ3,000万人の大台を突破しました。
2019年の上半期における推計訪日外国人客数は1,663万人で上半期終了時点では前年比4.6%増となっており、秋のラグビーワールドカップ開催などを考慮すると恐らく昨年以上の年間訪日外国人客数を記録するでしょう。
また、2020年には東京オリンピックも開催されるため、訪日外国人客数は今後さらなる伸びを見せると期待されています。
英語での対応が大切
訪日外国人客数についての国別内訳を見ると最も多いのは訪日中国人となっていますが、中国語の話者はほとんどが母語話者のみであること、英語の話者はその多くが第二言語として英語を話す話者であることを考えると、やはり英語での対応が重要であると言えるでしょう。
また、中国人の内にも英語を話せる人は多いため、英語対応によって非常に多くの外国人に対して案内や対応が可能となります。
外国人観光客の不満にコミュニケーションが挙げられている
訪日外国人のニーズを把握するために2018年度に行われた「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート結果」において不満として最も多く挙がったのは「施設スタッフとのコミュニケーション」でした。
「コミュニケーション」は外国人が日本で困ったことについてのアンケートにおいて3年連続で最も多くの票を獲得しており、訪日外国人に対して言葉の壁の高さを感じさせてしまっているようです。
おもてなしで使えるフレーズ状況別3選
英語での対応は非常に難しいと感じている人も少なくありませんが、英語が話せない場合にはいくつかのフレーズを覚えておくだけでも有効です。
以下では、外国人がコミュニケーションで困っている場所やシーンで使えるフレーズについて紹介します。
飲食店
飲食店においては席への案内や飲食を勧める際、感想やニーズを引き出す際に使えるフレーズを覚えておくと良いでしょう。
- This way, please.(こちらにどうぞ)
- Would you like something to drink?(何か飲み物はいかがですか)
-
Are you enjoying the dishes? (お料理は楽しまれていますか)
いずれも英語圏の飲食店においては頻繁に利用されているフレーズで自然かつ平易な表現です。
また、2つ目のフレーズについてはdrinkをeatに変えるだけで「何か食べ物はいかがですか」というフレーズとして活用できます。
鉄道駅
鉄道駅においては迷っている様子の外国人を助ける一言や席を譲る際の一言として使えるフレーズを覚えておくと良いでしょう。
- Did you get lost?(迷いましたか?)
- Where are you going?(どちらに行かれますか。)
-
Please take this seat.(この席に座ってください。)
訪日外国人は大きな荷物やスーツケースを持って移動していることも多く、電車内で立っているのも大変な場合があります。
席を譲る際に使えるフレーズを覚えておくことで物怖じせずに声をかけられるでしょう。
小売店
小売店においては来店時や退店時に使える一言、気遣いの一言、気軽な声掛けを促す一言などを覚えておくと良いでしょう。
- Thank you for coming!(いらっしゃいませ!/ご来店ありがとうございました。)
- I hope you like it.(お気に召すといいのですが。)
- Please let me know if you need any help.(何かあればお声をかけてください。)
外国人は日本人に比べて遠慮せずに物事を伝える国民性であることが多いものの、忙しそうにしている店員に対して声をかけることにためらってしまう人も少なくありません。
店舗においてどこか困っている様子の外国人が店員に声をかけることなく退店してしまうシーンを見た経験がある人もいるでしょう。
困ったことがあればぜひ声をかけてほしいと伝える一言があれば店舗を訪れた外国人も遠慮せずに疑問や悩みをぶつけられるはずです。
英語が話せないときのおもてなしの方法
上記のようにいくつかのフレーズを覚えておくことは有効ですが、英語が話せない人にとってはいざ外国人客と対面した際にうまく言葉が出てこないこともあるでしょう。
しかし、英語を話さずともおもてなしをすることは可能です。
以下では、とっさに英語が出てこない場合のおもてなしの方法について紹介します。
アイコンタクト
アイコンタクトはコミュニケーションの基本であり「目は口ほどに物を言う」ということわざもあるほどに重要なポイントです。
つたない英語であっても目を見てしっかり話そうと心がける姿勢があれば外国人客もいやな思いをすることはありません。
しかしながら、アイコンタクトだけでは説明や案内をするのは難しいため、アイコンタクトと併せて、以下に挙げる2つの方法でコミュニケーションを図ると良いでしょう。
伝わればどんな方法でもいい
伝えるための方法は言葉を介したコミュニケーションのみではありません。
単語や絵を介した筆談、身振り手振りを交えたジェスチャーなどの対応によって英語を話せずとも伝えられる内容の幅が広がるでしょう。
よりスマートな対応を目指す場合には翻訳ツールを活用することも有効な手段の1つです。
ポケトークやili(イリー)などの音声翻訳機による対応、あらかじめテキスト翻訳機によって多言語対応化したメニューや案内を掲示するなどの対応が考えられます。
【2019年版】おすすめの音声翻訳機6選 !選ぶポイント・各製品の特徴を整理
海外旅行をする日本人だけでなく、日本に旅行に来る訪日外国人を近年よく見かけるようになりました。街中を歩いていて外国人に道を尋ねられ、慌ててしまったという経験をした方も多いでしょう。そんなときに音声翻訳機があればスムーズに対応できます。ポケトークやMayumill、ランジー、ili(イリー)など次々と多言語対応している音声翻訳機が登場しています。それぞれの性能に特徴があり、購入する際には人気だけではなく、精度の高さや、使用するシチュエーションが選ぶ際のポイントになってくるでしょう。オンライン...
おすすめの英語翻訳サイト
訪日外国人観光客の増加に伴い、外国語の案内などの需要も増加してきています。外国語に翻訳した、英語圏の訪日外国人向けのコンテンツを作りたい、充実させたいというインバウンド事業者も多いでしょう。そこで今回はインバウンド集客に使える英語翻訳サイトを無料、有料別にご紹介します。目次訪日外国人観光客が困ったこと第1位は「コミュニケーション」英語対応は必須無料で使えるおすすめの翻訳サイト3選1. Google翻訳2. Weblio翻訳3. エキサイト翻訳1. 1文字5円〜外注できる!安さで選ぶなら「G...
知っている言葉だけでも話しかけてみる
たとえ英語を話せなくとも知っている英単語の数は少なくないはずです。
want(欲しい)とdrink(飲む)という単語を知っていれば”Want drink?”と尋ねても問題ありません。
多少文法が間違っていたり、単語がおかしかったりしても、ある程度意味を汲み取れる表現であれば理解してもらうことは可能です。
また、海外旅行中に困っている状況において声をかけてもらえた嬉しさの方が勝るでしょう。
おもてなしの心をもって誠心誠意対応することが大切
英語が話せることはインバウンド対応において大きなアドバンテージであり、積極的な声掛けによって訪日外国人のさまざまな疑問や悩みを解決できるでしょう。
もちろん英語を話せるに越したことはありませんが、話せなくともコミュニケーションを図ることは十分可能です。
むしろ英語が話せないことよりも英語が話せないことによって消極的になり困っている様子の外国人客を無視してしまうことが最大の問題です。
おもてなしの心をもって誠心誠意対応することこそがインバウンド対策において最も重要です。
訪日ラボ 最新版セミナー&インバウンド情報まとめ
訪日ラボおすすめの記事をご紹介します。
【10/8開催】「飲食店の付加価値向上EXPO」—お客様に選ばれ続ける"5つの鍵"—
原材料費や人件費の高騰で、多くの飲食店が値上げを余儀なくされています。
しかし、人口減少などを背景に市場競争が激しくなる中で、ただ価格を上げるだけでは顧客離れのリスクが...。
そこで重要になるのが、「付加価値」を高めることです。
お客様が納得できる価値を提供し、競合との差別化を図ることで、持続可能な経営を実現できます。
今回のセミナーでは、飲食業界の第一線で飲食店経営を支援する5社の専門家から付加価値向上の具体的な方法と成功事例をご紹介します。
詳しくはこちらをご覧ください
→【10/8開催】「飲食店の付加価値向上EXPO」—お客様に選ばれ続ける"5つの鍵"—
【インバウンド情報まとめ 2024年9月後編】中国「国慶節」延べ19.4億人移動、海外旅行先の人気1位は日本 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に9月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国「国慶節」延べ19.4億人移動、海外旅行先の人気1位は日本:インバウンド情報まとめ 【2024年9月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!