「自然や文化」と「きりたんぽ」使い分けて成功した、秋田犬ツーリズムの取り組み

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秋田県の大館市・北秋田市・小坂町・上小阿仁村の4市町村が構成する地域連携DMO「秋田犬ツーリズム」は、地域の魅力を最大限に活用したインバウンド対策に取り組んでいます。

大館地域は、2017年12月に農林水産省と観光庁によるSAVOR JAPAN農泊 食文化海外発信地域)」に認定されました。これは地域の食文化を中心に、伝統文化や景観などの資源による魅力で訪日外国人の誘致を図り、農林水産物と食品の需要と地域活性化を目的とした認定制度です。

この記事では、人口減少や超高齢化社会と向き合いながらインバウンド誘客促進による地方創生を目指す、秋田県の取り組みについて紹介します。


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秋田県のインバウンドは欧米豪からの誘客が課題

秋田県の大館市・北秋田市・小坂町・上小阿仁村の4市町を訪れた外国人宿泊者数2015年の4,233人から2017年には9,342人へと増加しており、減少が続いていた訪日外国人宿泊客単価も増加に転じるなど、インバウンド需要は着実に拡大してきている状況です。

地域の事業者は全体的に外国人が増加しているほか、大館市では2016年に0人だった農家民宿が2018年には241人まで急増しました。

一方でインバウンドの受け入れ態勢整備においては、ガイドの養成や音声ガイドシステムの整備など、依然として課題が残っています。

秋田空港と台湾を結ぶチャーター便の増便を受け、秋田県の訪日外国人観光客の約4割を台湾人が占めるなどアジア圏からの誘客は好調です。

今後は欧米豪からのインバウンド客に長期滞在を促すことで、低迷している1人あたりの観光消費額を引き上げることが課題の1つです。

人口減少の課題にインバウンド施策で立ち向かう

もともと観光地ではなかった大館市・北秋田市・小坂町・上小阿仁村でしたが、「秋田犬ツーリズム」の取り組みにより、若手有力者の自主的な組織作りをはじめ、地域の人々の間で観光をきっかけとした地域活性化に対する考え方に変化が見られています。

近年では、従来のプロモーション方法にとらわれることなくデジタルマーケティングを積極的に取り入れており、SNSなどのデータ分析をもとに、ニューヨーク・シンガポール・香港をターゲットにしたプロモーションを実施しています。 

各国での「秋田犬」をフックにしたにプロモーションは、ニューヨークであれば自然や文化面を、シンガポールと香港であれば食を、といったようにインバウンド市場の動向をふまえた展開が特徴的です。

大館市・北秋田市・小坂町・上小阿仁村の4市町村で人口減少や超高齢化社会が深刻であることを受け、秋田犬ツーリズムは「地域の人々が外から訪れる人々と交流することで、充実した人生を送れるような社会づくり」をミッションに定めています。

同様の問題に直面している他地域はもちろん、成熟した東アジア諸国や欧州諸国からも「大館を中心とした秋田県の地域が取り組んだこと」がモデルケースとして認知・参考にされるよう、苦しい状況に向き合い、課題に取り組んでいきたいとしています。

柔軟な発想で伝える「食」の魅力

SAVOR JAPAN」に認定されている秋田県大館地域では、きりたんぽ・比内地鶏・とんぶり・ジュンサイ・枝豆など、地域の豊富な食文化を魅力として、インバウンド誘客促進を目指しています。 

きりたんぽ作り体験や農業体験を盛り込んだ農家民泊のPRをはじめ、言語や食事面の受け入れ態勢整備、予約に関する海外からの問い合わせ対応などに積極的に取り組んでいます。

また海外を舞台にしたプロモーション活動にも力を入れており、秋田県北部の伝統食「きりたんぽ」を「食べる」だけでなく「作る」体験も提供し、コト消費需要を取り込んでいます。シンガポールの日本大使館の行事や、香港での「秋田犬ツーリズム」単独フェアなどで実施されました。

また「日本の食=和食」と解釈するのではなく、日本生まれの洋食や中華料理、洋菓子も「日本の食」であるとし、より柔軟な発想や捉え方を重要視しています。

実際にシンガポールからのインバウンド客の間では、北秋田市のバター餅が人気です。大福や羊羹といった和菓子だけでなく、和洋折衷のものも訪日外国人観光客は好むことがわかる事例となっています。

伝統的な郷土料理などに加え、駄菓子やB級グルメといった幅広い食の分野で調査やモニタリングを実施することで、新たな魅力を発掘できるかもしれません。

まとめ:秋田ならではの魅力を発信し欧米豪の誘客を促進へ

「秋田犬ツーリズム」では、従来の枠にとらわれることなく地域の魅力を新たに発掘したり、デジタルマーケティングを用いたプロモーションを実施したり、きりたんぽをはじめとした郷土料理やB級グルメで食の魅力を伝えたりするなど、地域主導のインバウンド対策に積極的に取り組んでいます。

秋田県では人口減少や超高齢化社会に直面していることを受け、今後は欧米豪を中心に長期滞在を促し、さらなる地域活性化を目指すそうです。インバウンド誘客による地域活性化のモデルケースを目指している「秋田犬ツーリズム」の取り組みは、今後の展開も注目に値するでしょう。

<参照>

・JTB INBOUND SOLUTION:秋田犬の大館市・北秋田市・小坂町・上小阿仁村の取り組み。欧米豪のマーケットを取り組むことで社会課題を解決する

・ウェブスタ:台湾人に人気の東北!秋田県のインバウンド対策、意外な人気を誇るものは?

・農林水産省:「SAVOR JAPAN(農泊 食文化海外発信地域)」について

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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