中国から日本を訪れる観光客の数は、訪日外国人観光客全体の4分の1を占めています。インバウンド集客を伸ばすためには、中国人観光客を取り込むための対策が必要不可欠であると言えます。
中国では、旅行前の情報収集手段として中国独自のオンラインサービスを利用する傾向が高く、検索エンジンの百度(バイドゥ)、メッセンジャーアプリの微信(WeChat)、中国版Twitterとも言える微博(Weibo)などがメジャーです。
このようなサービスをうまく活用して中国人に向けたプロモーションを行うことは、インバウンド集客に非常に有効です。今回は、その中でもWeiboに注目し、Weibo上でのフォロワー数ランキングや活用方法などを見ていきます。
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対中国人はWeiboを使ったプロモーションが効果的
中国に向けた情報発信は、Weiboをうまく活用することがポイントです。Weiboは、140字以内の文章に写真や動画を付けて投稿ができるようになっており、使い方がTwitterとよく似ているのが特徴です。
公式観光サイトなどは情報量が多く、気になる情報がどこにあるのかを探す必要がありますが、Weiboなら1つの投稿ごとに魅力が簡潔にまとめられているので、分かりやすく見やすいというメリットがあります。
最新情報を随時アップデートしたり、その時期だけの旬な情報、写真・動画を使った目を引く投稿を続けることでフォロワーも増加していき、より多くの人に情報を発信することが可能になります。
Weiboはユーザー数7億人の巨大プラットフォーム
Weiboはユーザー数が約7億人を誇る巨大なSNSプラットフォームです。1日のアクティブユーザー数を見ても、約1.39億人と日本の総人口を上回っています。
これだけ多くのユーザーをWeiboは抱えているので、フォロワーを多く獲得し、質の高い情報提供を続けることが、日本へ足を運んでもらうきっかけになります。
また、Weibo上でフォロワーを獲得し、そこから集客へ繋げるだけでなく、Weiboを入口として日本の観光そのものに興味を持ってもらう狙いもあります。公式サイトへ誘導したり、リピーターにまた訪れてもらえるような情報を発信したりと、使い方を工夫することでアプローチ方法も変わってきます。
各自治体のWeibo活用状況
日本では2019年3月時点で42都道府県がWeiboを運用しており、積極的に情報発信を行っています。
2017年のExpedia Media Solutionsによる調査結果「ASIA PACIFIC TRAVEL TRENDS 2017」によると、旅行前の情報収集段階で意思決定に影響を与えるのは、ネット上での家族や友だちの投稿が50%、ソーシャルメディアが38%と、口コミを重視する傾向が非常に高いことがわかりました。
中国人の情報収集の傾向を踏まえると、SNSを通じた発信というのがいかに有効であるかが分かります。
WeiboフォロワーランキングTOP5
2019年4月に株式会社オーエスが、各都道府県におけるWeibo運用の実態調査結果を発表しました。Weiboの自治体ごとにおけるフォロワー数ランキングは、意外な結果となっています。
ここでは、上位5つの自治体をその魅力と合わせて紹介します。
1位:青森県
青森県は、2位の北海道を大きく引き離す1,224,205人という圧倒的なフォロワー数を獲得しています。
投稿内容は、青森のオリジナリティを重視したユニークなものが多く、中国人を惹きつける要素が盛り込まれています。
青森の空の玄関口である「青森空港」と中国・天津の定期便が就航していることや、中国人を起用した青森の魅力を紹介する番組のヒットなど、青森人気を後押しする条件も揃い、外国人観光客の伸び率は日本一となっています。
また2010年頃同県に在住し中国向けに情報発信していた女性インフルエンサーの存在も、現在にいたるまで青森の良いイメージの普及に一役買っていると考えられます。
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2位:北海道
2位の北海道は、フォロワー数166,931人で、中国人の安定した需要が長年ある人気エリアです。
雪国である北海道は、上質なパウダースノーのゲレンデを持つスキー場が多く、ウインタースポーツが非常に人気です。また、札幌雪まつりなど、北海道ならではのイベントや新鮮な魚介類を使ったグルメなど、多彩な魅力を持っています。
また、北海道人気が一気に高まったのは、北海道を舞台にした2008年公開の中国映画「非誠勿擾」が大ヒットしたことも大きな要因となっています。
3位:沖縄県
3位の沖縄は、フォロワー数74,026人です。中国からの地理的な近さもあり、足を運びやすいスポットとなっています。
沖縄には魅力の異なる離島が多数点在しており、本島へ飛行機で行くだけでなく、クルーズ船で離島を訪れるツアーも人気があります。
沖縄本島は那覇をはじめ、ショッピングスポットや美しい海、きれいな空気、豊かな緑、満点の星空など、見どころが満載です。
4位:大阪府
4位の大阪は、フォロワー数68,786人です。2018年9月時点のランキングでは5位でしたが、2019年には京都を抜いて4位に浮上しています。
大阪には、観光地、テーマパーク、ショッピングスポット、グルメ、宿泊施設と、ありとあらゆる観光資源や関連施設が揃っているのが大きな魅力です。
また、大阪は西の玄関口である「関西国際空港」を有し、大阪エリア内はもちろん、京都や奈良といった近隣の人気観光地へのアクセスもいいため、観光拠点として多くの人が集まっている側面もあります。
5位:京都府
5位の京都は、フォロワー数65,453人です。京都は古くからの情緒溢れる町並みが魅力ですが、和装体験、和菓子作り体験、そば打ち体験といった、多様な日本の文化体験も人気を集めています。
こうした体験メニューはツアー日程に組み込まれる場合も多く、高い需要があることが伺えます。
Weiboを活かしたプロモーション戦略
各自治体をはじめ、観光地、店舗、飲食店、宿泊施設などもWeiboを活用することで、一気に多くの中国人に向けたプロモーションが可能です。もはや活用しない手はないでしょう。
もちろん、プロモーションの対象、タイミングや内容については戦略をしっかり練り、目的に合わせて投稿することが重要です。
中国人が興味を引く旬の情報
Weiboはより多くの人にアカウントをフォローしてもらうことで、投稿を見られる頻度が上がり、旬の情報を提供できることが大きな魅力です。
春の桜、夏の祭り、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々の見どころを写真や動画と共に投稿すれば、よりダイレクトに魅力や臨場感を伝えることができます。もちろん風景やスポットだけでなく、グルメ、伝統文化、祭りといった多様な情報を織り交ぜて発信することも大切です。
尚、情報発信の際は、日本から見ておすすめしたい情報を発信するだけではなく、中国人からのニーズが高い内容も含めるとより効果的です。
例えば、おすすめのお土産を紹介する際には土産店・物産館など、外国人の買い物スポットで実際によく売れている商品を、なぜ人気なのかという理由と共に紹介するなど、より具体的な情報を入れると良いでしょう。
魅力的なキャンペーンの実施
Weiboではフォロワー獲得を目的とした投稿も、効果的な宣伝戦略の1つです。魅力的なキャンペーンや店舗・飲食店・観光スポットなどで使えるクーポンの掲載など、お得な企画を打ち出すことで、一気にフォロワー増やすきっかけとなります。
日本の自治体でも既に実施しており、例えば山梨県は投稿をリツイートしてくれた方に対して、日本の商品を抽選でプレゼントするというキャンペーンを不定期で行っています。
中国でも人気のキャラクター「ハローキティ」のグッズや、伝統的な和雑貨を用意し、実際に多くのリツイートやフォロワーの獲得に繋がっています。
リピーターに向けた情報発信
観光庁実施の「平成29年訪日外国人消費動向調査」によると、訪日外国人観光客の約6割はリピーターであるという結果が出ています。さらに、訪日回数が増えるほど地方を訪れる割合や1人旅の割合が高くなり、温泉に浸かる、日本酒を飲む、スキーをする、スポーツ観戦をするといった、日本体験(=コト消費)に対するニーズも高まる傾向があることも分かっています。
そのため、初めて日本を訪れる中国人を対象にしたPRだけでなく、訪日リピーターに向けたよりディープな情報を発信することも重要です。
また、Weiboの情報は一般の中国人だけでなく、旅行関連会社もチェックしているため、魅力的な内容であればツアー行程に組み込んでもらえる可能性も高まります。
Weiboを駆使して中国人観光客の取り込みを強化
Weiboの利用者は、所得の比較的高い大卒以上のユーザーが7割を占め、年齢層は17~33歳が8割を占めています。日本へ旅行に来てくれるかもしれないWeiboの利用者の傾向を把握し、ターゲットに響く内容の投稿を心がけると良いでしょう。
対中国人に向けたウェブのプロモーション方法は何通りもありますが、Weiboでのプロモーションを上手く取り入れれば、より多くの中国人観光客の取り込みが期待できるでしょう。
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今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
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