トルコ人に親日家が多い理由:日本との歴史背景・共通点・インバウンド事情

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トルコ人は親日家が多く、世界的にみても親日国として有名です。日本から遠く離れたトルコでなぜ親日家が多いのか、それはトルコの前身国であるオスマン帝国と日本との間の歴史的事件が大きく影響しています。

この記事では、トルコ人が親日になった背景やトルコ人と日本人の共通点、インバウンド事情について解説していきます。

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トルコ人に親日家が多い理由

トルコと日本は地理的には8,500㎞以上も離れています。物理的な距離だけでなく、文化的な交流も少ないため「親トルコ」的な日本人はそう多くないと言っていいでしょう。

にも関わらず、トルコ人は親日的であると言われています。実際にトルコを旅行した方の体験談を交えて、トルコ人の親日ぶりやその背景について詳しく紹介します。

観光地では特に親切:トルコを訪問した日本人旅行者の体験談

編集部では、実際にトルコを訪問した日本人旅行者(以下、Aさん)に話を聞きました。

多くのトルコの都市を回ったAさんは、観光地に住んでいるトルコ人や接客業をしているトルコ人は特に親切だと感じたようです。

世話好きな国民性なのか、「紅茶をおごってくれたり、困っていたらすぐに声をかけてくれたりした」と言います。

特にAさんが驚いたことは、帰国間際のイスタンブールでお金なく紅茶しか飲むお金がなかった際、「日本人だと分かると軽食を無料で出してくれた」ことだそうです。

しかし、田舎町を訪問した際にも同様に親日的な態度と感じたかというと、実際そこまでは感じなかったと言います。日本人に対する好意的な感情は地域によって度合いはさまざまなのかもしれません。

観光地での親日度が特に高いことについては、日本人観光客のマナーの良さや、異国文化を尊重する姿勢が好印象を与えているという可能性も考えられるでしょう。

トルコ人はなぜ日本人が好きなのか

2012年に外務省がトルコ人に対し行ったアンケート調査の結果によると、「日本にどの程度関心がありますか」という質問に、61.6%が「非常にある/どちらかというと関心がある」と回答し、83.2%がトルコと日本の関係を「友好関係にある/どちらかというと友好関係にある」と回答しました。

また、トルコにとっての重要なパートナーとして、13.7%が日本と回答し、イスラム諸国に次いで2位となりアメリカを上回りました。多くのトルコ国民が日本を「重要なパートナー」として認識しているようです。

日本よりも関係の深いアメリカを上回ったのは、トルコ国内には反米感情を持つ人が一定数いることと、それを理由に広島・長崎への原爆投下に対する同情心を持っていることが影響しているとも考えられます。

日本への関心分野については60.3%が「科学技術」と回答しており、日本が東洋の国でありながら欧米と肩を並べる先進国になったことに対する敬意や憧れのようなものがあるとも言われています。

日本がボスポラス大橋の耐震工事にあたって経済協力したことや、東日本大震災後のトルコの救援隊派遣とトルコ東部地震に対する日本政府の緊急支援などに関しても、多くのトルコ人が認識しています。

▲[ボスポラス大橋]:イメージ
▲[ボスポラス大橋]:イメージ

トルコ人が親日となったきっかけは?

そもそもトルコ国民が日本に対し好意的な印象を持つに至った契機は、1890年に起きた「エルトゥールル号事件」であると言われています。

トルコ共和国の前身であるオスマン帝国の軍艦・エルトゥールル号は、日本を訪問し、皇帝・アブデュルハミト2世からの親書を明治天皇に奉呈するなどの交流を行いました。

しかしエルトゥールル号は帰途、現在の和歌山県沖で座礁、沈没しました。乗組員581名が亡くなる大惨事となりましたが、奇跡的に69名が救助され、日本側が官民あげての手厚い救護を行いました。日本全国から義援金や弔慰金が集まり、最終的に生存者は日本の巡洋艦によりオスマン帝国まで送り届けられることになります。

先述のアンケートにおいて29.9%が「知っている」と回答した事件で、現在はそこまで知名度が高くないとはいえ、当時のオスマン帝国民が日本の存在を知り、好感を持つ大きな契機となりました。

そしてエルトゥールル号遭難事件から約100年後の1985年、イラン・イラク戦争においてイラクがイラン上空の航空機に対する期限を定めた無差別攻撃宣言を行い、テヘランで在イラン邦人が孤立し帰国できない事態となりました。

当時の法整備上、航空自衛隊は派遣できず、国内唯一の国際線運航会社の日本航空も特別機の派遣に難色を示し、在イラン邦人は窮地に立たされました。

そんな状況下でトルコは自国民向けの特別機を派遣し、そこに日本人を同乗させるという作戦を取りました。

これはエルトゥールル号遭難事件から始まった日本とトルコの間にある友好関係を象徴する事件となっています。

日本に好感抱く8つの親日国・反日感情の強い国とは

世界中には日本に対して好感を抱いている親日国と、日本に対反感を抱いている反日国が存在します。 親日国や反日国というのは、あくまでも国民のうちのマジョリティの意見を抽出したものであるため、国民全員の意見を反映しているわけではありません。 しかし、親日思想、反日思想は対外関係や国際情勢にも影響を与えうる重要なポイントの一つです。 そのため、このような「国民性」は

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トルコ人と日本人の共通点は?

遠く離れたトルコですが、実は日本と文化的な共通点を多く持っています。ここでは、言語や住居における共通点を紹介します。

言語の共通点:トルコ語・日本語の文法が似ている

トルコ語はアルファベットを使用しますが、語順は日本語に近く、動詞が文末に置かれます。

例えば、「İngilizce konuşuyor musunuz?」というトルコ語の文章に出てくる単語はそれぞれ、İngilizce:英語 konuşmak:話す yor:現在形 mi:疑問形 sunuz:二人称の意味を持ちます。「(あなたは)英語を話しますか?」という意味で、ほぼ日本語の語順と同じであることがわかります。

住居の共通点:家に入るとき靴を脱ぐ

欧米などの諸外国では土足のまま室内に入るのが一般的です。しかしトルコはアジアの中でもヨーロッパに近い場所に位置していますが、日本と同じように靴を脱いで室内に入るという習慣を持っています。

汚れを家に持ち込むことを嫌うという宗教的観点を持っていることから日本とよく似た習慣が生まれたようです。「礼儀正しい」という共通の国民性も影響しているのかもしれません。

トルコ人のインバウンド事情は?

ここまでトルコと日本の関係や、トルコ人の日本に対する感情などを紹介してきました。

親日国であり日本に好意的なトルコですが、インバウンド関係に注目すると少し異なる様相が見えてきます。そんなトルコ人のインバウンド事情についても詳しく解説していきます。

親日にも関わらず訪日客数はアジアの主要国の中で最も少ない

日本に対しての印象や認知度が高いにも関わらず、トルコからの訪日観光客数はアジアの主要国の中で最も少ないのが特徴です。

2018年の訪日客数は19,762人でした。アジアの端と端の国同士ということもあり、なかなか往来が難しいのかもしれません。

加えて、直行便などの整備が進んでいないことも要因と考えられます。トルコとの直行便があるのはイスタンブール―羽田・成田間の二路線のみです。また、どちらも飛行時間が12時間を越えます。

訪日トルコ人を誘致するためには、交通面の整備も重要になってくるでしょう。

2019年は「日本におけるトルコ文化年」

今年は「日本におけるトルコ文化年」で、2003年以来約16年ぶりのこの企画は両国が共同で宣言し、日本で多くの文化交流のイベントが開催されました。国立新美術館では「トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美」が開催され、イスタンブルのトプカプ宮殿博物館が所蔵する宝飾品、美術工芸品が日本で公開されました。

また、トルコの外務大臣と日本の首相、外務大臣の会談も行われ、両国が「重要なパートナー」関係であることが確認されました。

2019年を新たな出発点として、互いの文化・政治的交流が深まることが期待されます。

トルコ人に多いムスリムに向けたインバウンド対策は?

トルコ人の大部分はムスリム(イスラム教徒)です。

ムスリムは宗教上守らなければならない決まりが多くあり、特に飲食店ではムスリムが食することを許される食事(ハラルフード)への理解を深める必要があります。イスラム教のルールに則り調理された商品であることを証明するハラル認証というライセンスを取得することで、ムスリムにとって適切な食事を提供できます。

また、ムスリムは日に何度か礼拝をおこなうため、専用の礼拝室を設けるなどの施策も普及しつつあります。

ただし、こういった取り組みがトルコ人に伝わらなければ集客に繋がりません。ムスリム対応に取り組んでいることをアピールする情報発信も必要になるでしょう。

ムスリムとは

ムスリムとは、アラビア語でイスラム教徒を意味します。世界中に1...

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親日家であるという利点を訪日につなげられるか

親日家が多く、今なお経済協力や文化面での交流が続いているトルコですが、インバウンド市場においては伸び悩んでいます。

これは、適切な施策が取られていないことにより、潜在的な需要が今なお眠っているということでもあります。この需要を取り込むには、交通面の整備やムスリムへの対応、そして情報発信が必要です。

東アジア、東南アジア諸国からの観光客に加えてトルコなどイスラム圏からのインバウンドが増えていけば、日本のインバウンド業界のさらなる発展が期待できるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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