2018年は、日本とフランスが交流をはじめて160年にあたる年でした。ただし江戸時代の鎖国体制のもとでも、工芸品の貿易は盛んに行われていたそうです。日本の大衆文化であった浮世絵が、フランスを代表するモネやゴッホなどの画家に強い影響を与えています。
フランス人が日本のコンテンツに心を動かされるのは、今も昔も変わらないようです。フランスではJapan Expoが大々的に開催されており、日本のアニメ、マンガ、ゲーム、J-POP、武道、民芸などのコンテンツが紹介されています。
Japan Expoは2019年で20回目を迎え、来場者数は25万人を超えました。特にアニメやマンガは人気で、こうした作品をきっかけに日本語を学ぶ人も増えているそうです。
本編では、フランス人が日本語を学習する際に感じることや、フランス人が訪れたい日本のスポットを解説します。
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フランス人が日本語を習得するのは難しい?
母国語以外の言語を習得することは簡単ではありません。特に外国人が日本語を学ぶ際に苦戦するのが文字だと言われています。ひらがな、カタカナ、漢字はアルファベットよりも種類が多く、形も複雑です。フランス語と日本語の違い
フランス語の特徴として女性名詞と男性名詞があり、名詞が持つ性別によって冠詞や語尾が変化すること、「h」は記載されていても発音しないことが挙げられます。文法は多少の違いはあるものの、英語のように主語+動詞+目的語で構成されています。26種類のアルファベットに記号を用いた文字を使います。またフランス語には8つの時制があり、それによって動詞の活用も変わります。そのためフランス語では動詞の活用だけでいつのことを指しているのかわかる作りになっています。
一方、日本語では動詞、形容詞、形容動詞、助詞が次に続く言葉に合わせて語尾が変化します。46種類のひらがなとカタカナと漢字を使用します。日本語は主語を省略してしまう文章も多く存在し、前後の文脈依存が強い言語です。
一文で主語、述語、目的語など必要な情報が揃っているフランス語とは異なり、日本語は文脈から主語や時制まで判断しなければならない時があるため、日本語は難しいと感じるフランス人も多いようです。
また発音では、フランス語では発音しない「h」を含む「は行」の発音を難しく感じる人もいるようです。
漢字に苦手意識
フランス語はアルファベットを使用するため、ほとんどの人は日本語を学ぶためには文字から覚えなければなりません。フランス人にとってひらがな、カタカナ、漢字は絵のように見え、形だけではなく書き方を習得することが難しいようです。また、漢字には読み方が複数存在することが多く、さらに音読みと訓読みにも分かれていて覚えることが多いため、こうした大量の記憶力を必要とする学習を苦手に感じる人もいるようです。
フランス人が日本語を学ぶ理由
フランスには日本のアニメやマンガのファンが多く、翻訳しきれない日本独特のニュアンスや意味を理解するために日本語を学ぶフランス人が増えています。字幕なしでアニメが見たい
フランスでは2000年以降、2005年を除き毎年Japan Expoと呼ばれる日本文化の展示会が毎年開催されています。日本のアニメやマンガの存在感の大きさが表れているといえるでしょう。2019年には20回目の開催を迎えました。Japan Expoでは、現在ゲームやJ-POPなどさまざまなコンテンツが扱われていますが、当初の開催のきっかけはアニメとマンガです。
日本のアニメは英語やフランス語に翻訳され字幕付きで放送されています。しかし、日本と翻訳先の文化が異なるため、翻訳の際に本来のセリフの意味やニュアンスが抜け落ちることがあります。日本のアニメや漫画を愛するフランス人の中には、より正確に、より深く作品を理解しようと日本語を学ぶ人もいるようです。
セリフの原語での意味が翻訳しきれない現象は「ロストイントランスレーション」と呼ばれ、アメリカ人の映画監督ソフィアコッポラの作品タイトルにもなっています。
日本の「Kawaii文化」「伝統文化」に興味がある
アニメやマンガの他に人気なのが「Kawaii文化」です。渋谷や原宿で見る若い世代のファッションや飲食店などを指します。
日本語の「かわいい(Kawaii)」は、現在外国でも通用するほど、世界中から注目の概念となっています。
また「Kawaii」が代表するポップカルチャーだけでなく、神社やお寺、お城などの歴史的建造物や伝統的な日本の食文化も、フランス人から高く評価されています。こうした施設における多言語対応は非常に重要だといえるでしょう。
マンガ、アニメ、カワイイが好きなフランス人に喜ばれるスポット
マンガやアニメファンの間では、作品の中に登場する土地を訪れる「聖地巡礼」やレアアイテムが揃う街やお店に行くことが流行っています。マンガ、アニメ、カワイイが好きな訪日フランス人が足を運ぶと考えられるスポットを2つ紹介します。
外国人観光客に人気のアニメ聖地5選/鎌倉の踏切に訪日外国人が殺到するワケ
日本が世界に誇る文化のひとつといえば、「アニメ」です。人気アニメや漫画に登場する街や場所はファンの間で「聖地」と呼ばれており、実際に「聖地」を訪れることを「聖地巡礼」といいます。 日本のアニメや漫画は世界から高い評価を受けており、最近では多くの旅行代理店で訪日外国人観光客向けの「聖地巡礼ツアー」をおこなっています。世界でも名の知れた日本の漫画やアニメを活用した地方のインバウンド誘致は、全国で旋風を巻き起こしています。 そこで今回は、訪日外国人に人気の聖地巡礼スポット5か所を紹介しましょ...
1. 中野ブロードウェイ
中野ブロードウェイはサブカルチャー系の店舗が多く、「サブカルの聖地」として日本人だけではなく、世界中のサブカルファンから親しまれています。特に外国人からは「まんだらけ」などのマンガやアニメグッズ、フィギュアなどレアなアイテムが揃う店は人気があり、平日も土日も賑わってます。
取り扱っている商品はもちろん、秘密基地のような独特な雰囲気も中野ブロードウェイに外国人観光客が集まる理由です。
2. 外国人メイドが多数在籍するメイドカフェ
アニメやマンガの聖地の代表スポットである秋葉原には、訪日外国人にも対応できるメイドカフェが増えています。JR秋葉原駅電気街口から徒歩5分の場所にある「Akihabara Multinational Gaijin Maid Cafe&Bar 『Sugoi Kawaii』」には、外国籍のメイドが多数在籍し、日本語だけではなく英語や中国語で接客をしています。
「萌え」は「カワイイ」同様、日本の文化として認知が高まっていますが、これを外国語で体験できる店舗はまだあまり多くなく、貴重な存在となっています。
外国人に人気 秋葉原の観光スポット&店
2018年に日本を訪れた外国人観光客は初の3,000万人を突破し、インバウンド市場は年々盛り上がりを増しています。銀座や原宿、渋谷など東京都内には数多くの観光スポットがありますが、特筆すべきはサブカルの街として知られる秋葉原です。家電製品や漫画、アニメ、ゲームなど日本ならではの文化が凝縮された秋葉原が、世界各国から人気を集める理由を探っていきます。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日...
サブカルチャーを通して日本語を学ぶ外国人に喜ばれるのは「日本語の接客」という仮説
フランスでは日本の文化への関心が高く、特にアニメやマンガファンは日本語をある程度学習してから訪日する人も多いようです。
フランス以外でも、日本の伝統文化だけでなく、アニメやマンガといったサブカルチャー、カワイイや萌えといった日本発祥の概念に「直接触れたい」という思いから、日本語を学ぶ人もいます。
こうした客層に対しては、日本語をベースにしたサービスの提供により「ロストイントランスレーション」を可能な限り減らすことが、顧客満足度を高めることにつながるでしょう。
一方で、日本語を学んでいない訪日外国人も多くいます。訪日外国人は引き続き増加しており、接客や店内の案内、メニューなどの多言語対応は東京や大阪、京都といった主要観光地以外でも、基本的な接客ツールとしてますます一般化してくるでしょう。後れをとらぬよう、先手をうった環境整備が競合との差別化にも有効かもしれません。
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