震災からの復興が進んでいる宮城県は、仙台空港もあり、中国や台湾、韓国からアクセスしやすい環境にあります。
震災から5年で震災前の外国人延べ宿泊者数を上回りました。
さらなる振興や外国人観光客を誘致するために、宮城県はどのような取り組みをしているのでしょうか。
この記事では、インバウンドの統計に基づいて、宮城県におけるインバウンドの現状と今後の課題について紹介します。
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データから見る宮城県のインバウンド
宮城県における観光客数、消費金額および旅行動向における統計はどのような数値となっているのでしょうか。
ここでは、データから見た宮城県のインバウンド事情について紹介します。
宮城県のインバウンド需要
宮城県は、日本人が宮城県に思う観光地としての魅力はインバウンドにおいてはまだ周知・PRが進んでいないことが数値から見られます。
宮城県への観光客数
宮城県への訪問率および訪日外客数から計算すると、宮城県に訪れる外国人観光客数は275,892人で、全国第29位でした。
また、宿泊観光客数の観点は402,110人泊で全国第27位となっています。この2つの観点から、宮城県に訪れた外国人観光客の多くが、宿泊していると考えられます。
地域別でみた外国人観光客数では、台湾からの観光客が最も多く、39.90 %となっています。次いで中国からの観光客が16.73 %、韓国からの観光客が8.12 %となっています。
消費金額
宮城県における外国人の1人あたりの消費金額は、53,417円となっています。これは、全国第11位に位置しており、日本国内の中でも多くの金額が消費されていることがわかります。
インバウンド消費金額も、台湾が最も多く63.06 %となっています。
次いで中国が11.15 %となっています。また、宮城県に来ている訪日外国人のインバウンド消費金額は、中国が約10万円と最も多く、特に4万9,725円である買物代が多い傾向にあります。
次いで台湾が約4万6,000円となっており、こちらも1万6,315円を占める買物代が多い傾向にあります。
旅行動向
宮城県における平均宿泊日数は5.2泊となっており、比較的に短期滞在が多いことがわかります。
また、宮城県経済商工観光部観光課が発表している観光統計概要によると、季節別観光客数では冬季が最も多いことが報告されています。
この数値は国内からの観光客も含まれています。着目すべきは、宮城県を訪れる観光客にはスキーを目的とした人も多い点です。外国人観光客も、冬季の宮城旅行を計画する可能性は高いでしょう。
宮城県のインバウンドへの取り組み
上述のような観光客の需要に対して、宮城県はどのような取り組みをしているのでしょうか。
ここでは、宮城県の観光プランや、ハード面およびソフト面の両方からみたインバウンド事業について紹介します。
みやぎ観光戦略プラン
宮城県ではみやぎ観光戦略プランを打ち立て、施策展開の方向性として3つの計画を立案しています。一つ目は、宮城県へ「いざなう」プランです。宮城県のイメージづくり、誘客活動およびイベントの誘致によって、宮城県の魅力をアピールします。
二つ目は、宮城県で「もてなす」プランです。やさしい人づくり、やさしい観光地づくりおよび地域資源向上によって、地域全体でもてなす観光地づくりを目指しています。
三つ目は、宮城県を「ととのえる」プランです。地域力向上組織構築、東北ぐるっと連携および各主体の役割分担によって、地域全体で観光産業をととのえます。
これらのプランは2006年に発表され、2007年から2010年までの4年間に実行されました。
これらを基に2011年に策定された第2期では、主にインバウンドへの対策をしています。
さらに第3期では、震災によって減少した観光客を増加させるためのプランを策定しています。
ハード面での具体的な取り組み
宮城県では、震災により減少したインバウンドを回復するため、ハード面でも複数の取り組みをしています。
無料公衆無線LAN(Wi-Fi)の充実や、多言語案内板の整備がこれに該当します。
無料公衆無線LANに関しては、無料公衆無線LAN設置支援事業を立ち上げ、3,831千円をかけて30施設に交付することが2014年に決定しています。
さらに2015年では、JR仙台駅などをモデルとした無料公衆無線LAN設置支援をしています。
多言語案内板に関しては、 2015年から松島湾エリアにおける多言語の案内表示、デジタルサイネージおよびサイクルツーリズムなどの導入に向けた調査事業が行われています。
これらによって、外国人観光客を受け入れるための環境整備を促進するための動きがあることがわかります。
ソフト面での具体的な取り組み
ハード面だけでなく、ソフト面でも様々な取り組みが行われています。
台湾や中国などの現地で開催される、国際旅行博への出展もそのうちの一つです。
さらにマスコミやパワーブロガーなどへの招請事業も行っています。
また、宿泊施設や飲食店などの民間事業者と連携し、外国人旅行者に向けたおもてなし研修会をしています。
加えて、特に力を入れているのが台湾の高校の教育旅行誘致です。
2014年では、台南市台日友好交流協会と宮城県観光連盟によって、「教育旅行に関する覚書」に署名されました。
現地にてキャラバンの実施や、学校訪問などをしています。また、高級中学校11校の校長を招請し、宮城県のアピールをしています。
2015年には、実際に教育旅行を実施したほか、現地における教育旅行検討会でのプレゼンなども行っています。
宮城県インバウンドの現状と課題
2015年における観光客入込数は6,066万人であり、震災から4年間で回復していることがわかります。
しかし、内陸部と比べて沿岸部では、震災前の約7割しか回復していません。よって、沿岸部の振興を進める必要があります。
外的要因の課題
2015年における宮城県の外国人延べ宿泊者数は16.1万人であり、震災から5年で震災前を上回っています。
一方で、都道府県別外国人延べ宿泊者数の伸び率では104%と、全国ワーストとなっています。
挙げられる主な要因として、海外ではいまだに強い印象が残る原発事故に対する風評だと考えられています。
内的要因の課題
内的要因に関しては、まず情報発信量が少ないことが挙げられます。
宮城県には豊富な観光資源がありますが、その魅力が十分に伝わっていないと考えられます。
次に、地域でもてなす意識が不足していることが挙げられます。
県民が地域に誇りをもち観光客に地域の良さを伝え、もてなす心構えが不足していると考えられます。
さらに、観光によってもたらされる経済効果や異文化交流などは、とても大きなものがありますが、それらへの認識が不足していると考えられます。
最後に挙げられるのが、地域の魅力が十分に活用されていないことです。観光資源を有効的に使用することが必要であると考えられます。
課題を考慮してさらなるインバウンド誘致を
外国人観光客を誘致するためには、ハードおよびソフトの面からアプローチをすることが必要であると考えられます。
また、外的要因および内的要因を解決することで、効果的な集客が望めると考えられます。
<参照>
宮城県経済商工観光部:観 光 統 計 概 要
宮城県:みやぎ観光戦略プラン(概要版)
宮城県:みやぎ観光戦略プラン
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