長崎県は古くから西洋や中国とのつながりが深く、日本の産業、医学、文化、スポーツなどの発展に重要な役割を果たしてきました。
しかし、長崎県の近年のインバウンド需要は伸び悩んでいます。
この記事では、長崎県のインバウンド需要に注目し、長崎県が抱える課題や取り組みについてご紹介します。
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長崎県のインバウンド動向
長崎県は、「軍艦島」で知られる端島や夜景を楽しめる稲佐山など、観光スポットが豊富です。実際のところ、長崎県のインバウンド動向はどうなのでしょうか。当記事では、長崎のインバウンド需要から具体的なインバウンド事例まで紹介します。
長崎におけるインバウンド関連の事業者はぜひ参考にしてください。
長崎県のインバウンドの現状と課題
観光庁「訪日外国人消費動向調査 2018年年間値の推計」によると、長崎県の2018年外国人訪問者数は545,358人で全国第20位、訪日外国人宿泊者数は860,090人泊で全国第19位です。
なお、一人一回あたりのインバウンド消費金額は32,569円で、全国第31位となります。
長崎市観光統計・観光庁宿泊旅行統計調査によると、長崎県での2013年から2017年にかけての外国人宿泊者数の伸び率は66.6%となります。
全国平均が132.9%・九州が193.2%と比べ、長崎県は伸び悩んでいるようです。
インバウンド対応を示すデータでいうと、外国人観光案内所設置数は12施設となっており、全国第42位、Japan.Free Wi-Fi登録施設は1,109施設であり、全国第42位です。
長崎県のインバウンド需要
長崎県は、九州・沖縄エリアにおいて、沖縄、福岡、大分に次ぐ4番目のインバウンド需要がある県です。訪日外国人の訪問率や訪問数、インバウンド宿泊人泊数は、全国的に見ても比較的高い状況です。
長崎県の訪日外国人観光客の国別割合
長崎県の訪日外国人の割合は、第1位韓国・第2位台湾・第3位中国です。およそ45%を韓国人が占めています。アジア圏からの観光客が多い傾向です。インバウンド消費している金額の割合では、第1位韓国、第2位台湾、第3位中国となります。
▲[訪日ラボ:長崎県に来ている訪日外国人の割合]
また、訪日外国人一人当たりのインバウンド消費金額は、第1位アメリカ・第2位中国・第3位香港です。
長崎県のインバウンド消費金額は32,569円であり、全国第31位です。
入国経路別に見る長崎県の訪日外国人観光客
長崎に訪れる観光客の80%は福岡空港からの入国です。次いで、6%が博多港から入国、長崎空港は1%です。長崎を訪れる訪日外国人には、福岡県や大分県からの二次訪問者も多くなっています。
2017年のクルーズ船利用客は267隻入港(福岡に次ぎ全国2位)、過去最高の105万人を記録しました。
クルーズ利用客の9割は中国系が占めています。
長崎県の観光事業:DMO(DMOとは、Destination Management Organization)
DMOとは、Destination Management Organization(デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーション)の頭文字をとった言葉です。
自然・食・建築などの観光資源を活かし、地域と連携して「観光経営」を行う企業を意味します。
具体的には、ブランド戦略の策定や戦略に向けた各種データ分析、プロモーションなどを行います。
佐世保観光コンベンション協会
佐世保観光コンベンション協会は、「海風の国」佐世保への観光客誘致に取り組む団体です。
同団体では、エリアごとにコンセプトを設定し、マーケティングやプロモーション活動を推進しています。
各事業関係者と連携し、インバウンド対策を含む観光促進活動を行っています。
例えば、2018年8月には九州観光推進機構や長崎県観光連盟と連携して、フィンランド航空機内誌の専門フォトライターを招聘し、視察アテンドを実施しました。
長崎国際観光コンベンション協会
長崎国際観光コンベンション協会は、「歴史と異国情緒漂う街」長崎市を中心に観光資源の保護開発に取り組む団体です。
同協会が取り組んでいるインバウンド対策のひとつに、文化遺産総合活用推進事業があります。
「自ら稼ぐ」「事業者を支援する」「ストレスフリーの環境づくり」この循環するビジネスモデルの構築を目指しています。
事業の一環として、訪日外国人に向けた多言語によるパンフレット制作、GPSによるバス移動実態調査、訪日外国人への周遊パスの配布などを実施しています。
島原観光ビューロー
島原観光ビューローは、市内の観光施設を有効活用し島原のブランド化を促進する団体です。ターゲットの分析から、プロモーションまで一貫して行っています。
訪日外国人が不便を感じないような環境の整備を推進しており、公共看板の多言語化やFree Wi-Fiの設置、公衆トイレの様式化などに取り組んでいます。
インバウンド事例としては、島原から県外へのアクセスなどをまとめた英語表記の交通マップの作成などを行っています。
長崎県のインバウンド対策事例
長崎県のインバウンド需要や課題についてはひと通り把握できたでしょう。ここからは、長崎県におけるインバウンド対策事例を紹介します。長崎インバウンド機構事例
2019年7月、「ながさきウェルネス」が開始されました。
ながさきウェルネスとは外国人観光客を対象に、長崎で健康およびウェルネス体験を提供するプロジェクトです。
ウェルネスとは、身体の健康をより広くとらえた概念であり、広い意味での「健康」を意味します。ウェルネスと観光を融合した概念である「ウェルネスツーリズム」は、世界的にもニーズが高まっている観光様式です。
健康に関する国際組織「Global Wellness Institute (GWI)」のデータによると、ウェルネスツーリズムの市場は2017年に639億ドル、年間6.5%に成長しています。また、同データでは、2022年までに919億ドルに達するとの試算もあります。
ながさきウェルネスでは、中小企業のインバウンド対応をサポートすることで、各企業の業績向上を目指しています。
国別インバウンド対策のポイント
訪日外国人の中でも高い割合を占める韓国や台湾に加え、フィリピンなどの新興国や欧米へのプロモーションをいかに行うかが課題です。
フィリピン人はキリスト教徒が多いため、世界遺産に登録されている教会の巡礼ツアーが人気のようです。タイは福岡への直行便があり、リピート率が高いことから、ターゲットとして狙いやすいと考えられるでしょう。
富裕層向けの情報発信や、現地旅行会社のツアー誘致、SNSを活用した口コミによる拡散なども今後の市場開拓の方策として考えられます。
また、オーストラリアからは長崎に寄港するクルーズ船が多いことや、教育課程で被爆地としての長崎を知ることから、教育旅行を中心としたプロモーションが有効ではないかと考えられます。
補助金制度について
長崎では、小規模事業者が実施する外国人観光客等の誘客と消費拡大に資する取組みに対し、20万円を上限に補助金を交付する「長崎市まちなか商店街誘客事業費補助金」があります。
例えば、多言語表記による店内・店外表示、商品パッケージデザインの改善、クレジットカード決済端末機器の導入などが対象となります。
地域の特性を活かしたインバウンド施策
DMOはそれぞれの地域の素材を活かしたプロモーションを中心に進めています。外国人が求めるものを把握すると同時に、地域の魅力を整理し、それらの交差するポイントを見つけることができれば、訪日外国人の誘致において有効な手立てとなるはずです。紹介したインバウンド事例や海外の旅行者のニーズを参考に、地域の特性を活かしたインバウンド施策に取り組んでいくべきでしょう。
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<参照>
(一社)長崎国際観光コンベンション協会:データから見た長崎観光の現状・課題
Global Wellness:New Study Reveals Wellness Tourism Now a $639 Billion Market–to Reach $919 Billion by 2022
(一社)長崎国際観光コンベンション協会:ワクワクから 長崎の未来を。
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今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
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