横浜市のとある民泊が、新型コロナウイルス拡大でもリスクを最小限にとどめられるワケ:多様な宿泊者層・接触は最小限・行政との連携

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新型コロナウィルスの感染拡大が止まりません。中国国内のみならず、日本経済にも影響が現れてきています。インバウンド市場へのダメージも避けられないとの見方も強いでしょう。

今回の感染拡大を受け、訪日外国人を受け入れるインバウンド業界の現場では、どのように対応しているのでしょうか。

筆者は、横浜市の民泊、2nd Placeを経営されているホストの方からお話をうかがいました。実は民泊では、新型コロナウイルス対策以外の災害対策にも応用できそうな、意外な強みがあることが見えてきました。

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民泊の施設内に設置されたカウンターとスツールと窓
▲民泊2ndPlaceのInstagram投稿:編集部スクリーンショット

Instagram:民泊2ndPlaceの投稿(https://www.instagram.com/p/B8WRbopn6RQ/)


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ダメージは意外と小さい?民泊2nd Placeの場合

今回の新型コロナウイルスによるキャンセルは実際に発生したものの、民泊2nd Placeではそこまで深刻な影響はないようです。

中国からのお客様は確かに多数ですが、その他の台湾や香港や東南アジア、北米からの訪日旅行客も利用しています。

また民泊2nd Placeは羽田空港から京急線一本でアクセスできる利便性から、日本人の国内旅行者や出張者、大学受験生の利用もあり、お話を聞いた2月13日時点で深刻な混乱は発生していないようでした。

宿泊客層の多様性が、今回のインバウンド市場におけるダメージを最小限にとどめる結果につながったようです。

チェックイン→利用→チェックアウト…接触のリスクは低い

民泊ではゲストの方を直接対面でお迎えすることもあるようですが、予約から当日のチェックインまでAirbnbなどのアプリのチャット機能でやり取りをします。なので、ゲストと直接的に接触することなく、宿泊にかかわるコミュニケーションや手続きが完了します

民泊の場合、宿泊者にとっても、また宿泊施設のスタッフにとっても、感染症のリスクを考えた際に、ホテルにはない意外な強みや安心材料が存在していることが分かりました。

「外国人」に慣れている土地柄、民泊運営にも有利に

横浜市はこれまでにも、留学生や就労といった形で、外国人の定住者を受け入れてきた経験がある自治体です。

今回の外的要因による民泊へのダメージとは少し視点が異なりますが、こうした土地側も、2nd Placeの運営の安定にもつながっているのではと考えられます。

民泊2nd Placeのある横浜市鶴見区は、横浜市の中でも特に外国人が多く住んでいるエリアです。居住者の外国人に対する抵抗感や不信感が少ない点は、民泊経営のみならず、滞在中の訪日外国人にとっても過ごしやすい雰囲気を作り出している可能性もあるでしょう。

行政との連携もしっかりと。独自の取り組みも

民泊では法令に基づいて、宿泊者の身分証明書及びその他の個人情報の提示を利用者に求めています。この個人情報は、民泊から保健所や警察署や消防署に共有されます。

個人情報の収集と行政機関への提出は、感染症の感染経路調査や災害時の避難などに活用されます。

新型コロナウイルス感染症は国の指定感染症に定められたため、仮に感染した患者を医師が見つけた場合、その医師には報告義務が課せられます。

こうした対策により、感染拡大の予防やウィルスを持ち込まない対策はもちろんのこと、仮に感染が確認されたとしても、感染経路を早期に確実に確定させしかるべき措置がとれると考えられます。不特定多数が宿泊する民泊であっても、行政との連携により、被害を最小限に食い止められます。

▲[民泊2ndPlaceと各行政機関の連携の案内。左から英語、日本語、中国語]:2月13日、筆者撮影
▲[民泊2ndPlaceと各行政機関の連携の案内。左から英語、日本語、中国語]:2月13日、筆者撮影

▲[横浜市保健所の資料、民泊2ndPlaceの感染症対策常備品]:2月13日、筆者撮影
▲[横浜市保健所の資料、民泊2ndPlaceの感染症対策常備品]:2月13日、筆者撮影

備えは常に。助け合いの仕組み

民泊経営者は常に行政の様々な機関と連携しています。

新型コロナウィルスが発生する以前から定期的に保健所の指導を受け、消毒用アルコールや使い捨てのエプロン、マスクや手袋などの基本的な備品を蓄えるようにしています。 ゲストのチェックアウト後の清掃も、時間をかけて布団の高温乾燥と使用部分のアルコール消毒を忘れずに行っています。

ほかにも民泊業界独自の取り組みとして、民泊事業者同士、SNSなどで連携し情報共有を積極的に行っています。

場合によっては情報共有のみならず、非常事態発生時の対応なども柔軟に事業者どうしで助け合うこともあるようです。

例えば、台風や地震発生による交通機関のマヒが発生し、すでにいるゲストと後日チェックイン予定の別のゲストとのダブルブッキングが発生した場合、空室がある近所の別の民泊などと連絡を取り合い、一時的に受け入れるという取り組みも見られます。 

もはや「ネガティブ」な存在ではない、民泊

今回紹介したように、民泊は公的機関との連携も進み、もはや宿泊施設の一形態としての地位を確立しています。

一時期、民泊にはご近所トラブルなどのネガティブなイメージもありましたが、政府側の法律整備や事業者のノウハウの蓄積、民泊スタイルの普及、旅慣れ人口の増加を背景に、トラブルを未然に防ぎ、発生したとしても柔軟に対応できるようになってきています。

日本国内でも新型コロナウィルスの感染者が確認され、残念ながら亡くなった方も出てしまいました。これにより一般市民の間でも警戒レベルを上げての対応が進んでいます。

不要不急な外出の自粛や、出張の取りやめ、テレワークの採用といった傾向は引き続き強まっていくでしょう。

一方で、状況を見極め、様々な目的で引き続き海外から日本を訪れる人がいます。こうした方により安全に、安心に過ごしてもらうためのアイデアが、本インタビューから見えてくるのではないでしょうか。

<参照>

横浜市 住宅宿泊事業(民泊)の届出について

医療機関における新型コロナウィルス感染症へのガイド 第1版 一般社団法人 日本環境感染学会

民泊2nd Place

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この記事の筆者

三木亮(みきりょう)

三木亮(みきりょう)

文教大学情報学部広報学科卒業、浙江師範大学アフリカ研究院修士1年として在籍中。大学卒業後、外国にルーツのある学生の学習サポートなどに携わる。現在は中国の対アフリカ援助などをキーワードに研究に取り組んでいる。

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