訪日消費額、前年同期の3分の2に満たず…新型コロナ影響、1人当たり消費額は微増【観光庁:訪日外国人消費動向調査2020年1-3月期1次速報】

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4月15日、訪日外国人消費動向調査1-3月期の1次速報が発表されました。調査結果には、新型コロナウイルスの影響が顕著に表れています。

同日に発表された訪日外客統計では、訪日外客数は前年同月比93%減という結果になっていました。今回の消費動向調査速報では、訪日旅行消費額が前年同期比3分の2以下に減少したことが明らかとなりました。訪日外客数のデータと比べて減少率が低くなっているのは、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する以前の1、2月のデータも含んでいるためであり、次期はさらなる減少が予想されます

この記事では、1-3月期の訪日外国人消費動向調査を読み解き、訪日外国人の消費動向について詳しく解説します。

《注目ポイント》

  1. 2月からの大きな訪日客減の影響で今四半期の消費額は6,727億円(前年同期比41.6%減)
  2. 一人当たり消費額は大きな減少は見られない

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新型コロナの影響:消費額、2019年10-12月期から44.5%減

2020年1-3月期の訪日外国人旅行消費額(1次速報)は6,727億円(前年同期比41.6%減) と推計されています。

国籍・地域別では、中国が2,348億円(構成比34.9%)と最も大きく、次いで台湾934億円(同13.9%)、香港538億円(同8.0%)、米国421億円(同6.3%)となりました。

▲観光庁 訪日外国人消費動向調査より訪日ラボ作成
▲観光庁 訪日外国人消費動向調査より訪日ラボ作成

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、中国欧米豪をはじめとする全体的な消費額の減少がみられました。前年同期比では41.6%減、2019年10-12月期と比較すると44.5%減と半数近くに落ち込んでいます。本格的に入国制限が始まる前の2020年1-2月のデータを含むため、次期以降はさらなる減少が予想されます。

4月3日現在、日本はアメリカカナダ、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、中東を中心とした73の国・地域からの入国を拒否しています。入国拒否が解除されない限り、訪日旅行消費額の停滞は続くでしょう。

また、韓国の消費額における大きな減少が続いており、2019年7月に始まった日本製品不買運動の影響が未だ残っていると考えられます。

費目別にみる訪日外国人旅行消費額

▲訪日外国人旅行消費額の費目別構成比:観光庁 訪日外国人消費動向調査2020年1-3月期1次速報
▲訪日外国人旅行消費額の費目別構成比:観光庁 訪日外国人消費動向調査2020年1-3月期1次速報

費目別に訪日外国人旅行消費額の構成比を見ると、買物代が30.4%と最も多く、次いで宿泊費(30.3%)、飲食費(23.3%)という結果になりました。

前年同期と比較すると買物代の構成比が低下しており、商品を購入する「モノ消費」から商品やサービスから得られる"体験(コト)"を重視する「コト消費」への移行は継続していると考えられます。

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観光客1人当たり旅行支出微増、欧米豪が上位に

▲国籍・地域別にみる一般客1人当たり費目別旅行支出:観光庁 訪日外国人消費動向調査2020年1-3月期1次速報
▲国籍・地域別にみる一般客1人当たり費目別旅行支出:観光庁 訪日外国人消費動向調査2020年1-3月期1次速報

観光客1人当たりの旅行支出をみると、1人当たり消費額はわずかながら増加していることがわかります。オーストラリアが242,711円と最も多く、次いで中国(228,882円)、英国(224,430円)、ドイツ(220,169円)、イタリア(204,785円)の順となっています。ロシアは唯一前年比20%以上の大幅な増加となりました。

1人当たり消費額が増加したのは、買い物代に多く支出する中国に加えて、日本旅行での滞在期間が長く、消費額が高くなる傾向にある欧米豪の存在感が高まっているためです。ただし、新型コロナウイルスの感染が拡大し、ロックダウン等の厳しい措置を取る国もあります。入国拒否解除のタイミングが遅れれば、他の地域との大きな逆転が起こる可能性もあるでしょう。

なぜ今”欧米豪”なのかがよく分かる5つポイント:訪日旅行トレンドから読み解く欧米豪インバウンドの集客・誘致のポイントとは?

訪日中国人観光客を中心として東アジア出身の訪日外国人観光客が最も大きなターゲットでしたが、最近ではLCC増便やビザの要件緩和の影響で客数の伸びが急激であり、ミレニアル世代が多いことで知られる

今後の見通し:中国市場が鍵を握る

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大は現在も続いており、次の4-6月期で収束を見込むのは難しいと予想されます。したがって、引き続き訪日外客数が停滞し、消費額は今回以上の下げ幅になる可能性もあります

前述の通り、欧米豪では新型コロナウイルスが猛威を振るっており、回復には時間がかかると考えられます。

一方中国では、新型コロナウイルス拡大のピークを越したといわれており、自粛ムードが終わりつつあります。新型コロナウイルスの影響で春節中の訪日ができなかったことや、大分市が武漢市に3万枚のマスクを寄贈した出来事を通じて、日本による支援が中国国内に好感を与えたために親日感情が高まっているといえるでしょう。

こうした感情は、日本旅行への需要拡大にも通じていると考えられます。現状、日本へ来ることはかないませんが、多くの中国人が次に訪日できる機会をうかがっている状況にあるといえるでしょう。今後の訪日客数、旅行消費額回復のタイミングについては、中国から日本への入国がいつ可能になるかが鍵となります。

2020年3月 訪日客数93%減、コロナショック直撃で256万人減少【グラフで見るインバウンド】

2020年4月15日、日本政府観光局(JNTO)は訪日外客数の2020年3月推計値を発表しました。3月は前年同月比93%減の19万4千人と、調査対象の20市場全てで大幅な減少が見られました。新型コロナウイルスの感染拡大による海外渡航制限などの影響が、顕著に表れた結果といえます。3月の訪日外客数のデータとともに、各国の水際対策の現状をあわせて解説していきます。▲2020年3月 訪日外客数(JNTO推計値):[JNTOプレスリリース(2020年4月15日)]インバウンド対策にお困りですか?「訪...


<参照>

観光庁:訪日外国人消費動向調査

外務省:日本における新型コロナウイルスに関する水際対策強化(新たな措置)

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「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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