旅行取扱額2月分でも2割減、3月分はさらに減少か:主要旅行業者の旅行取扱状況を解説【観光庁:旅行業者取扱額2020年2月】

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観光庁は4月17日に、2020年2月分の「主要旅行業者の旅行取扱状況速報」を発表しました。この調査は国内の旅行会社の商品取扱額を集計したもので、それぞれの取扱額を「日本人の海外旅行」「外国人の国内旅行」「日本人の国内旅行」の3つのカテゴリーに分けて公表しています。

2020年2月分については、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、3つの区分全てにおいて総取扱額が減少しました。しかし、3月以降に新型コロナウイルス感染症が世界的に流行しパンデミックとなったことを考えると、3月以降はさらに総取扱額が減少することが予想されます。

《注目ポイント》

  1. コロナ影響で全体的に取扱額減少
  2. 特にインバウンド向け商品への影響大

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2020年2月の主要旅行業者の旅行総取扱額は2,749.2億円で、前年同月比の約8割ほどとなりました。

新型コロナウイルス感染症の流行により、「日本人の海外旅行」「外国人の国内旅行」「日本人の国内旅行」の3つの区分全てで総取扱額が前年同月より減少しました。中でも、「外国人の国内旅行」すなわちインバウンド向け国内旅行商品は、訪日外国人数が108万5,000人と前年同月比約6割減となったことで、総取扱額が特に落ち込みました。

インバウンド向け国内旅行商品の総取扱額が減少した要因としては、中国での新型コロナウイルス感染症の流行昨年2月だった春節期間が1月にずれたこと欧米国の訪日自粛の3点が挙げられます。

日本人向け商品も前年同月より総取扱額が減少しましたが、2月時点では国内での流行はそれほど拡大しておらず、海外旅行・国内旅行自粛の動きが出始めたばかりだったため、インバウンド向け商品ほどの落ち込みにはなりませんでした。

各旅行業者の総取扱額については、前述の3つの区分全てで、JTBグループ11社の取扱額が一番大きいという結果になりました。

企業 総取扱額

1. JTBグループ11社

1,002.1億円

2. KNT-CTホールディングスグループ13社

270.1億円

3. 株式会社日本旅行

251.7億円

4. 阪急交通社グループ3社

165.1億円
5.株式会社ジャルパック 136.2億円

日本人向け海外旅行商品の取扱額

2020年2月の日本人向け海外旅行商品の総取扱額は977.8億円で、前年同月比76.1%となりました。2月の出国日本人数が131万6,800人で前年同月比14.2%減と、新型コロナウイルス感染症の流行で海外旅行を控えた人が多かったことが要因と考えられます。

一方で2月中は、外務省による新型コロナウイルス感染拡大にともなう渡航中止勧告は中国の一部地域のみが対象であったため、その意味では海外旅行の実施に特に制限がなかったのも事実です。

そのため、インバウンド向け国内旅行商品ほどの総取扱額の減少には至らなかったと考えられます。

企業 総取扱額

1. JTBグループ11社

379.3億円

2. KNT-CTホールディングスグループ13社

104.2億円

3.阪急交通社グループ3社

97.0億円

4.株式会社日本旅行

61.2億円

5.株式会社ジャルパック

36.2億円

インバウンド向け国内旅行商品の取扱額

2020年2月のインバウンド向け国内旅行商品の総取扱額は79.7億円で、前年同月の約6割ほどに落ち込みました

理由は先に述べたのと同様、中国での新型コロナウイルス感染症の流行、そして2020年は中国の春節期間が1月であったこと、さらに新型コロナウイルス感染症の影響を受けた欧米国の訪日自粛の3点です。

2月は特に中国で新型コロナウイルス感染症が流行しました。流行の拡大を受け、中国旅行者協会は1月27日から国内外の団体ツアーを一時停止しました。

また日本政府も、2月1日より、入国申請前の14日以内に中国・湖北省に滞在歴がある外国人と、湖北省で発行されたパスポートを所持する外国人の入国を拒否する措置を取りました。なお、2月13日より、浙江省も追加されています。

その結果、2月の訪日中国人数は前年同月比87.9%減となりました。中国からの訪日客数は全訪日外国人約3割を占めるため、この減少はインバウンド市場インバウンド向け国内旅行商品取扱額にも大きな影響を与えたといえます。

2月の訪日中国人観光客数が減った要因としては、中国の旧正月春節」が2020年は1月にあったことも挙げられます。春節連休は例年2月ですが、2020年は1月24日から始まりました。

春節の期間には例年多くの中国人観光客が日本を訪れます。実際に2020年1月の訪日中国人は前年同月比22.6%増の92万4,790人で、1月としては過去最高を記録しました。

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2月は中国以外の国についても、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、訪日を自粛する動きがみられました。韓国からの訪日客数は前年同月比約8割減となり、その他アメリカ・カナダ・イギリス・ドイツ・イタリアもそれぞれ約2割減となりました。

なお3月からはさらに多くの国・地域からの入国を拒否したため、3月のデータは2月よりさらに減少することが予想されます。

企業 総取扱額

1. JTBグループ11社

35.7億円

2.株式会社日本旅行

24.2億円

3.KNT-CTホールディングスグループ13社

9.2億円

4.株式会社東武トップツアーズ

2.0億円

5.株式会社名鉄観光サービス

1.0億円

日本人向け国内旅行商品の取扱額

2020年2月の日本人向け国内旅行商品の総取扱額は1691.6億円で、前年同月比85.4%となりました。前年同月比76.1%となった日本人向け海外旅行商品ほどは下がりませんでしたが、それでも新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、総取扱額が減少しました。

取扱額が日本人向け海外旅行商品やインバウンド向け国内旅行商品ほど減少しなかったのは、2月は国内旅行を控える動きが出始めたばかりだったためだといえます。

2月初旬はダイヤモンド・プリンセス号内では感染が拡大していましたが、それ以外では全国の感染者数は20人ほどでした。その後、2月29日時点でも、クルーズ船を除く感染者数は、全国で239人でした。

4月29日16時現在の国内感染者数が計13,695人であることを考えると、2月は国内においてそれほど新型コロナウイルス感染症が流行していなかったといえます。

企業 総取扱額

1. JTBグループ11社

587.0億円

2.株式会社日本旅行

166.1億円

3.KNT-CTホールディングスグループ13社

156.6億円

4.株式会社ANAセールス

110.9億円

5.株式会社ジャルパック

99.9億円

3月以降はより影響大/コロナ後の訪日需要を見据えた準備を

現在日本国内への入国拒否対象国・地域が増え、日本から全世界への不要不急の渡航自粛も要請されているため、3月以降の主要旅行業者の旅行総取扱額は更なる減少が予想されます。

しかし中国での新型コロナウイルス感染症の流行は収束しつつあり、感染症の流行によって訪日を断念した中国人からの訪日旅行の需要は高まっています。日本への入国拒否の措置が解かれ、日本での流行が収束した暁には、中国からの訪日客数が増えることが予想されます。

また中国のみならず、新型コロナウイルス感染症の流行が収束した後に日本を訪れたいと考える外国人も多いでしょう。

今後、新型コロナウイルス感染症の収束には時間がかかることが予想されますが、訪日旅行のための情報収集は既に始まっています

この機会にインバウンド向け国内旅行商品の取り扱いについて見直し、その準備とプロモーションをしっかりと進めておくことが、感染症収束後の結果につながるでしょう。

<参照>

観光庁:主要旅行業者の旅行取扱状況速報 (令和2年2月分)

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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