観光庁は4月30日、宿泊旅行統計調査の2020年3月第1次速報を発表しました。
発表によると、2020年3月の延べ宿泊者数は2,361万人泊で、前年同月比49.6%減となりました。また、外国人延べ宿泊者数は前年同月比85.9%減と、大幅なマイナスになりました。この記事では、3月の宿泊旅行統計調査を読み解き、訪日外国人宿泊者の動向について解説します。
《注目ポイント》- 外国人延べ宿泊者数は前年同月比85.9%減
- アメリカ、オーストラリアからの宿泊者数が中国を追い抜く
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外国人延べ宿泊者数:前年同月比85.9%減
2020年3月の延べ宿泊者数は2,361万人泊でした。うち外国人宿泊者数は118万人泊となりました。前年同月比は全体が49.6%減、うち外国人は85.9%減という結果になりました。
3月は、新型コロナウイルスの影響が欧米など世界各地へ拡大・深刻化し、その影響で外国人宿泊者数に大幅な減少が見られました。前月(2月)と比較しても全体が36.9%減、外国人が75.7%減であったことから、影響は徐々に拡大していることがわかります。
4月は、世界的な渡航自粛ムードの拡大や、日本への入国拒否の対象地域が増加したことなどから、さらなる外国人宿泊者数の減少が予想されます。国内でも緊急事態宣言が発令され、外出自粛が要請されたことから、日本人の宿泊者数も大幅に減少するでしょう。
客室稼働率:前年同月差-30.9%
3月の客室稼働率は全体で31.9%、前年同月差は-30.9%となりました。施設タイプ別に比較しても、旅館、リゾートホテル、ビジネスホテル、シティホテル、簡易宿泊所全てで前年同月および前月(2月)からマイナスになりました。
国籍別外国人延べ宿泊者数:東アジア圏を中心に大幅減
国 | 前年同月(2019年3月) | 2020年3月 | 前年同月比 |
中国 | 1,857,410人 | 61,000人 | -96.7% |
台湾 | 1,026,530人 | 28,580人 | -97.2% |
韓国 | 953,550人 | 41,360人 | -95.7% |
アメリカ | 612,240人 | 124,720人 | -79.6% |
香港 | 479,540人 | 54,430人 | -88.6% |
上の表は、前年同月において宿泊者数が多かった上位5位までの国・地域の宿泊者数と、前年同月比をまとめたものです。
前年同月比が最も減少したのは台湾からの宿泊者数で、97.2%減でした。中国、韓国も95%以上の大幅な減少となっています。
一方、アメリカの前年同月比は79.6%減と、大幅な減少であるものの他の国・地域ほどは減少しませんでした。
3月は中国、韓国などで本格的な入国制限が始まったため、国籍(出身地)別外国人延べ宿泊者数の順位は、以下のように東アジア圏と欧米圏の逆転が起こりました。
- アメリカ
- オーストラリア(77,860人)
- 中国
- イギリス(54,640人)
- 香港
※国籍別外国人延べ宿泊者数は、従業者数10人以上の施設に限った数値です。
4月分以降はどうなる:欧米の宿泊者数も減少か
5月1日現在、日本は欧米や中東、アジアをはじめとした87の国・地域からの入国を拒否しています。また、4月末までを予定していた全世界の国と地域を対象とする入国規制が5月末まで延長されたことから、今後も宿泊者数の停滞は続くことが予想されます。また、3月は中国や韓国などで本格的に日本への入国制限が始まったこともあり、東アジア圏と欧米圏で宿泊者数が逆転する現象も起こりました。ただし、中国の武漢では4月8日に都市封鎖を終えるなど、中国国内の情勢は回復傾向にあるといわれています。そのため、今後の訪日客の復帰は東アジア圏の方が早くなるでしょう。
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<参照>
観光庁:宿泊旅行統計調査
外務省:日本における新型コロナウイルスに関する水際対策強化(新たな措置)
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