3月は7割減 「旅行商品取扱額」コロナショックで大打撃 、インバウンド向けも大幅減【観光庁:旅行業者取扱額2020年3月・2019年度総計】

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5月22日、観光庁は「主要旅行業者の旅行取扱状況速報」2020年3月分、2019年度総計のデータを発表しました。この調査は国内の旅行会社の商品取扱額を集計したもので、それぞれの取扱額を「日本人の海外旅行」「外国人の国内旅行」「日本人の国内旅行」の3つのカテゴリーに分けて公表しています。

2020年2月分にも総取扱額は減少していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月分はさらなる減少となりました。

また、4月以降に日本国内への入国拒否対象国が増え、全世界に対する不要不急の渡航自粛が要請されたことを考えると、4月以降はさらに総取扱額が減少することが予想されます。

《注目ポイント》

  1. 3月の旅行商品取扱額は全体で前年同月比7割減
  2. 日本人向け海外旅行商品の取扱額が8.5割減と特に落ち込んだ
  3. 2019年度の総取扱額ではインバウンド向け商品のみプラス成長

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国内旅行会社取扱額ランキング:総合トップはJTB/全体的にコロナ影響

2020年3月の主要旅行業者の旅行総取扱額は1,200.3億円で、前年同月比の約3割となりました。2月の総取扱額(2,749.2億円)と比較しても、約4割に落ち込んでいます。

新型コロナウイルスの流行により、「日本人の海外旅行」「外国人の国内旅行」「日本人の国内旅行」の3つの区分全てで総取扱額が前年同月より減少しました。中でも、「日本人の海外旅行」すなわち日本人向け海外旅行商品は、前年同月比15.3%と特に落ち込みました。

日本人向け海外旅行商品の総取扱額が減少した要因としては、2月時点では海外旅行自粛の動きが出始めたばかりだったのに対し、3月には全世界に対する不要不急の渡航自粛が要請されたことが挙げられます。

各旅行業者の総取扱額については、前述の3つの区分全てで、JTBグループ11社の取扱額が一番大きいという結果になりました。

企業 総取扱額

1.JTBグループ11社

575.3億円

2.KNT-CTホールディングスグループ13社

134.5億円

3.株式会社日本旅行

96.7億円

4.株式会社ジャルパック

50.9億円

5.株式会社ANAセールス

49.0億円

日本人向け海外旅行商品の取扱額:前年同月比85%減

2020年3月の日本人向け海外旅行商品の取扱額は225.8億円で、前年同月比15.3%と大幅に減少しました。2月の取扱額(977.8億円)と比較すると、約2割まで下がりました。

また、2月分のランキングでは3位だった日本旅行が24位に転落し、取扱額は前年同月比わずか1.1%となりました。

2月から3月にかけて取扱額が大きく落ち込んだ要因としては、2月中に感染症危険レベルが発出されたのは中国だけであり、その他の国の感染症危険レベルの発出はすべて3月以降だったことが考えられます。

外務省は3月16日にヨーロッパの一部地域(イタリア・スペインなど)を感染症危険レベル3に、東ヨーロッパの一部地域を除いたヨーロッパのほとんどの国をレベル2に指定しました。

3月25日から全世界で感染症危険レベル2に引き上げられたため、4月以降の日本人向け海外旅行商品の取扱額はさらなる減少が予想されます。

企業 総取扱額

1.JTBグループ11社

89.7億円

2.KNT-CTホールディングスグループ13社

39.9億円

3.エアトリ4社

10.5億円

4.株式会社ジャルパック

8.4億円
5.株式会社旅工房 8.3億円

インバウンド向け国内旅行商品の取扱額:前年同月比7割減

2020年3月のインバウンド向け国内旅行商品の総取扱額は58.1億円で、前年同月の約3割に落ち込みました。2月の取扱額(79.7億円)と比較すると、約7割となりました。

特にJTBとKNT-CTは、それぞれ前年同月比25.6%、19.3%と大幅な減少となりました。

その一方で日本旅行は、日本人向け海外旅行商品では前年同月比で取扱額がかなり減少しましたが、インバウンド向け国内旅行商品では2位となり、前年同月比約5割減にとどまりました。こういった傾向は、2月分のデータからも確認されました。

前年同月比より取扱額が大きく落ち込んだ要因としては、日本への入国制限が中国・韓国からの渡航については3月9日から、ヨーロッパなどは3月21日から開始されたことが挙げられます。

新型コロナウイルスの流行やそれに伴う入国制限により、3月の訪日外客数は前年同月比93.0%減の19万4,000人で、東アジア4か国・地域は軒並み9割以上の減少となり、欧米豪は7~9割の減少、インド・ベトナムは5~6割減少となりました。

なお、4月の訪日外客数は前年同月⽐99.9%減の3,000人であることから、4月以降のインバウンド向け国内旅行商品の取扱額は3月よりさらに減少するでしょう。

企業 総取扱額

1.JTBグループ11社

26.6億円

2.株式会社日本旅行

18.7億円

3.KNT-CTホールディングスグループ13社

6.4億円

4.東武トップツアーズ株式会社

3.4億円

5.T-LIFEホールディングス株式会社4社

0.7億円

日本人向け国内旅行商品の取扱額:前年同月比6割減

2020年3月の日本人向け国内旅行商品の取扱額は916.2億円で、前年同月比36.3%となりました。2月の取扱額(1691.6億円)と比較すると、2月から3月にかけておよそ半分になったことがわかります。

2月は国内旅行を自粛する動きが出始めたばかりでしたが、3月には新型コロナウイルスの感染が拡大し、多くの人が旅行を控えました。そして3月末には首都圏で週末の自粛要請が出され、旅行を控える人がさらに増えています。

なお、4月には緊急事態宣言が発令され、自粛要請も全国に出されたことから、国内旅行商品についても4月以降の取扱額はさらに減少することが予想されます。

企業 総取扱額

1..JTBグループ11社

458.8億円

2.KNT-CTホールディングスグループ13社

88.1億円

3.株式会社日本旅行

76.7億円

4.株式会社ANAセールス

46.5億円

5.株式会社ジャルパック

42.4億円

2019年度を概観:コロナ影響もインバウンド向け商品はプラス成長

今回は2020年3月分のデータとともに、2019年度全体のデータも出ています。

2019年度全体でも、「日本人の海外旅行」「外国人の国内旅行」「日本人の国内旅行」の3つの区分全てで、JTBがトップとなりました。

総取扱額ではJTBが2位のKNT-CTに3倍以上の差をつけ、1位となっています。

2018年度と比較すると、全体が91.6%、「日本人の海外旅行」が90.0%、「外国人の国内旅行」が104.9%、「日本人の国内旅行」が91.7% でした。日本人向けの旅行商品は落ち込みましたが、外国人向けの商品は新型コロナウイルスの流行前まで好調で、2020年1~3月を含む2019年度全体でみてもプラス成長となりました。

企業 総取扱額

1.JTBグループ11社

1兆5,771.4億円

2.KNT-CTホールディングスグループ13社

4,592.9億円

3.株式会社日本旅行

4,249.4億円

4.阪急交通社グループ3社

3,356.0億円

5.株式会社ジャルパック

1782.5億円

今後の見通し:4月以降はより影響大/アフターコロナに向けた情報発信が必要

現在新型コロナウイルスの世界的な流行により、日本国内への入国拒否対象国が増え、全世界に対する不要不急の渡航自粛が要請されているため、4月以降の主要旅行業者の旅行総取扱額は更なる減少が予想されます。

しかし中国をはじめとしたアジアでの新型コロナウイルスの流行は収束しつつあり、春節期間などに訪日を断念した人の訪日旅行の需要は高まっています。日本への入国拒否の措置が解かれ、日本での流行が収束した暁には、まずアジア圏から訪日外国人が回復していくことが予想されます。

また、訪日旅行のための情報収集はすでに始まっています。 収束後の結果につなげるためには、収束後に向けた情報発信や、旅行が難しい中自宅で旅行気分を味わえる配信コンテンツによるプロモーションが必要といえます。

この機会に3種別の旅行商品の取り扱いやそれぞれに必要な対策を見直し、その準備や整備、プロモーションをしっかりと進めておくことが、新型コロナウイルス収束後の結果につながるでしょう。

<参照>

JNTO:訪日外客統計 2020年3月推計値

JNTO:訪日外客統計 2020年4月推計値

観光庁:旅行業者取扱額令和元年度総計 各社別内訳

観光庁:旅行業者取扱額令和2年3月 各社別内訳

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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