緊急事態宣言の解除を受け、厚生労働省が「新しい生活様式」を発表するなど、アフターコロナに向けて前向きなムードが生まれつつあります。
外出自粛で影響を受けた旅行業、飲食店の需要喚起を目的に、観光庁は4月上旬、補正予算の概要を発表していることもあり、今後の旅行業の回復に期待が集まります。
こうした中、この需要喚起のためのキャンペーンについての海外での報道や、この海外報道について取り上げた国内報道によって、このキャンペーンの対象に外国人が含まれるとの誤解が広がっています。
海外からの訪日旅行への補助金の存在があると誤解をしたSNSユーザーから、誤解に基づく非難の声も上がっています。
こうした声の広まりを受け、5月27日には、観光庁は公式サイトで報道関係者に向けた注意喚起を発表しています。
本編では「Go To Travelキャンペーン」の概要と、注意喚起までの流れについて整理します。
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Go To Travelキャンペーンとは
「Go To Travelキャンペーン」は、新型コロナウイルスの拡大で大きな被害を受けた観光業や運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメントなどの業界を支援し、官民一体で需要を喚起するための観光振興事業である、「Go To キャンペーン事業」のうちの一つです。
「Go To キャンペーン事業」の中核ともいえる同キャンペーンには、観光予算として過去に例を見ない1兆3,500億円が計上されています。
宿泊代金の半分相当のクーポン券を付与する構想で、5,000万人泊ほどの需要喚起を見込んでいます。
「Go To Travelキャンペーン」の他に「Go To Eatキャンペーン」「Go To Eventキャンペーン」「Go To 商店街キャンペーン」が計画されており、それぞれポイントや食事券、クーポン券を発行し、需要喚起を狙います。
各事業は、発表の際には、日本国内での感染症の流行に収束が見られた時点で、早期に開始される見通しとされていました。5月27日は、早ければ7月にも開始されるとの国交相の見方が伝えられています。
※その後、7月22日から東京以外の発着の旅行を対象にキャンペーンがスタートしました。10月1日からは、東京発着も対象となっています。
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観光庁の注意喚起「国内旅行が対象」
観光庁では、社会的影響に鑑み、公式サイトで「日本政府は、外国人旅行者に日本を訪れて頂くため、旅行費の半額を支援するキャンペーンを検討している」旨の報道が事実誤認に基づく内容が含まれていること、「Go To Travelキャンペーン」についての説明を再度掲出しています。
正確には、日本政府として検討しているGo Toトラベル事業(仮称)は、日本国内での旅行需要喚起のため、日本国内居住者を想定し、「日本国内における宿泊旅行の費用等を支援するキャンペーン」を実施しようとするものです。
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赤羽国土交通相は9日の記者会見で、「Go Toトラベル」事業について、来年1月末までとしている実施期間について「あくまで目安」とした上で、延長もあり得るとの考えを示しました。終了時期は、予算の執行状況を見ながら判断するとのことです。また「キャンペーンの利用が休日に偏っている」という指摘については、平日の休暇取得促進や、平日でも利用しやすい旅行プラン作りに取り組むとしています。関連記事「GoTo」平日宿泊にポイント付与検討:需要分散・感染予防へ、観光庁「Go To」ビジネス出張対象外に、 1...
「GoTo」割引変更 一覧表:最大1万4,000円から3,500円に引き下げ、Yahoo!など【13日更新】
「Yahoo!トラベル」、「じゃらん」、「一休.com」など大手旅行予約サイトでは、10月10日以降のGo To Travel(トラベル)キャンペーンの割引条件を変更しています。ただし13日、観光庁は予算を追加配分する方針を固めており、配分されれば割引は再開されるものとみられます。この記事では、10月13日時点での割引条件の変更を、一覧表にまとめます。目次Go Toトラベル割引条件に変更が続出条件変更の背景予算追加配分へ、観光庁割引条件の変更一覧表Go Toトラベル割引条件に変更が続出多く...
なぜ「外国人向け」誤解が生じたか
今回の騒動の発端となったと思われる国内報道でも、本文にて「国内向けの政策」であることははっきりと示しています。それでも、SNSや掲示板では、この報道について「フェイクニュース」という声すらあがっています。
これは「半額キャンペーンがアメリカで盛り上がっている」との趣旨の見出しから、アメリカや海外からの旅行者を対象にしたキャンペーンがあたかも存在するかのように受け止められたことが考えられます。
記事ではアメリカ国内での誤解について伝えてはいるものの、存在しないキャンペーンがまるで存在するかのように印象付けてしまった側面があるようです。
なお、大元となったと思われる海外メディアでは「日本が訪日旅行者に対する補助を与えることはない」と伝える記事を新たに公開しています。
観光庁ではインバウンド観光市場に向けた予算も確かに計上していますが、その用途は「情報発信・コンテンツ造成・訪日外国人受入環境整備」です。
情報の整理、理解を補助する媒体の役割について、改めて社会が認識する機会となったといえるでしょう。
<参照>
観光庁:一部報道関係機関において発信されている、Go Toトラベル事業(仮称)に関する誤った情報について
TRAICY:旅行代金が半額助成される「Go To トラベルキャンペーン」、早ければ7月開始へ
Forbes:No, Japan Will Not Pay For Half Your Travel Costs If You Visit
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