かつてない予算額1.3兆円、新型コロナ収束時の観光市場回復を後押し「Go To キャンペーン事業」5,000万人泊の需要喚起へ:外食・イベント・商店街対象事業も

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新型コロナウイルスの感染拡大で深刻なダメージを受けた観光市場の回復を目指したGo To トラベルキャンペーンが7月22日に開始しました。除外されていた東京発着の旅行商品についても、10月1日から対象となります。

Go To トラベルキャンペーンは「Go To キャンペーン事業」の一つです。「Go To キャンペーン事業」は4つの事業と広報事業からなる経済復興政策です。

観光庁は4月7日、緊急事態宣言の発令にあわせ、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の施策に対する補正予算の概要を発表しました。予算は「次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」「強靱な経済構造の構築」各項目の実施に必要な経費を計上したものです。

前者では、1兆6,794億円の予算で、「Go To キャンペーン事業」を含む国内に向けた観光需要喚起策を実施する方針が示されました。

今回は「Go To キャンペーン事業」の詳細や狙い、期待される効果をはじめ、発表当初の世論の反応もあわせて解説していきます。

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Go To キャンペーン事業:4つの分野で需要喚起

政府は新型コロナウイルスの流行収束後を対象に、今回の補正予算で需要喚起を狙います。

特に甚大な影響を受けた観光・運輸業や飲食業、イベント・エンターテイメント業などを対象に、期間限定の官民一体型需要喚起キャンペーン「Go Toキャンペーン事業」を実施するとしています。

流行収束後の地域における需要喚起と再活性化を目指す「Go Toキャンペーン事業」は、4つの分野における需要喚起と広報事業に分かれて実施されます。

本事業は、国内での感染症の流行に収束が見られた時点で、早期に開始される見通しです。

▲[キャンペーン実施のイメージ]:報道発表資料より
▲[キャンペーン実施のイメージ]:報道発表資料より

1. Go To Travel キャンペーン

キャンペーン期間中に旅行業者等を経由し旅行商品を購入した消費者に対し、代金の2分の1に相当するクーポンなどを付与するキャンペーンです。

付与されるのは、宿泊割引やクーポンをはじめ、地域産品・飲食・施設などの利用クーポンなどで、補助額は最大1人あたり1泊2万円です。

2. Go To Eat キャンペーン

オンライン飲食予約サイトを通じ、期間中に飲食店を予約・来店した消費者に対して、最大1人あたり1,000円分の、飲食店で使えるポイントなどを付与します。

また、登録飲食店で使える、2割相当分の割引などが反映されたプレミアム付食事券を発行します。

3. Go to Event キャンペーン

チケット会社を経由し、期間中のイベント・エンターテイメントのチケットを購入した消費者に2割相当分の割引クーポンなどを付与します。

4. Go To 商店街 キャンペーン

期間中に、商店街などにおいてイベントの開催やプロモーション・観光商品開発などを実施します。

5. 一体的なキャンペーンの周知

キャンペーンをわかりやすく地域や消費者に周知するための広報を実施します。

観光業界向けの施策が中核に「Go To Travel キャンペーン」1兆3,500億円を計上

「Go To キャンペーン事業」の中核ともいえる「Go To Travel キャンペーン」には、観光予算として過去に例を見ない1兆3,500億円を計上し、宿泊旅行で5,000万人泊ほどの需要喚起を見込んでいます。

長期的かつ大幅な需要の低迷が懸念されている、宿泊施設や観光施設、飲食店の収益回復に効果が期待されます。

観光目的であれば1人あたりの利用回数や宿泊数に制限を設けない方向です。

補助額は旅行代金の2分の1相当ですが、施策のポイントはこのすべてが宿泊割引に充てられるわけではなく、宿泊割引分の他にクーポンで還元される点にあります。宿泊施設だけでなく、飲食等の産業でも観光客による消費拡大が期待できます。

本キャンペーンの対象地域は全国ですが、地域ごとに予算の上限を設けることも検討されるかもしれないとのことで、地域間の格差も多少解消することが期待されます。

政府のキャンペーンとあわせて、地方自治体が独自に旅行費用の補助を行うキャンペーンを打ち出すことも制限されておらず、このキャンペーンをきっかけに知名度を高める観光地も出てくるかもしれません。

Go To キャンペーンの評判はいまいち?

Go To キャンペーンに対して意見を述べるTwitterの投稿
▲Go To キャンペーンに対する投稿:Twitterより訪日ラボ編集部スクリーンショット

Twitter:Go To キャンペーンに対する投稿(https://twitter.com/aoi_soma/status/1250740816168935425)

Twitterでは「Go To Travel キャンペーン」や「Go To Eat キャンペーン」を名指しして、厳しく指摘する声もあります。

なかには、新型コロナウイルスの感染拡大が続く今、観光業よりも先に、第一線で勤務する医療従事者や、福祉関係に予算を振り分け支援するべきとの意見もあります。

また、国民が今求めているのは収束後に利用できるクーポンに対する施策ではなく、収入の減少といった現状を乗り越えるための現金支給であるとの書き込みも見られます。

世界各国が必死に感染拡大の阻止に取り組む様子をインターネットやニュースで報じるなかで、日本政府の取り組みは目の前の感染拡大防止を徹底することよりも、収束後の経済・景気対策に傾倒しているような印象を与えるため、非難の声があがっているようです。

実際には、日本でも感染拡大を防ぐために警戒態勢を強めています。旅行の自粛だけでなく、飲食店の営業自粛も広まっており、市場へのダメージも大きくなっています。

優先順位は確かにつけなければなりませんが、この先の経済活性化のための施策は必ず必要なものです。今の時期から今後の施策を設計しておくことを非難するのは早計といえます。

先のことを考えるには難しい状況が続きますが、新型コロナウイルスの流行収束に向けた心がけを一人ひとりが持ち続けること、各業界が情報収集やコンテンツ研究などできることから手を付けていくことが求められるでしょう。

Go To Travel キャンペーンの支援対象は?

6月16日に観光庁から発表された「Go To トラベル事業における運営業務」の企画競争実施の資料でも示された通り、支援対象となる旅行は国内旅行で、宿泊・日帰り旅行代金の1/2相当額が支援されます。

連泊や利用回数の制限はないですが、給付上限は一人一泊あたり2万円で、日帰り旅行の場合は1万円が上限となります。

資料では支援額のうち、7割程度を旅行代金の割り引き、3割程度を旅行先で使える地域共通クーポンとすることが示されています。

個人で手配する交通機関の費用は対象外となりますが、JRでは独自のキャンペーンを展開しており、ネット予約することで半額で利用できます。

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2020年6月16日に観光庁は「Go To トラベル事業における運営業務」の企画競争実施を公示しました。 「Go To トラベル事業」は、新型コロナウイルス感染拡大で大きな打撃を受けた観光産業を支援し、官民一体で需要を喚起するための観光振興事業であり、その予算額の大きさから世間の注目を集めています。 ことし4月7日の観光庁による「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の施策に対する補正予算の概要発表ののち、事業概要の詳細について初めて明らかになりました。 ※6月16日時点の情報です。G...

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地域共通クーポンの適用開始はいつ?

Go To トラベルキャンペーンは、7月22日より、旅行商品と宿泊代金の割引について、先行的に実施している形です。

代金割引に加えて、訪問先の飲食店、観光施設、交通機関や土産店などで使える地域共通クーポンについては、スタートは9月以降とされていましたが、2020年9月下旬現在、まだ正式な開始日程については伝えられていません。

<参照>

国土交通省:令和2年度国土交通省関係補正予算の概要

観光経済新聞:政府、旅行補助に1.4兆円 前例ない観光予算規模

47NEWS:この「緊急事態」に安倍政権はいったい何をしているのか

https://goto.jata-net.or.jp/

訪日ラボセミナーレポートのご紹介&最新版インバウンド情報まとめ

訪日ラボでは、インバウンド対策に課題を抱えるご担当者様向けに、お悩み・課題解決を支援すべく、最新レポートの公開や無料のオンラインセミナーを実施しています。

【セミナーレポート】「桜シーズン」に向けたインバウンド施策のポイント


2023年は2,500万人の外国人旅行者が訪れた日本のインバウンド市場。コロナ前の2019年に迫る勢いの回復をみせており、2024年の訪日外国人数は3,000万人を上回るとの予想もあります。

日本を訪れる外国人旅行者の間で、特に人気が高いアクティビティが「桜の鑑賞」です。桜の開花時期に合わせて日本を訪れる外国人も多く、日本の重要な観光資源の一つとなっています。

そこで訪日ラボでは、「『桜シーズン』に向けたインバウンド施策のポイント」と題したセミナーを開催しました。
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訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

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インバウンド情報まとめ 2024年3月

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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