中国人にウケる愛称の作り方:「東京スカイツリー」と「梅田スカイタワー」、同じ「スカイ」なのに中国語訳が違うワケ…化粧品の事例も紹介

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新商品や新ブランドの立ち上げ時に必要となる「ネーミング」は消費者への印象を左右する重要な役割を担っています。

中国においても、中国語ならではの独特なネーミングが社会に浸透しており、多くの消費者に受け入れられています。

今回は中国語の特徴を生かしたネーミング事例を取り上げながら、中国人に馴染みやすいネーミングのヒントを探っていきます。



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漢字の高い表現力を生かした中国語のネーミング

中国語は漢字だけで音と意味を表す言語です。日本語の場合、海外ブランドなどの名称はそのままカタカナ表記になることがほとんどですが、中国語の場合は音だけでなく意味やイメージにもぴったり合う漢字を当てて名づけをするケースが多くなっています。

例えばコカ・コーラは中国語で「可口可乐」と言います。kě kǒu kě lè(クーコウクールー)と読み、「コカ・コーラ」と音が近いのはもちろん、文字からは飲んで美味しい、飲んで楽しいというポジティブなイメージが伝わってきます。

▲[可口可乐]:百度百科


この他にもナイキ「耐克(nài kè/ナイク)」から力強さや耐久性、シャネル「香奈儿(xiāng nài ér/シャンナー)」からは女性らしさや高級感が伝わってきます。

これらの単語は英語の元の発音と近い音を再現しつつ、消費者に印象づけたいイメージまでも表現する優れたネーミングです。

英字のブランド名が入っている製品もありますが、中国社会に溶け込む海外発のブランドや商品には、中国の消費者に愛される「名前」がついている場合が少なくありません。

日本のドラッグストアは商品ネーミングの宝庫

まずは中国社会に馴染んでいるブランドの中国向けのネーミングを紹介しましたが、「商品名」にも印象的なネーミング事例がたくさんあります。

ここでは、中国らしい名づけの感覚が多数確認できる、日本のドラッグストアやデパートコスメ商品の事例を挙げていきます。

1. イプサ(IPSA)の「流金水」

資生堂系列のブランドであるイプサ(IPSA)のヒット化粧水「ザ・タイムR アクア」は流れるような曲線のボトルと輝くメタリックのキャップが特徴的ですが、光に当たると中身の化粧水が薄い金色に輝いて見えることから、中国では「流金水」と呼ばれています。文字を見ただけで商品の洗練された印象が伝わってきます。

中国国内の口コミSNSでも「流金水を使ってみたのでレビューします」という書き込みや、「#流金水」というハッシュタグで広く使用されています。


▲[流金水の検索結果]:小紅書(RED)


2. スキンケアの優先順位が見える?「美白丸」

他にも人気商品を挙げると、飲むことで美白効果に期待ができるホワイトニングサプリはブランドを問わず共通で「美白丸」と呼ばれており、中国国内では「日本でおすすめの美白丸7選」といったランキング記事も特集されています。特にPOLAやオルビスの「美白丸」は人気が集まっているようです。

3. バラの目薬、クマさんの日焼け止め乳液…

コスメ以外にも赤色の液体が印象的な参天製薬の目薬「サンテボーティエ」は「玫瑰眼药水」(バラの目薬)と呼ばれており、名前を聞いただけでターゲットが女性であることやどんな色をしているかまでが頭に浮かんできます。

たとえ商品を見たことがなくても名前を聞いただけでイメージが浮かぶのは、まさに「ネーミング」が持つ力の強みです。

日焼け止めの場合、資生堂アネッサの日焼け止め「パーフェクトUV」はゴールドのパッケージに注目して「安耐晒小金瓶(アネッサ金色ボトル)」と呼ばれ、近江兄弟社メンタームの日焼け止め「サンベアーズ」は商品にクマのマークが印字されていることから「小熊防晒乳液(クマさんの日焼け止め乳液)」と呼ばれています。

名前を聞いただけで商品のイメージが浮かぶ優秀なネーミング

訪日中国人の場合、事前リサーチなどで商品は認知しているものの正しい商品名が思い出せないということもありえます。それでも、中国語でなじみの名前がある製品の場合、たとえば店頭の日焼け止めコーナーで、金のボトルやクマのフォルムを見て、手に取ってもらえるはずです。

上記に挙げた「ネーミング」はどれも商品の色や形といった特徴にフォーカスしており、商品の見た目やコンセプトに特徴があれば印象に残る「ネーミング」も生まれやすいと言えます。

印象的なネーミングは中国国内のSNSでもハッシュタグなどで頻繁に登場するようになるため、マーケティング施策としても重要です。

あの観光地も?外国人にも覚えてもらえる、ランドマークの「愛称」

ブランド名や商品名だけでなく、建物や観光地にも「愛称」が存在します。

実は、中国国内にいくつかある有名ショッピングセンターには、中国語名称の他に英語の別称がつけられています。こうすることで、ローカルに根付きつつもグローバルでも認知を広げられる利点があります。

例を挙げると、中国主要都市に展開する大型ショッピングセンター「大悦城」は別名「Joy city」、同じく中国主要都市に展開する「万象城」は 別名「Mix city」と呼ばれています。

「大悦城(Joy City)」からは買い物に訪れた人々の楽しさや賑やかさ、「万象城(Mix city)」からは消費と体験を複合した新しさという印象を受けます。

それぞれ各ショッピングセンターのコンセプトが伝わる名前になっており、英語中国語の表現対比が参考になります。


▲[大悦城]:百度百科

日本の観光地の中国語名は?

日本の観光地の場合、漢字の名所はそのまま中国語読みになることが多いものの、カタカナの地名は意味が一致する中国語が当てられています。

例えば東京池袋の「サンシャイン水族館」は「阳光水族館」と呼ばれており、サンシャインの部分が「太陽の光」になっています。カタカナだと音の印象が強くなりがちですが、中国語で漢字表記になることでよりイメージが際立っています。

東京お台場の「レインボーブリッジ」もそのまま「彩虹桥」と呼ばれており、七色に輝くイメージが正確に表現できています。

他には東京スカイツリーは「晴空塔」、梅田スカイタワーは「藍天大厦」と呼ばれ、同じ「スカイ」でも違う漢字が当てられています。スカイツリーの「天空」は空まで突き抜けるイメージ、スカイタワーの「藍天」は広く空を見渡せるようなイメージが伝わってきます。

これらも中国語が本来持つ高い表現力を生かし、ニュアンスの違いをきちんと表現している例であると言えます。

セールスポイントを捉えて言葉で伝える大切さ

商品名、ブランド名、観光スポットについて中国語のネーミング事例を紹介してきましたが、上記に挙げた名称は自然発生したものもあれば意図的に名付けられたものもあります。

共通しているのは特徴やコンセプトが強調された名前になっていることです。特徴を的確に捉えた言葉は共通言語となり、社会に定着しやすいメリットがあります。

実際、日本の化粧品などは正式名称よりも中国語の愛称で認識されていることが多く、こうした愛称はハッシュタグとしてSNSでも使用されていきます。

インバウンドにおいても商品や観光地の特徴や強調したいコンセプトは何かを整理し、正しい言葉で伝えることが大切になってきます。

正確な翻訳はもちろんのこと、特徴を捉えたキャッチコピーなど印象に残りやすい表現を心がけることで、旅マエの情報収集や旅ナカ・アトの情報拡散が加速する期待を持てます。

商品や観光地自体の質を上げる努力と同じくらい、それをどの言葉で伝えていくかはとても重要です。

商品名や観光地の名称が中国ではどのような「ネーミング」で伝達されているかを知り、中国人訪日観光客が観光やショッピングに訪れた際に、探しているものがすぐに見つかる・記憶に残して別の人にも伝達できるという環境整備にも気を配っていくべきでしょう。


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この記事の筆者

兵頭 和(ビントウ)

兵頭 和(ビントウ)

2016年中国北京での社会人インターンを経て2017年よりEC事業会社にて越境EC天猫国際)運営、国内ECの開発企画、ディレクションを担当。現場目線で中国アプリサービスを解説する。愛媛生まれ。

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