知りたい「5Gのすごさ」観光業へのインパクト:高速度で低遅延は何を可能にする?いまさら聞けない4Gや周波数との違いも解説

「5G」は2020年から徐々に提供が開始されており、大量の情報をやりとりする上で欠かせない通信速度の向上の鍵として注目されています。

技術の進歩が進む現代では、ビデオやDVDの代わりに、オンラインダウンロードやインターネットに接続しながら映像や音声データが楽しめる、「ストリーミングサービス」が利用されるようになりました。

大手携帯キャリア会社から提供がスタートしたものの、まだまだ国内では5Gを重要視する動きが多いとは言えません。2019年7月にアクセンチュアが実施した調査によると、「5Gについて何を知らないかについてもわからない」と回答した日本の経営層は約7割にものぼりました。

今回は5Gの概要を踏まえ、日本での展開や観光業で期待される活用例について解説していきます。

5Gとは

5Gは、4G(LTE)で提供してきた高速大容量がさらに進化するとともに、低遅延・多数接続も実現した移動通信システムです。

5Gの周波数は4G(LTE)よりも帯域幅が広いため、同時により多くのデータを高速で送受信することができます。また、多数のアンテナ素子を用いてデータの送受信を行う「Massive MIMO」という技術とビームフォーミング技術を組み合わせることで、電波をユーザーごとに振り分けることができ、高速通信を可能にします。

日本では5Gが2020年から徐々に提供開始

世界では2019年4月から米国と韓国、2019年10月末からは中国で、すでに5Gの運用が開始されています。日本でも2020年3月末より、大手携帯キャリアのドコモ・au・ソフトバンクの3社が5Gのサービス提供を開始しました。

ドコモのサービス開始時点での5G対応エリアは、全国のスタジアムや交通施設、観光商業施設などを中心とした約150か所で、2020年9月末には全都道府県へ展開する予定です。

auは全国15都道府県の一部エリアから提供を開始し、2020年夏以降に全国の主要都市への展開を目指しています。

ソフトバンクのサービス対応エリアは、現在は東京・大阪・愛知といった一部地域に限定されていますが、2021年12月には人口カバー率90%の達成を目標にしています。

日本は5G活用でも遅れてしまうのか?衝撃の調査結果、経営層の約7割が「何がわからないかもわからない」

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通信速度の高速化は「生活の利便性向上」「産業の進化」をもたらす

高速大容量・低遅延・多数接続を可能にした5Gは、これまでの生活の利便性を大幅に向上させます。

たとえば4G(LTE)では5分かかった2時間の映画のダウンロードが、5Gでは3秒まで短縮されます。

これ以外にも、4G(LTE)の10倍の精度で遠隔地にいるロボットのリアルタイム操作が可能になったり、自宅内で約100個の端末が同時にネット接続できるようになったりと、生活におけるデータ通信のストレスが大きく削減されると期待できます。

こんな勘違いも

5G運用への期待が高まる一方で、5Gに関する誤った認識も見受けられます。以前、フジテレビの番組で海外でWi-Fiの5Ghz帯を使用している状況を「日本導入予定の5Gが使用されている」と放送し、ネット上で認識の誤りを指摘される事態となりました。

Wi-Fiの周波数は大きく分けて2.4GHz帯と5GHz帯があり、Wi-Fi機器によってはアクセスポイント名に「5G」と表示されることもあるため、次世代移動通信システムの5Gと勘違いをしてしまったと考えられます。

5Gの「G」はジェネレーション(世代)の頭文字を取ったもので、通信規格の世代を表す言葉です。対して間違えて認識されてしまった「GHz」は周波数のことで、1秒間に流れる電気の波の数を表す単位です。このように通信規格とWi-Fiの周波数帯は全くの別物なので、5GHzと5Gは混同しないように注意が必要です。

5Gで変わる日常:画像データの転送や位置情報に基づくコンテンツ提供も可能に

5Gが導入されることで、産業分野における利便性の向上が日常生活にも好影響をもたらすことが期待されます。

5Gのメリットの一つである低遅延通信の実現により、ドクターヘリでは移動中でも高精細映像を用いた遠隔手術などが可能になります。

就業人口の高齢化が進む農業の分野では、農業用センサーや給餌ロボット、散水・薬剤散布ドローンが導入され、自宅から畜産・農作業管理ができるようになることも予想されます。

2020年4月には、実際にLEDディスプレイ内蔵の透明窓を実験的に導入した、中国の北京地下鉄の様子がTwitter上で複数紹介されています。

中国の北京地下鉄の様子に関するTwitter投稿
▲Twitter投稿:編集部スクリーンショット

Twitter:中国の北京地下鉄の様子に関するTwitter投稿(https://twitter.com/livein_china/status/1245356161211105280)


透明な窓をディスプレイに、列車の位置や路線図、駅の3D概略図などが、3Dアニメーションとともに表示される仕組みです。3Dで表示されることで、駅の概略図などはよりイメージが掴みやすくなり、乗客の利便性向上につながるといえるでしょう。

今後、運行情報の表示だけでなく、位置情報と合わせた情報提供や、双方向のやり取りができる形のコンテンツ再生、またこうした特性を利用した広告スペースとしての活用も、5Gの活用により可能になってくると考えられます。広告媒体としての価値が高まれば、鉄道事業者は新たな収益拡大が見込めるでしょう。

日本ではNTTドコモが啓蒙、ゲームを軸に

NTTドコモは5Gを活用した空間を無料で体験できる「PLAY 5G 明日をあそべ」というサービスを展開し、日本における5Gの正しい情報発信を進めています。本サービスでは、5Gの特徴である低遅延通信はVR体験の質を向上させるとしています。

5G通信を利用した、バーチャル空間でのスポーツやレースでは、遠隔地の参加者とも遅延なく音声や動画のやりとりができ、円滑なコミュニケーションとなります。さらにVR観戦では、リアルタイムでより精度の高いスポーツ観戦が可能になるのが特徴的です。

▲[「PLAY 5G 明日をあそべ]:NTTドコモ
▲[「PLAY 5G 明日をあそべ]:NTTドコモ

自然災害での被害を減少や、自動運転も

自然災害においても、5Gの低遅延通信が被災者をサポートします。自然災害が多く発生する日本では、街中に高精細な映像センサーを多数設置し、それらのセンサーから得るデータにより災害情報を把握し、被災者に最適な避難経路情報を迅速に届けることが期待されます。

さらに、自動運転システムの導入にも5Gの通信規格システムが役に立つと考えられています。乗合バス路線の廃止が進み地方での移動手段の確保が課題となるなか、超低遅延通信による自動運転システムを導入することで、自動運転タクシーの運用実現につながるでしょう。

観光業への応用は?

観光分野では、鉄道やバスなどの移動時間も旅の一部として楽しめる、新しい形のサービス展開が期待できます。

NTTドコモは「XR(AR、VR、MR)」×「位置情報による多様な観光コンテンツの配信」をキーワードにした、鉄道やバスで楽しめる新たな観光体験を提供するとしています。車窓からの風景や走行するエリアに合った観光コンテンツが、XR技術により車窓にリアルタイムで表示されるといった仕組みです。

5Gの特徴である高速大容量・低遅延は、大容量の観光コンテンツを高速移動する鉄道などに届ける上で、親和性が高いといえます。

同社は2019年春にJR九州と連携し、D&S列車「いさぶろう・しんぺい」の車内にて、列車の走行位置と連動した観光情報をタブレット端末上で提供する実証実験を実施しました。

また、列車内から列車上空のドローン空撮動画を視聴できるサービスも提供されました。XR技術の活用により、移動時間こそが旅の醍醐味と言えるような時代が、すぐそこまで来ているのかもしれません。

まとめ:5Gの特性を正しく理解し、柔軟な発想力で自社サービスに導入を

観光業界においては、高速大容量・低遅延・多数接続という5Gの特性をよく理解し、早期に自社サービスに取り入れていく姿勢が、他社サービスとの差別化の成功に繋がるといえます。

また、5Gの活用方法を検討する際には、VR体験の充実や高速鉄道の移動時間を旅の醍醐味とする取り組みなどのように、柔軟な発想力や顧客心理の理解といった部分も必要になってきます。

コロナで従来の販売方法が通用しなくなっている今、観光業界にとって新たな通信規格が意味するものや考える力、実行する力が問われています。5Gはこれまでの通信規格システムを大きく上回る速度を持ち、我々の生活の利便性を大幅に向上させると考えられます。

正しく活用できるよう、導入にあたっては5Gを提供する各社が発信している正確な情報に基づいて判断するようにしましょう。

<参照>

・しむぐらし:ストリーミングとは?ダウンロードとの違いも解説!

・NTT docomo:5G

・NTT docomo:5Gってなんだろう?

・ITmedia NEWS:「5Gと5GHzを混同?」「SNSのギガ?」-勘違いしやすい「G」の見分け方

・togetter:フジテレビの番組がWi-Fiの5Ghz帯を使っている状況を「日本導入予定の5Gが導入されている」と放送し見ていた人たちが盛大にツッコミ

・NTT docomo:移動時間が、旅の醍醐味になる。

・engadget:電車の窓が「透明液晶」に 北京地下鉄で運行開始

・総務省:第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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