京都・祇園祭が外国人にも大人気!お祭りに惹かれる心理・インバウンド対応を紹介

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大阪の天神祭、東京の神田祭とともに「日本三大祭り」の一つに数えられる祇園祭は、京都の八坂神社で7月1日から7月31日まで開催される祭礼です。

2020年は新型コロナウイルスの影響を受け行事を大幅に縮小し、山鉾巡行と神輿渡御を中止しました。

日本の祭りは外国人観光客にも注目されているイベントの一つです。神輿などの祭具や装飾を観賞できるだけでなく、賑やかな雰囲気を楽しめることは昨今の「コト消費」的観点からも関心を集めます。

祇園祭が開催される7月に京都で宿泊する外国人の数は増えており、「平成30年(2018年)7月の外国人客宿泊状況調査」によると、調査対象となった宿泊施設の延べ部屋数に対する外国人利用客の割合は52.1%という結果も出ています。

本記事では、祇園祭の概要や見どころ、祭りを活用して外国人観光客を呼び込むためのインバウンド対策方法を解説します。

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祇園祭とは?

祇園祭とは、京都市東山区の祇園町東側にある八坂神社で7月に行われる祭礼のことです。その歴史は古く、平安時代にまで遡ります。

この項目では、祇園祭の概要や歴史、見どころをご紹介します。

祇園祭の概要

祇園祭とは、毎年7月1日から7月31日までの1ヶ月をかけて、京都市東山区の祇園町東側にある八坂神社で行われる祭礼です。

祭礼の期間中はさまざまな神事・行事が開催されますが、とりわけ広く知られているのは7月17日に行われる山鉾巡行(前祭)神幸祭神輿渡御と、7月24日に行われる山鉾巡行(後祭)花傘巡行還幸祭です。

祇園祭はもともと「祇園御霊会(ごりょうえ)」と呼ばれており、そのはじまりは869年まで遡ります。

当時の京の都には疫病による死者や病人が多数発生していました。そこで洛中の男児が災厄の除去を祈るため、当時の国の数にちなんだ66本の矛を神泉苑に立て、神を祀り、神輿をおくったことが祇園祭の起源とされています。

祇園祭の見どころ

祇園祭で多くの見物客を集める行事には、7月17日の山鉾巡行(前祭)や、7月24日に行われる山鉾巡行(後祭)などが挙げられます。

これら2つの山鉾巡行では、災厄をもたらす疫病神を鎮めるために山鉾をかつぎ、笛や太鼓を使ってはやしながら町内を練り歩きます。

17日の前祭と、24日の後祭の前には「宵山(よいやま)」と呼ばれる山鉾行事もあり、どちらの期間中も四条通を境に南北に広がる通りに山鉾が飾られ、祇園囃子が奏でられます。なお、宵山(前祭)は7月14日~7月16日まで、宵山(後祭)は21日~23日の期間で開催されます。

宵山の期間中は多くの人で賑わいますが、14日ごろは比較的ゆったりと楽しめます。四条通は混み合うため、比較的人の少ない日没前に訪れるのも良いでしょう。

令和2年度 「祇園祭山鉾巡行」の中止

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、八坂神社と山鉾巡行を主催する祇園祭山鉾連合会は、2020年度における祇園祭の山鉾巡行を前祭と後祭ともに中止することを決定しました。

また、八坂神社と祇園祭山鉾連合会は山鉾巡行の中止に加え、みこしを担ぐ「神輿渡御」の中止や、そのほかの神事も規模を縮小して実施する方針を明らかにしています。

山鉾巡行の中止は阪急電鉄の工事の影響による1962年の中止から58年ぶりで、過去には応仁の乱や第二次世界大戦でも中止となったケースがあります。

山鉾を組み立てる「山鉾建て」の実施については6月上旬まで状況を見た上で決定される予定ですが、山鉾建てを行う場合も山鉾の試運転にあたる「曳き初め」は実施しないほか、夕方にはすべての行事を中止するなど、行事の規模を縮小するとのことです。

祇園祭に外国人観光客が訪れる理由

日本の伝統的な儀式である祭りは外国人観光客にとって物珍しく、日本の文化を肌で体験できるイベントでもあります。

この項目では、祭りが外国人のあいだで人気な理由や、京都を訪れる外国人観光客の増加についてご紹介します。

「祭り」は外国人に人気

外国人が祭りを好む主な理由は、祭りの会場にほどこされた装飾や、来場客が浴衣や着物を身につけている風景から「日本らしい雰囲気」を感じられるためではないかと考えられています。訪日外国人にとって、日本の祭りで使われる道具や神輿などは芸術性の高いものとして受け止められており、日本で一度見てみたいという外国人も多くいます。

また、祭りの会場では日本人が神輿を担いだり騒ぐ様子も見られます。普段は大人しいイメージの日本人が賑やかな一面を見せることが珍しく見られているのではないかという推測もあります。

京都の祇園祭は特に外国人の人気が高まっており、京都市観光協会が発表した「平成30年(2018年)7月の外国人客宿泊状況調査」によると、調査対象となった宿泊施設の延べ部屋数に対する外国人利用客の割合は52.1%という結果が出ています。

京都市観光協会は本調査について、外国人利用客の割合は前年の同月と比較して7.1ポイント増加しており、7月に50%を上回ったのは調査の開始から初めてであると伝えています。

訪日来客数の増加

京都を訪れる外国人観光客の数は、年々増加傾向にあります。京都府の調べによると、2018年に京都府を訪れた外国人宿泊客数は約459万人で、前年の2017年に記録された外国人宿泊客数、361万人から27.6%の増加を記録しました。

京都府内への観光入込客数は約8,505万人2017年時点では8,687万人とされていた入込客数は下回ったものの、過去4番目に高い数値となりました。京都府内の観光消費額は約1兆1,884億円となり、観光消費額6年連続で最高記録を更新しています。

外国人宿泊客数についても6年連続で最高記録を更新しており、その主な理由としては日本を訪れる外国人が増加していることや、宿泊施設の拡充などにより観光客を受け入れる環境が整備されたこと、北米の旅行雑誌「Travel + Leisure(トラベル・アンド・レジャー)」の読者投票で京都が7年連続上位10位内に入ったことなどが挙げられています。

なお「京都観光総合調査」によると、2018年の京都市に宿泊した外国人のうち、最も多かった国籍は中国(117万人)でした。次いで台湾(66万人)アメリカ(43万人)韓国(31万人)の順に続いています。

祭りを活かすインバウンド対策

母国語や英語でのコミュニケーションが取りづらかったり、自国との文化が異なる場所での滞在は不便に感じられることもあります。

この項目では、多言語対応キャッシュレス決済の完備など、祭りの開催されるエリアにおけるインバウンド対策の方法や事例を紹介します。

ガイド通訳対応

英語や中国語など多言語で対応できる人員を配備することで、祭りの会場におけるトラブルを防ぐ効果が期待できます。

京都府警では毎年増加する外国人観光客に対応するため、7月に開催される祇園祭の期間中「通訳部隊」を稼働しています。

通訳部隊は外国人観光客とのコミュニケーション不足によるトラブルを防ぐことを目的にしています。祇園祭では隊員が拠点とする車に電光掲示板を付け、外国語での対応ができる警察官がいることを知らせています。

隊員は語学に長けた警察官から成り、2016年は約50人、2017年は約10人の英、中、韓、仏語とベトナム語を話せる通訳部隊により活動を実施するとのことです。

サイトは多言語に対応した上で、積極的な情報発信が重要

日本への旅行を予定している外国人に祭りを認知してもらうためには、公式サイトやSNSの多言語発信が鍵となります。

公式サイトでは祭りの概要や開催日時などが記されたページに英語表記を用意することはもちろん、中国語や韓国語など多言語での表示切り替えに対応するなど、複数の言語でコンテンツを閲覧できる状態が望ましいでしょう。

世界的にユーザー数の多いTwitter(ツイッター)Instagram(インスタグラム)Facebook(フェイスブック)など、SNSを使った情報発信も効果的です。

タクシーの多言語対応

外国人観光客の利用機会が多いタクシーでも、円滑にコミュニケーションを交わすための工夫が求められます。

外国人観光客の多い京都では、2019年にJapanTaxi株式会社とソースネクスト株式会社が開発した音声通訳ツール「JapanTaxi Translator by POCKETALK」の実証実験が実施されました。

JapanTaxi Translator by POCKETALKは、タクシー用タブレット端末である「JapanTaxiタブレット」にソーネクスト社のAI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)W」を搭載したツールで、音声通訳を行った上で翻訳文章を乗客席と乗務員側の2つのタブレットに表示して読み上げるサービスです。本サービスをはじめ、ITツールを利用した多言語化が期待されています。

周辺飲食店・宿泊施設の対応

祭礼の開催期間中は、会場付近にある飲食店や宿泊施設に多くの外国人観光客が訪れることが予想されます。

欧米やアジア圏の国々ではキャッシュレス決済が主流のため、飲食店や宿泊施設でも電子マネーやクレジットカードなどキャッシュレス決済に対応することで外国人観光客が施設を利用しやすくなるでしょう。

さらにWi-Fiの導入など、外国人観光客の文化やニーズにあわせた設備を提供すると利用者のさらなる満足度向上が期待できます。

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アフターコロナを見据えたインバウンド対策を

祇園祭は869年から現在まで続く祭礼で、大阪の天神祭や東京の神田祭とともに日本三大祭りの一つに数えられています。

7月に京都を訪れる外国人観光客も増えており、歴史の長さと規模の大きさを誇る祇園祭は京都のインバウンド需要をますます高めています。

ところが2020年には新型コロナウイルスの影響で祇園祭の見どころである山鉾巡行の中止が決定するなど、今年は外国人観光客による訪問も停滞することが予想されます。

観光客の往来が少ない今こそウェブサイトやタクシーの多言語化、飲食店や宿泊施設の設備充実など、多様なインバウンド対策に取り組むべきといえるでしょう。

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<参考>

京都市観光協会(DMO KYOTO):平成30年(2018年)7月の外国人客宿泊状況調査

京都府ホームページ:平成30年京都府の観光入込客数等について~観光消費額、外国人宿泊客数が過去最高を更新~

京都市:平成30年 京都観光総合調査について

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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