【東京都のホストタウン】7区13市が登録:共生社会ホストタウン・国際交流事業やスポーツ体験・文京区ほか3つの事例・「東京2020参画プログラム」も解説

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2020年に開催を予定されていた東京オリンピック・パラリンピックを前に、日本の各都道府県で「ホストタウン」登録が進められてきました。開催地である東京都の「ホストタウン」でも、大会を盛り上げるための取り組みが積極的に行われています。

この記事では、東京都のホストタウンについて整理し、3つの区の取り組みについて具体的に紹介します。

後半では、ホストタウンのように、東京オリンピック・パラリンピック大会の盛り上がりに貢献できる「東京2020参画プログラム」について解説します。

※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年程度の延期が決定しました。詳細な日程、選考基準などは、公式情報が発表され次第、順次更新します。

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東京都内のホストタウンを紹介

全国でホストタウンを盛り上げようと、地域や自治体がさまざまなイベントを開催しています。

東京オリンピックのメイン開催場所である東京都のホストタウンは、現在7区13市です。ここでは、ホストタウンの概要やホストタウンとして登録のある区と市について紹介します。

ホストタウンとは

ホストタウン」とは、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックを契機に、その前後で事前キャンプの誘致や参加国との国際交流などを図る取り組みを実施する自治体のことを指します。

登録した自治体は、交流活動に必要な資金のうちの一部を特別交付税措置で賄うことが認められています。

ホストタウンに登録し、選手たちと地域市民らが交流することで、大会中のみならず大会後も継続して国際交流を続けていくことを日本政府は目標としています。

東京都内のホストタウン一覧

東京都オリンピック・パラリンピック準備局の公式サイト内で公開されている「東京都内 事前キャンプ等 これまでの決定状況」によれば、以下7区13市ホストタウンに登録しています。

登録年月 団体名 相手国・地域

2016/1

武蔵野市

ルーマニア

2016/1

調布市

サウジアラビア

2016/6

世田谷区

アメリカ

2016/6

青梅市

ドイツ

2016/6

町田市

南アフリカ

2016/12

文京区

ドイツ

2017/7

江戸川区

オランダ

2017/7

東村山市

中国

2017/1

目黒

ケニア

2017/12

大田区

ブラジル

2017/12

府中市

オーストリア

2017/12

武蔵村山市

モンゴル

2018/2

府中市

オーストラリア

2018/8

国分寺市

ベトナム

2018/10

豊島区

バングラデシュ

2018/12

西東京市

オランダ

2019/2

立川市

ベラルーシ

2019/4

豊島区

セントルシア

2019/4

八王子市

アメリカ

2019/4

町田市

インドネシア

2019/6

板橋区

イタリア

2019/6

日野市

ウクライナ

2019/6

羽村市

キルギス


ホストタウンのうち、ユニバーサルデザインの街づくり及び心のバリアフリーの取組を実施するものは共生社会ホストタウンに分類されます。

東京都では、下記の2つの区が共生社会ホストタウンに登録しています。

登録年月 団体名 相手国・地域

2017/12

世田谷区

アメリカ

2019/5

江戸川区

オランダ

東京都内のホストタウンの取り組み例

2020年のオリンピック開催地である東京都では、都内の「ホストタウン」も大会盛り上げに積極的な姿勢を見せており、姉妹都市となっている国や、何かの縁をきっかけに長期交流を築くようになった国の人々をそれぞれの区に招き、地域の人々との国際交流イベントを実施しています。

東京都内には複数の区がありますが、ここでは一例として、文京区、目黒区、江戸川区の取り組みを紹介します。

文京区

文京区では、1988年にドイツ・カイザースラウテルン市と姉妹都市提携をして以降、同市との間でホームステイ交換事業や文化・芸術、スポーツを通じた、区民交流事業を実施していました。

その縁から、同区ではホストタウンとしてドイツを受け入れることが決定しました。

取り組みとして、2018年に、文京区が主催で「スポーツ×ドイツホストタウンフェスティバル2018」を開催しました。ドイツをホストタウン相手国とする、全国16の自治体が実施する取り組みを紹介するブースを設置したり、ドイツの飲食や文化を紹介するコーナーを設け、来場者数は約8千人に上りました。

他にも、地域の子供たちにドイツ文化を身近に感じてもらうため、区内の小中学校の給食でドイツ料理を提供するなど、ホストタウンとしてさまざまな取り組みを実施しています。

目黒区

目黒区では、区内に駐日ケニア大使館が所在し、目黒区国際交流協会が主催する国際交流フェスティバルに大使館関係者が長年参加するなど、これまで積極的に交流が行われてきました。

その縁から、2017年にケニアに対するホストタウンとして認定されました。

締結後の取り組みとして、ケニアでは子供たちの普段履く靴が不足しているという現状を考慮し、区内でシューズの寄付を募集し、集まったシューズをケニアに送るといった交流が実施されました。

その他にも日本駅伝で活躍するケニア選手を小学校に招き、児童らと校庭を走るというスポーツ交流が開催されています。

その後もケニア文化について紹介するイベントを開催し、ケニアコーヒー・紅茶などの物産展やケニア太鼓の演奏などを通じ、区内では盛り上がりを見せました。

江戸川区

江戸川区は、2019年10月に「先導的共生社会ホストタウン」として政府に認定されており、障害のある人々と共生できる街づくりのために、段差のない点字ブロックを道路に導入するなどの取り組みが評価されています。

先導的共生社会ホストタウンとは、「共生社会ホストタウン」のなかでも、先導的・先進的なユニバーサルデザインを取り入れた街づくり、また心のバリアフリーに力をいれる自治体のことを言います。

江戸川区のホストタウンはオランダとなり、先導的共生社会ホストタウンとして両国のパラアスリートでのスポーツ交流や、オランダの先進福祉に関する学習や講習会が実施されてきました。

子供たちとの交流については、駅前の花壇にチューリップの植えつけをしたり、オランダ料理体験の実施を予定しています。

大会後も障害者がスポーツを継続できるための施設提供を予定しており、江戸川区は障害者とともに共存していける街づくりに力を入れている区であるとわかります。

「東京2020参画プログラム」開催地以外や小さな団体でも大会を応援できる制度

東京オリンピック・パラリンピックでは、ホストタウンとして登録していない自治体や小さな団体でも、東京大会を盛り上げるための活動として、正式に応援に参加できる制度があります。

「東京2020参画プログラム」と呼ばれるこの制度について、以下で、概要やイベント例などを紹介します。

プログラム概要:東京2020と関係することを示す「公式大会ロゴマーク」使用できるように

「東京2020参画プログラム」は、参加者へオリンピックに関連した文化を体験してもらったり、知識を習得してもらったりするイベントに対し、公式大会ロゴマークの使用を許可するプログラムです。

このプログラムに申請すると、地域や教育機関などで開催されるイベントが、東京オリンピック・パラリンピックと関係しているとして宣伝できるようになると同時に、主催者が東京2020大会を支援していることをアピールできます。

開催するイベントは8つのテーマのうちいずれかである必要があります。8つの分類は「スポーツ・健康」「街づくり」「持続可能性」「文化」「教育」「経済・テクノロジー」「復興」「オールジャパン 世界への発信」です。

制度で承認されたプログラムでは、申請すればオリンピック・パラリンピックの公式大会ロゴマークを、イベントの広告などで使用することができます。

主催者はプログラムへの参加によって、東京オリンピックとの関連性を獲得でき、地域住民や潜在的に顧客層への訴求ができるようになります。これにより地域との新たな関わりの創出、全国に地域情報をPRできるというメリットもあります。

公認プログラムと応援プログラムの違い

参画プログラムには、「公認プログラム」と「応援プログラム」が存在します。

公認プログラムの対象は、開催都市(東京都・区市町村)や会場関連自治体(道県・市町)など、主に大会に直接関係する団体のみです。

一方で、応援プログラムの対象は、会場関連自治体以外の府県・政令市・市町村や自治会・町内会等、商店街、協会や教育機関などと幅広くなっています。大会に直接つながりを持っていなくても申請できます。

地域のお祭りであっても、「東京2020応援プログラム(祭り)」という枠があり、申請すれば東京2020応援マーク(祭り)を使用して、お祭りの存在感を高めると同時に、大会を応援することができます。

参画イベントの例:リクルート、法政大学、NPO法人大江戸東京音頭連

実際に、東京2020参画プログラムとして承認されたイベントの例を紹介します。

2019年8月、公認プログラムとして、リクルートが『夏休み自由研究特別講座』を開催しました。従業員の子供たち(小学校1~4年生)を対象に、オリンピックに関するレクチャーや留学生との交流、学んだことをまとめた作品作りなどが実施されました。

この他、応援プログラムとして2019年10月に法政大学で開催された『車いすラグビー体験イベント』や、2019年10月に開催されたNPO法人大江戸東京音頭連による『踊ろう!「東京五輪音頭-2020-」』など、数々の事例があります。

東京2020参画プログラムは2017年4月から毎月のように複数件開催されています。詳細は公式サイト上に公開されており、広報効果もあると考えられます。オリンピック・パラリンピックの開催を契機に、こうした活動を手がける組織が、社会への影響力を高める可能性もあるでしょう。

東京都のホストタウンとその他の取り組みは、オリンピック・パラリンピック大会の一部

五輪開催地である東京都のホストタウンは、もともと何かの形で縁のあった国・地域を受け入れ相手として、交流事業やスポーツ体験などに積極的に取り組んでいます。

また、ホストタウン登録をしていない自治体や小さな団体でも、東京大会を盛り上げられる「東京2020参画プログラム」という制度を利用すれば、オリンピック・パラリンピックのポジティブなイメージをてこに、地域や興味関心を抱いている層との交流のチャンスを増やせる可能性があります。

オリンピック・パラリンピックはスポーツ観戦のイベントであると同時に、国際的なつながりや、地域経済、個人の健康維持や促進といった周辺領域への社会における意識を高めるまたとない機会となります。こうしたチャンスを生かすべく、東京2020参画プログラムとして認定されたイベントが、企業や教育機関などによって開催されています。

東京オリンピック・パラリンピックは1年間の延期が予定され、歴史上初の出来事として世界中の人々の記憶に残ることが予想されます。2021年の開催までの取り組みと社会の意識の変化を注視していくべきでしょう。

<参照>

東京都オリンピック・パラリンピック準備局:東京都内 事前キャンプ等 これまでの決定状況

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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