2020年5月末に日本の緊急事態宣言は解除されたものの、現在もまだ国内ではマスクの着用義務やソーシャルディスタンスを確保するなど、あらゆる感染予防措置がとられています。そして、日本だけでなく、世界各国が国境を閉じ、自国を出国する渡航者と自国に入ってくる外国人への管理を続けています。
この記事では、2020年6月の成田空港の状況を紹介し、ウィズコロナ時代に、感染拡大防止に気を付けながらどのように観光客と向き合うことができるのかを考えます。
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2020年6月の成田国際空港の様子
現在、外務省は177の国と地域が「日本からの渡航者や日本人に対して入国制限措置」をとっており、84の国と地域が「日本からの渡航者や日本人に対して入国後に行動制限措置」をとっていると発表しています。
国内での緊急事態宣言は解除されたものの、現在の飛行機運行状況は、新型コロナウイルスの収束が不透明なことから行き先や航空会社によってもばらつきがあります。
6月上旬の成田国際空港では、運行掲示板には欧州行きの一便しか表示されておらず、ロビーには人気がほとんどありませんでした。
成田国際空港の公式サイトを確認すると、6月22日の12:00〜15:00の時間帯で、運行していた国際線はわずか2便です。
- 欠航:香港・ソウル・釜山・北京・上海・台北・ヤンゴン・ウラジオストク・マニラ・ウィーンなど 全21便
- 運行:台北・デリー 全2便
台北行きの路線では、日本航空便は運行していましたがエバー航空便は欠航となっているなど、航空会社によって対応が異なるようです。
渡航先によっては、居住資格を所有していれば入国が可能なため、航空便が利用できます。この場合でも、チケット発券の前に、チェックインカウンターで厳重に書類に目を通されます。少しでも書類の不備があると入国が認められる条件を満たしていないとみなされ、中にはチケットを発券できずチェックインカウンターを後にする人もいました。
航空便でのサービス提供形態も、ウィズコロナを意識
6月上旬の日本発、欧州行きの機内では、乗務員と乗客との接触を避けるため、座席に軽食やドリンクが一袋にまとめて置かれていました。
平時であれば対面でのサービスが評価されるところですが、新型コロナウイルスの流行という事態が発生している現在、感染対策をしながらも乗客をもてなそうという、航空会社の思いが感じられる工夫です。乗客には好印象を与えると考えられます。
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渡航者に対する入国制限や隔離措置:ハワイ、中国、イギリス、日本
世界の一大リゾート地であるハワイ、日本との往来が盛んだった中国、そして入国者に厳しい措置を講じているイギリス、そして日本について紹介します。
1. ハワイ
毎年多くの日本人が旅行に訪れるアメリカのハワイでは、2020年3月26日から、州外からの国籍を問わない全渡航者に対し14日間の自己検疫を義務とし、違反者には5,000ドル(約535,900円)以下・1年以下の禁固のいずれか、もしくは両方が科されることとなりました。
8月1日からは、条件付きで自己隔離措置の免除について検討しているとの情報もあります。日本のように渡航前に、条件となっている陰性の証明を取得するのが難しいケースへの対応をどうするのかという点が、この施策の成否を決める一端を担うと考えられます。
2. 中国
これまで、中国は日本からの渡航者の多い国の一つでした。
3月下旬より、これまでのビザ免除での渡航が中止となっただけでなく、ビザを保有している場合でも外国人の入国受け入れを停止しています。
中国の場合は、流行の発生が早く、収束も早かったため、国内旅行市場の回復に早期に取り組めました。アウトドアのアクティビティ、返金可能な旅行プラン等で、コロナ後の旅行者の懸念を払拭するのに成功しているようです。
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3. イギリス
イギリスでは、罰金の科される外出制限違反事案が3月27日から5月11日の2か月弱で1万4,000件を超えています。
2020年6月8日以降入国した者を対象に、48時間以内の滞在予定の詳細や連絡先をオンラインで登録、登録済みフォームの提出が義務化され、申請場所にて14日間の自己隔離を必要としています。(一部職種例外あり)
自主隔離場所を適切に申請しない場合、罰金100ポンド(約1万3,000円)が科されますが、こうした金額ではあまり事態を深刻にとらえない人が多いのかもしれません。
自宅隔離中に公共交通機関の利用や食料や生活必需品を買うための外出を行い、抜き打ち検査で発覚した違反者は罰金1,000ポンド(約13万円)を科せられる場合もあるとしています。
各国とも、陽性患者の接触者を把握するためのアプリを開発していますが、その普及が一つの足かせになっているようです。プライバシー保護の意識の高い地域では、自発的に行動を制限し、感染拡大防止に取り組んでもらえるような仕組みづくり、意識付けが、ウィズコロナ時代の経済回復の肝になるのかもしれません。
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4. 日本
日本では厚生労働省により、国籍問わず海外からの渡航者を対象に「入国の次の日から14日間の自宅待機」を命じ、空港からの帰宅の際も公共交通機関を使ってはならないことを指導しています。
入国制限対象地域に滞在していた全員にPCR検査を行い、結果が出るまで指定場所で待機を命じており、入国の際には国内での滞在先と移動の手段を検疫所へ登録するよう定めています。
2020年5月の訪日外国人数は1,700人と過去最少となっており、中国同様、観光産業は国内市場の回復から目指すことになりそうです。
5月の訪日外国人数は過去最少1,700人に、先月に続き前年比99.9%減:新型コロナで入国制限続く【グラフで見るインバウンド】
2020年6月17日、日本政府観光局(JNTO)は訪日外客数の2020年5月推計値を発表しました。5月の訪日外国人数は、前年同月比99.9%減の1,700人にまで落ち込み、調査対象の全22市場でほぼゼロの数値となりました。新型コロナウイルスの感染拡大のペースが抑えられ、外出制限の緩和が進む国も出てきていますが、依然として海外渡航は自粛要請が続いていることが原因になったと考えられます。本記事では、5月の訪日外国人数数のデータとともに、各国の水際対策の最新動向や、今後のインバウンド市場の展望に...
いつから訪日旅行者の入国が始まる?今後の市場傾向は?
それでは、世界的に入国・出国規制が続く中、訪日観光客が以前のように自由に渡航を始めるのはいつになると予測できるでしょうか。
訪日ラボは、6月上旬にWebサイト読者とメールマガジン会員92人を対象に新型コロナウイルスに関する意識調査を実施しています。
「日本人観光客・外国人観光客(インバウンド)の客足の回復はいつごろになるか」の問いに対して、日本人観光客は「2020年10月ごろ」、インバウンドは「2021年2月ごろ」という予測が最多という結果になりました。
【独自調査】インバウンド回復は「2月」予想最多、もっとも誘致したいのは「台湾」:19日"観光解禁"うけ「新型コロナと緊急事態宣言解除」意識調
政府は6月19日に都道府県をまたぐ移動の自粛を全国で解禁し、観光振興に取り組んでいく方向性を示しました。そこで、訪日ラボでは各社のインバウンド事業に対する影響度合いを探るため、読者・メールマガジンユーザーの皆様を対象に「新型コロナと緊急事態宣言解除に関する意識調査」を実施しました。前回の調査では主に、事業への具体的な影響や観光客の回復時期予想などをたずねました。今回は全国的な移動・観光緩和を受け、観光客の回復時期予想の質問に加え、「優先的に戻ってきてほしい国籍・地域」や「事業者のインバウン...
ウィズコロナ時代でインバウンド事業者が行うべき対策とは
今後、数年越しで新型コロナウイルスと付き合っていく必要があるとの考えが国際社会に広がっています。
東京都がアナウンスしている対策には、以下の4つがあります。これを基本として、自社のサービスに応用した取り組みを進めていく事業者が増えていくと考えられます。
- 発熱者等の施設への 入場防止
- 3つの『密』(密閉・密集・密接) の防止
- 飛沫感染、接触感染の防止
- 移動時における感染の防止
来店客に対して37.5度以上の発熱がないかどうか入店時にチェックし、感染の疑いがある人を遠ざけクラスターを作らない努力が必要としています。ウイルスが滞らないよう密閉状態を避け、マスクの着用、手洗いなど一人ひとりが感染しない・させないよう対策を取るべきとアナウンスしています。
インバウンドを対象としたサービスの提供にあたっては、日本語だけでのコミュニケーションに限界がある場合も少なくありません。思わず接近して発話してしまう場面もあるでしょう。
滞在時に快適さを与えられるコミュニケーション方法について、また必要な情報が不足しないような案内方法について模索すると同時に、観光地滞在の体験という旅行の本質が損なわれない方策を確立するべきでしょう。
<参照>
PR TIMES:中国人最新訪日意識調査:コロナ後も中国人の訪日意欲は旺盛! 日本は「行きたい国No.1」に
外務省 海外安全ホームページ:新型コロナウイルス(日本からの渡航者・日本人に対する各国・地域の入国制限措置及び入国後の行動制限)
BBC NEWS JAPAN:外出制限違反の罰金、2カ月弱で1万4000件超 英イングランドとウェールズ
BBC NEWS JAPAN:イギリスへ外国から入国、2週間の自主隔離が義務に 一部の労働者は除外
東京都:新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置等令和2年4月10日
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