5月の訪日外国人数は過去最少1,700人に、先月に続き前年比99.9%減:新型コロナで入国制限続く【グラフで見るインバウンド】

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2020年6月17日、日本政府観光局JNTO)は訪日外客数の2020年5月推計値を発表しました。

5月の訪日外国人数は、前年同月比99.9%減の1,700人にまで落ち込み、調査対象の全22市場でほぼゼロの数値となりました。

新型コロナウイルスの感染拡大のペースが抑えられ、外出制限の緩和が進む国も出てきていますが、依然として海外渡航は自粛要請が続いていることが原因になったと考えられます。

本記事では、5月の訪日外国人数数のデータとともに、各国の水際対策の最新動向や、今後のインバウンド市場の展望について紹介します。

2020年1月から2020年5月の訪日外客数前年比グラフ
▲[訪日外客数前年比(2020年5月まで)]:訪日ラボ編集部作成
▲[訪日外客数【2020年版】(2020年5月まで)]:訪日ラボ編集部作成
▲[訪日外客数【2020年版】(2020年5月まで)]:訪日ラボ編集部作成
▲2020年5月 訪日外客数(JNTO推計値):[JNTOプレスリリース(2020年6月17日)]

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前年同月比99.9%減、インバウンド全22市場でほぼゼロに

2020年5月の訪日外客数はわずか1,700人と、前年同月の277万人から99.9%減と大幅な減少がみられました。

先月の2,900人よりもさらに減少しており、JNTOが統計を取り始めた1964年以降、単月の訪日外客数としては過去最少の数値を更新しています。

全22市場で二桁まで落ち込み、韓国・中国・インド・米国・フランス以外は全て10人未満と、ほぼゼロに近い数値となりました。背景としては、新型コロナウイルスの感染流行の長期化により、世界的に海外渡航制限などの水際対策が継続されていることが考えられます。

5月27日入国分から入国拒否対象地域に新たに11ヶ国が追加され、現在は計111ヶ国からの入国を制限している状況です。

東アジア:観光業の回復を目指すものの入国制限措置により100%減

東アジアの全市場において、5月の訪日外客数は前年同月比100%減となりました。最も多い中国も30人、韓国は20人、台湾と香港は10人未満です。

中国は世界に先駆けて、感染収束を見据え経済の回復に向けて取り組んでいます。しかし、3月29日から「5つの1政策」という1航空会社・1ヶ国・1路線・1週・1便に限定する措置を継続しており、日本への直行便も大幅に運休・減便されました。

韓国と台湾は、国内旅行を中心に観光業の回復に向けた取り組みや計画が発表されています。ただし、海外旅行は引き続き自粛を促されていることから、日本への直行便の多くが運休・減便となりました。

香港は、日本を含む全ての国と地域からの入境者に対する14日間の強制検疫措置が、9月18日まで延長されることが発表されたため、しばらく訪日旅行も自粛されることが予想されます。

東南アジア・インド・中東:直行便の運休・減便が相次ぎ、ほぼ全ての国が10人未満に

東南アジアとインド・中東市場における5月の訪日外客数は、タイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア・フィリピン・ベトナム・中東で10人未満となり、インドも30人と大幅に減少しました。

タイでは経済活動の一部が再開されましたが、緊急事態宣言は6月末まで継続され航空便も多くが運休・減便のため、引き続き海外渡航は事実上不可能な状況です。

シンガポールは2月以降、日本への不要不急の渡航自粛が要請されているほか、外出規制などを含む水際対策のサーキットブレーカーも実施しています。依然として日本への渡航は現実的でなく、訪日客数の大幅な減少につながりました。

そのほかの国でも、3月頃から続く日本における検疫強化や査証の無効化などにより、前年同月比でほぼ100%減の数値となっています。

欧米豪:外出制限の緩和が始まるも、海外渡航は引き続き自粛傾向に

欧米豪市場における5月の訪日外客数は、ほぼ全ての市場で前年同月比100%減、米国とフランスを除く市場で10人未満となりました。米国も100%減の50人、フランスも99.9%減の20人と激減しています。

米国や豪州・英国・イタリア・フランスは、5月から外出制限や自粛要請の段階的な緩和が始まりましたが、引き続き海外旅行は自粛されているのが現状です。

旅行や移動が緩和されても、州内や国内に限定されているケースが多いことから、日本への渡航は現実的でなかったことがうかがえます。

https://honichi.com/news/2020/05/15/maskxculture/"]

入国制限緩和の動きも

欧州やアジアを中心に、感染拡大のペースが抑えられている国や地域においては、6月から外出制限の緩和や国内観光の回復に向けた取り組みが始まっています。

厳格な感染防止対策を講じたベトナムは、感染が大幅に抑制されているとして、外国人の入国制限措置をビジネス目的に限り緩和させる意向です。6月下旬には、日本と相互に入国を認める方向で最終調整に入っています。

6月15日の報道によれば、ベトナムは入国制限緩和の対象として最初のケースになるとみられています。ベトナムから日本への入国が実際に始まる時期については調整中ですが、日本のビジネス関係者のベトナムへの渡航は6月下旬にも始まるようです。

日本は続けてタイやオーストラリア・ニュージーランドとも緩和に向けた協議を進めていく見込みです。

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観光業はEU域内のGDPの1割を占める主軸産業のため、景気回復を目指す上で、夏の観光シーズンに向けた観光業の立て直しが重要になります。海外旅行の緩和は欧州内で徐々に進むとみられており、訪日旅行の緩和にはしばらく時間がかかる見通しです。

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国内・域内観光業が徐々に再開、インバウンド回復期を見据えPRも

日本は5月27日より、新たに11ヶ国を入国拒否対象地域に追加し、現在は計111ヶ国からの入国を制限しています。

一方で、今後の観光経済の回復を期待できるような各国の動きも報道されています。

ベトナムをはじめ感染が大幅に抑制されている国を対象として、ビジネス目的に限り相互入国を可能にするよう調整するなど、徐々に海外渡航の緩和が進むことが見込まれます。

6月より欧州や東南アジアを中心に外出制限が段階的に緩和され、EU域内の移動が可能になるなど、観光業の立て直しから景気回復を目指す動きがみられるようになりました。

引き続き日本への直行便の運休や減便を継続する国や地域も多く、長距離の海外旅行が活発になるまでは、しばらく時間がかかりそうです。

これまでインバウンド市場は、日本から近いアジア諸国に存在感がありました。ところがこうした国からの団体旅行は今後の「3密」を避ける旅行スタイルには合致しません。旅行者が密集しない地方に足を運ぶ予算や関心のある層を、今後はインバウンド市場のターゲットに組み込んでいく必要があるかもしれません。

アフターコロナの観光経済回復に向けて、各国の感染動向や観光業の回復状況を注視し、市場別のインバウンド対策に加え、日本における感染防止対策などの安全性を世界に向けてアピールすることが必要でしょう。

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<参照>

・JNTO:訪日外客数(2020年5月推計値)

・NHK:入国制限緩和 第1弾はベトナム 今月下旬にも相互入国で調整

・日本経済新聞:EU、域内移動緩和 スペインは7月、域外から受け入れ

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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