日本製品は世界中に進出しており、お菓子や調味料などの食品や自動車は特に世界中で人気を集めています。
先進諸国のみならず、アフリカなどの発展途上国のスーパーでも醤油やお菓子が陳列されており、最近では北朝鮮のデパートにも日本製の化粧品が並んでいます。
このように、「メイドインジャパン」ブランドは高品質の象徴として世界で人気を集めていますが、中には日本と諸外国において異なる名称で販売されている商品も存在します。
例えば、江崎グリコのお菓子「ポッキー」は、フランスをはじめとするヨーロッパ諸国では「MIKADO(ミカド)」という名称で販売されています。
これらの商品は、なぜ日本と海外で名称を変えているのでしょうか。
≪注目ポイント≫
- 各国の需要に合わせた日本の食料品や自動車が世界で販売されている
- 各国の需要と商品の特徴のバランスが重要となる
- 中国など一部の国では「パクリ」製品にも注意が必要
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ポッキーは「MIKADO」としてフランスに進出
ポッキーは、江崎グリコが1966年より発売しているチョコレート菓子です。
棒が折れるときの擬音「ポッキン」から「ポッキー(Pocky)」という名称が付けられ、海外でも展開されましたが、後にこの名称は英語圏では差別用語やスラングになってしまうことが判明しました。
そのため、フランスをはじめとする欧米諸国では「MIKADO(ミカド)」という棒を使うゲームから取った名称で発売されています。
また、ミカド(帝)という単語には天皇という意味もあるため、日本らしさを表現することにも成功しています。
なお、台湾やマレーシアなどのアジア圏では「ポッキー」の名称で発売されているほか、中国では「百奇(バイチー)」という音訳名で発売されています。
![▲[フランス版ポッキー、Mikado Milk]:公式サイト フランス版のポッキーであるMikado Milk](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7126/main_058141200dcd9899bb7de67de186f9ed.png?auto=format)
香港のカップ麺は「合味道」
日清食品のカップヌードルは、1971年から発売されている即席カップ麺です。世界初の即席麺としても知られており、世界各国に多くの愛好家が存在します。
日本や諸外国では「カップヌードル」という名称で販売されていますが、香港や台湾などの中華圏では「合味道」という名称で発売されています。
「合味道」は「合気道」のように日本を連想させる単語であるため、他のカップ麺ブランドと比較して容易に日本製品であると認識できるようになっています。
また、中華圏の中でも特に香港では同じく日清食品の即席麺「出前一丁」が人気を集めており、現地のレストランでもメニューとして提供されています。
台湾では「ほんだし」こと「烹大師」が大人気
日清食品の「合味道」や「出前一丁」は台湾でも販売されていますが、台湾で販売されているローカライズ版の日本製品は他にも多く存在します。
その代表格が味の素の調味料「ほんだし」のローカライズ版である「烹大師(ポンダーシー)」です。
「ほんだし」は鰹出汁の調味料ですが、「烹大師」は台湾の食文化に合わせて鰹ではなく帆立出汁の調味料としてローカライズされています。
この台湾版「烹大師」は日本人旅行者にも人気があり、定番の台湾土産としても親しまれています。
三菱・パジェロは「SHOGUN」に、海外と日本で異なる車の名前
ここまで、江崎グリコのポッキーが「MIKADO」、日清食品のカップラーメンが「合味道」、味の素のほんだしが「烹大師」という名称でそれぞれの国にあった展開をしていることを見てみました。
ここまで紹介した商品は全て食料品ですが、多くの国では食料品以外にも日本の自動車が人気を集めています。
トヨタ、ホンダ、三菱など、日本企業の自動車は高品質かつ耐用性に優れているという印象を持たれており、特に台湾などの親日国では道を日本車が行き交う光景も日常的に見られます。
ところが国外で販売されている日本車は、さまざまな事情によりブランド名が変更されているケースも多く存在します。
例えば三菱の「パジェロ」は、スペイン語圏ではスラングの単語と同じ発音になってしまうため、「Montero(モンテロ)」という名称で販売されています。また、イギリスでは「SHOGUN(ショーグン)」という日本らしさを前面に出した名称が採用されています。
他にも、トヨタの「アクア」は諸外国では「Prius C」として、プリウスシリーズの中に組み込まれて販売されており、ホンダの「フィット」は北南米、中国、台湾以外の諸外国では「Jazz」として販売されています。
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海外で用いている名称が日本に逆輸入されたケースも
トヨタの「ヴィッツ」は、諸外国では「Yaris」という名称で販売されていました。
しかし、2020年からは国外における「Yaris」の知名度を考慮し、日本でも「ヤリス」という名称で販売されるようになりました。
このように、日本より海外での知名度が高まり、海外で用いている名称がプロモーション上優位になった場合、海外で用いている名称が日本に逆輸入されるケースもあります。
名前だけでなく、仕様も現地に合わせて
特に自動車の場合、日本と海外で異なる名称を用いてかつ、異なる仕様の製品を発売するケースが散見されます。
例えば、三菱の「パジェロ」シリーズは海外で独自の進化を遂げており、北南米では「モンテロスポーツ」中米では「ナチーヴァ」オセアニアでは「チャレンジャー」イギリスでは「ショーグンスポーツ」という名称で、性能の向上や各国の気候に合わせた仕様変更をされた上で販売されています。
他にも、江崎グリコの「ポッキー」は、健康的な食品が好まれるヨーロッパ諸国ではカカオ100%のチョコレートを用いたり、気温の高いタイでは溶けにくいチョコレートを用いるなど、販売国に合わせたローカライズが実施されています。
日本製品の名前を「ローカライズ」するリスクとは?
各国に適応した名称や仕様に切り替え、柔軟な販売ルートを確保している日本製品は多く存在します。そのうちいくつかをここまで紹介しましたが、このような戦略にもリスクが存在します。
ここでは、元の商品との同一性と「パクリ」の観点から、このような販売戦略が抱えるリスクを分析します。
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「パクリ」製品のリスク
中国では、いわゆる「パクリ」製品の氾濫が大きな問題となっています。
過去には今治タオルや無印良品などが中国に進出しようとした際、すでに同名の商標が登録されておりパクリ製品が堂々と出回っていた、といったケースもありました。
コカコーラやスターバックスなどの国際企業は、中国での商標の登録によるデメリットを回避すべく、商品名だけでなく商品名に類似した単語までも商標として登録しています。
知名度の高い製品に海外用の名称を付けてしまうと、元の名称を悪意ある事業者に使われてしまう危険性もあります。
中国では他国と異なる商習慣や規範意識で行動するビジネス関係者もまだ少なくないため、商標関連の手続きは慎重に進めることが求められます。
世界で愛される日本製品、その戦略とは
日本の製品は高品質の象徴として、諸外国でも多くの愛好者に使われています。
特に食料品は日本食の人気もあるためか、お菓子や即席麺までもが世界で受け入れられており、他にも自動車はその耐久性が認められ諸外国でも好調な売り上げを記録しています。
これらの製品は名前や仕様を各国に適した形にすることで、より各国の市場に溶け込んでいます。このような戦略には先述したリスクも伴うため、どの程度まで溶け込ませるかといった判断は慎重に下す必要があります。
しかし、日本で知名度が高かったり訪日外国人に人気の商品を諸外国に展開する場合、世界でローカライズされた日本製品の由来を知ることは販売戦略を立てる大きな助けとなるでしょう。
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