コロナ禍で多くの業界が打撃を受けるなか、この非常時をチャンスに変えた企業もあります。
外出自粛によるネットショッピングの需要を的確に捉えることをはじめ、販売方法や商品ラインナップの工夫などにより、非常時の新たな消費ニーズを掴むことに成功したと考えられます。
今回は、コロナ禍で業績を伸ばした日本企業の例を3つ紹介し、コロナ禍の逆風を追い風に変えるヒントについて考えます。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
ニトリは過去最高益に
コロナ禍は小売り業界の売り上げに大きな打撃を与え、業績悪化が顕著となりました。
小売り大手のセブン&アイ・ホールディングスが7月9日に発表した、2020年3月〜5月期決算は、東日本大震災以来11年ぶりの減収減益となりました。
一方で、小売り業界のなかでも、コロナ禍から生まれた新たなニーズをうまく取り込み、売り上げ増加につなげた企業もあります。
例えば大手家具メーカーのニトリは、2020年3月〜5月期の連結決算において、純利益が前年同期比25.4%増の255億1,900万円と、過去最高益を記録しました。
緊急事態宣言の発令中は、最大で110店舗が臨時休業や営業時間短縮の対象となり、4月の売上高は前年を下回る傾向でした。
しかし営業継続店舗の売り上げや、巣ごもり需要と通販の利用増加によるEC需要を的確に捉えたことが、売り上げの好転につながったと考えられます。
ニトリでは、外出自粛によるおうち時間の充実やテレワーク環境を整えるための商品のニーズを取り込むことに成功しました。
具体的には、機能性を重視したデスクや椅子などのホームオフィス家具をはじめ、カラーボックスなどの収納整理品、ダイニング・キッチン用品のラインナップの充実が、売り上げ増加を後押ししました。
またECサイト体制の整備も、外出自粛に伴う通販需要の増加を捉えた要因の1つといえます。
ニトリは2019年夏の時点でECサイトをリニューアルし、大量注文に対応する体制を整備していました。
また店舗においても、ECでの購入を積極的に促していたことから、通販事業は売上高と客数が過去最高を記録しています。
グローバル企業 6割は「EC予算増に期待」、日用品・飲食料品・自動車への投資意欲高【電通イージス・ネットワーク】
電通イージス・ネットワークが、新型コロナウイルスの影響下におけるグローバル企業のマーケティング予算の変化について調査しました。調査の結果、多くの企業でマーケティング予算が縮小された一方、ECへの傾倒の動きが見られました。本記事ではこの調査の結果と、今後のECの展望について紹介します。《注目ポイント》グローバル企業の8割がマーケティング予算を縮小6割のマーケターがECへの投資を重視、日用品・飲食料品・自動車への投資意欲が高いコロナ禍で越境ECが盛り上がり見せる/今後もその傾向が続くと予想関連...
アダストリアが行った「オンライン接客」
アパレルブランドを展開するアダストリアは、コロナ禍にもかかわらず2020年3月〜5月のEC売上高が前年同期比25%増の134億円を達成しました。
外出自粛による実店舗での売り上げは大きく落ち込んだ一方で、国内売上高のEC比率は42.8%と、23ポイント増加しています。
このように、ECによる販売拡大が増収につながった理由として、自社ECサイトにおけるオンライン接客が挙げられます。アダストリアでは、2018年より店舗スタッフによるスタイリング写真を投稿する「STAFF BOARD」を公開していますが、外出自粛の状況をふまえ参加スタッフを約1.5倍に増加し、コンテンツの拡充を図りました。
アダストリアが自宅待機中の店舗スタッフにEC倉庫から新作商品を発送し、スタイリング写真を投稿できるようバックアップしたことで、店舗休業中もスタッフが自宅から投稿を継続できました。
また、店舗スタッフが個人または店舗のInstagramのアカウントからライブ配信を行う、オンライン接客も強化しています。
商品紹介や着用感、着まわしコーディネートについて、動画を通しリアルタイムで紹介する取り組みです。
閲覧者からのコメントにもその場で回答できるため、ECサイトで購入する際の不安を取り除くことができ、売り上げ促進に成功しました。
ECサイト訪問者が多くのレビューを参考にすることで購入に踏み切るといった、オンライン接客の効果的な施策といえるでしょう。
11月11日は中国「独身の日」1分で10億ドル動く巨大セールイベントについて解説
毎年11月11日に中国で行われる「独身の日」セールは、破格の総売り上げが日本でも報じられ、話題になっています。本来はセールのための日ではありませんでしたが、中国のIT企業アリババが仕掛けたセールがきっかけとなり、独身という枠を超えて幅広い年代が注目するセールの日になりました。この記事では「独身の日」の由来、セールの日になった理由や、中国でのEC需要について解説します。目次独身の日が中国の最大セールの日になったわけ独身の日とは独身の日が中国で最大セールの日になった理由独身の日を盛り上げている...
ケンタッキー、17ヶ月連続の売上増
大手ファストフードチェーンの日本KFCホールディングスは2020年3月期決算にて、全店売上高が1,287億円となり、過去27年間で最高を達成しました。
4月の既存店の売上高も、前年同月比で133.1%と、17カ月連続での売上増加に成功しています。外食・飲食店業界がコロナ禍の致命的な打撃を受けているなか、ケンタッキーの売上好調の動向は大きな注目を集めています。
ケンタッキーでは2018年より500円ランチの提供を開始しており、コストパフォーマンスの高さからコロナ禍にも負けないヒット商品となっています。
クリスマスやパーティーなどの特別な日に食べるイメージから、日常的に気軽に食べられるファストフードのイメージへ転換できたことが、コロナ禍の売上増加の起爆剤となりました。
また、家族利用の需要増加に伴い、アプリのトップ画面に家族向けのパックメニューを表示するといった工夫をしています。
近年はデリバリー対応の店舗を拡大させていることも、コロナ禍の売上増加につながったと考えられます。
アプリ上の「KFCネットオーダー」では、持ち帰りかデリバリーを選べる導線を用意しており、外出自粛中のデリバリー需要をうまく取り込めるようになりました。
「非常時」の消費ニーズを的確に捉えた企業
新型コロナウイルスの感染流行に伴い、小売業界や外食・飲食業界など、多くの業界が売上に大きな打撃を受けていますが、商品ラインナップの工夫やECサイト、デリバリー需要への対応から、コロナ禍のピンチをチャンスに変えている企業も見受けられます。
外出自粛やテレワークの推進といった社会状況の変化を捉え、柔軟に販売方法や商品ラインナップを転換することが効果的でしょう。
商品のPR方法も、アダストリアのように消費者と密にコミュニケーションが取れるSNSを活用し、オンラインでもわかりやすく商品の魅力を伝え、購入意欲促進につなげていくといった施策が有効です。
ウィズコロナ時代を生き抜くためには、非常時ならではのイレギュラーな消費ニーズを的確に捉え、迅速かつ柔軟にニーズ取り込みに向けた施策を展開していくことが求められます。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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