WeChatのミニプログラムとは、中国最大のメッセージアプリWeChat(微信)内で利用できるプログラムのことで、「アプリの中で利用できるアプリ」です。
WeChatミニプログラムは、WeChatユーザーであれば誰でも利用可能で、様々なサービスを一つのアプリで完結できます。
中国では、すでにWeChatミニプログラムの認知度は高く、企業のプロモーションにも活用されており、中国向けのプロモーションやインバウンド対策を行いたい企業にとって押さえておきたいツールの一つです。
今回の記事では、WeChatミニプログラムの特徴や機能、活用方法や、実際の企業における活用事例を業界別に紹介します。
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WeChatのミニプログラム(微信小程序)とは?
WeChatのミニプログラムとは、WeChat内で機能するアプリケーションプログラムのことです。中国語では「微信小程序」と書きます。
WeChat内のミニプログラムで、ユーザーはサービスの予約や商品の注文など、さまざまなサービスを手軽に利用することができます。
WeChatは幅広い世代の人に日常的に利用されるアプリで、WeChatのユーザー数やミニプログラムの数は年々増加しています。
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WeChatのミニプログラムとは?
ミニプログラムとはアプリ上で機能するプログラムのことで「アプリ内で利用できるアプリ」の機能を提供しています。
ダウンロードしてもらえない可能性のあるアプリを新たに作るのではなく、すでに多くのユーザーがいて利用頻度の高い人気アプリ内でサービス提供するので、集客やプロモーションに効果的です。
なかでも、中国で12億人を超えるアカウントを持つ中国の国民的SNSである「WeChat(微信)」で稼働するWeChatミニプログラムへの注目が集まっています。
ロンドンのソーシャルメディアエージェンシーのWe are socialとバンクーバーのソーシャルメディア管理サービスのHootsuiteが発表した2020年1月の中国のレポートによると、WeChatは、国内のユーザー数がもっとも多い携帯アプリだとされています。
WeChatのミニプログラムでは予約、注文、ショッピングなど様々なサービス機能が利用でき、訪日中国人観光客へのプロモーション手段としても期待を高めています。
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WeChatのユーザー数・ミニプログラムの総数は増加している
WeChatミニプログラム関連のデータ分析をする「阿拉丁(aldwx.com)」の「2020年5月小程序互聯網発展研究報告」によると、2019年8月の時点で、WeChatミニプログラムの総数は236万にのぼっています。
2018年11月に発表された120万から、ほぼ2倍となっており、ミニプログラム市場は急速に成長していることがわかります。
WeChatミニプログラムは、10〜60代と幅広い世代に利用されており、ユーザーの70%以上が日常的に利用しているといわれています。
中国人向けのプロモーションを狙う企業には最適なチャネルのひとつであり、今後ますますミニプログラムを活用したマーケティングが拡大することが予想されます。
WeChat ミニプログラムの特徴
WeChat ミニプログラムの特徴として、ユーザーとして利用する際に、アプリをダウンロードする必要がないという点があげられます。
日本では、各飲食チェーンなどのお店は、自社の専用アプリをリリースし、そこで店舗で使えるクーポンや、情報を配信しています。
一方、WeChatミニプログラムでは、WeChatのアカウントを持っていれば利用できるため、通常のアプリのようにそれぞれに個人情報などのユーザー登録が不要です。
WeChatミニプログラムには、WeChat内で検索するか、QRコードをスキャン、またはWeChatで他のユーザーからシェアされたりすることでアクセスが可能です。
また、WeChat開発元のテンセントが提供するQRコード決済のWeChat Payと連動しているため、商品を購入し、アプリケーション内で決済するまでの動きもスムーズです。
アクセス方法・機能・日本での開発方法とは?
WeChatのミニプログラムは、ネットショッピングや飛行機・ホテルの予約、決済までをWeChat内で完結できるサービスで、中国市場へのインバウンド対策として取り入れたい方法のひとつです。
ここでは、詳しい機能やアクセス方法、日本でのミニプログラムの開発方法を紹介します。
WeChat ミニプログラムを立ち上げる方法
WeChatミニプログラムを実際に利用する際、ユーザーは以下のような操作を通じてアプリを立ち上げることになります。
- WeChatモバイルアプリを開いて「検索窓」から…利用したいサービスの名称を入力すれば、検索結果にミニプログラムが出てきます。
- タブ「発見」をタップし、一番下に表示される「ミニプログラム」から
- 店頭などでQRコードをスキャン
- 公式アカウントの小程序(ミニプログラム) から…ユーザーが最初からミニプログラムを検索して利用する可能性は高くありません。公式アカウントを開設し、そこからミニプログラム への導線を作ることでユーザーに認知されやすくなります。
- 友人とのチャットで送られてきたリンクから
- WeChatを立ち上げたチャットスレッドの画面で、下にスワイプをすると直近で利用したミニプログラム が表示される
以下は、ユーザーが検索する場合の実際の画面です。
WeChat内で「スターバックス」を検索すると、スターバックスの公式アカウントなどの情報が表示されます。
そこで、「小程序(ミニプログラム)」を選択すると、スターバックスが提供するミニプログラムを閲覧できます。
![▲[WeChat内での「スターバックス」の検索画面]:編集部キャプチャ WeChat内での「スターバックス」の検索画面](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7358/main_Wechatminiprogram3.jpg?auto=format)
よく使うミニプログラムや好きなミニプログラムを「マイミニプログラム」とするには、画面右上の「・・・」をタップします。
![▲[スターバックスのミニプログラム画面]:編集部キャプチャ スターバックスのミニプログラム画面](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7359/main_19388e0d501267cb73f60e8bf657d26d.jpg?auto=format)
表示されたメニューの中から「スター追加」をタップします。
すると、選択したミニプログラムが「マイミニプログラム」として保存されます。
![▲[マイミニプログラムの画面]:編集部キャプチャ マイミニプログラムにスターバックスが保存された画面](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7361/main_Wechatminiprogram5.png?auto=format)
また、検索以外にも、画面下部の「発見」を選択することで「ミニプログラム」の項目が表示されます。
「ミニプログラム」のメニューでは、ミニプログラムの検索やよく使うミニプログラムの確認ができます。
![▲[WeChat「ミニプログラム」の画面]:編集部キャプチャ WeChat・「ミニプログラム」の画面](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7309/main_wechatminiprogram2.png?auto=format)
たとえば、スターバックスのミニプログラムを起動すると、以下のような画面のアプリがWeChat内で起動します。
このページから、デリバリーの注文や、ギフトの選択、近くのお店の検索などができます。
![▲[スターバックスのミニプログラム画面]:編集部キャプチャ スターバックスのミニプログラム画面](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7313/main_unnamed.png?auto=format)
独自アプリを開発せずにEC機能やオーダー機能が使える
WeChatミニプログラムには、周辺案内、施設紹介、予約・購入、ナビ、Wi-Fi、キャンペーン、越境EC、クーポン、自動翻訳、待ち時間通知、口コミ拡散、会員管理など、さまざまな便利な機能を搭載することができます。
中国で盛んに利用されているECも、WeChatのミニプログラムを利用すれば、企業で独自アプリを開発してリリースする必要がありません。
ミニプログラムのECサービスでは、WeChatのメッセージにより口コミとあわせてミニプログラムがシェアされる可能性もあります。またWeChat公式アカウントを開設していれば、公式アカウントを通じたコンテンツ配信により売上につなげることもできるでしょう。店舗のQRコードをオフラインに展開するという形での集客もできます。
ミニプログラムで、商品の事前注文機能を設定すれば、ユーザーはミニプログラム上で商品のオーダーを完了し、決済はもちろん、注文後にはミニプログラムを通じて配送状況の確認ができます。
日本で開発する方法
WeChatミニプログラムは、日本国内で開発してWeChatに申請することもできます。
開発方法はまず、WeChat公式ページから名前やプロフィール写真、自己紹介、サービス範囲など、事前に基本情報を登録し、WeChatのインストールおよびWeChat開発者IDを取得します。
その後、WindowsやMacなど自分のPC環境に合った開発者ツールをダウンロードし、サンプルプログラムを参照して構築していきます。
開発が完了したら、審査のためにコードをWeChatチームに送信し、審査通過後、プログラムをリリースできる仕組みになっています。
ただし、審査部門から修正依頼等も中国語でやり取りする必要があるため、中国語に精通したエンジニアが必要です。
自社で開発するのが難しい場合、WeChatミニプログラムを開発できる企業に依頼し、開発を代行してもらう方法もあります。
【業界別】ミニプログラムを活用した企業の紹介
WeChatミニプログラムでは、さまざまな業界の店舗が、注文・支払いシステムを導入しています。
それに加え、クーポンの配布や周辺案内などさまざまな機能を提供し、ユーザーの利便性を向上させることで、中国人の集客に効果が期待できます。
ここでは、業界別に企業のミニプログラム活用例を紹介します。
1. ディスカウントストアでの活用例
大手ディスカウントストアで、中国人にも人気が高い「ドン・キホーテ」では、WeChatのミニプログラムを活用して商品を提供しています。
ミニプログラムから商品を購入することができる他、クーポンを受け取ることも可能です。
また、「資生堂」や「花王」といった中国で人気のメーカー名で商品を検索できるなど、顧客の取り込みに力を入れています。
![▲[ドン・キホーテのミニプログラム画面]:編集部キャプチャ ドン・キホーテのミニプログラム画面](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7362/main_4af8d54cf46bf9debdc8f6af814cac7c.jpg?auto=format)
2. 飲食店での活用例
中国の人気ティーブランド「HEYTEA(喜茶)」は事前注文専用のミニプログラム「喜茶GO」を提供しています。
そのユーザー数は、リリースから2年で2,600万人を超え、注文の80%以上の注文は「喜茶GO」からの注文によるものです。
注文の流れはオフラインとオンラインの融合のOMO(Online-Merge-Offline)と呼ばれ、注文時に自分の位置情報を許可するだけで、近くの店舗から注文できる仕組みとなっています。
3. 百貨店での活用例
阪急阪神百貨店は、2019年からWeChatのミニプログラムを導入しており、中国国外で初めて「WeChat Payスマート旗艦百貨店」に認定されています。
自社が扱う商品の事前予約と店頭受取の仕組み作りをすることでショッピングのストレスを軽減できる上、中国人観光客の買い物時間の短縮を可能にし利便性向上を目指しています。
4. 遊園地・交通機関での活用例
山梨の運輸・観光・不動産サービスをおこなう富士急行では、日本で初めて「WeChat オンラインチケット」を導入し、富士急ハイランドのフリーパスと、富士芝桜まつりの入場券の販売を開始しました。
このサービスはWeChatミニプログラム内でチケットの購入が可能なサービスで、2018年4月20日よりスタートしています。
WeChatのIDを保有し、WeChatPayと連携していれば、富士急グループ公式WeChatアカウントまたは、富士急グループ公式ミニプログラムからチケットを購入できます。
WeChatミニプログラムはダウンロード不要で利用できるWeChat内のアプリ
WeChatミニプログラムはWeChatのアカウントがあるだけで利用でき、生活に必要なサービスをひとつのアプリで完結できる便利なサービスです。
また、プラットフォームの開発にかかる費用や期間をおさえ、効率的に訪日中国人客を取り込めるため、インバウンド対策にWeChatミニプログラムを活用する日本企業も増えています。
ミニプログラムは、自社で開発したり、開発を代行する企業のサービスを利用することで、簡単に中国市場へのアプローチを開始できます。
中国向けのプロモーションを行う企業やEC事業者にとって、WeChatミニプログラムは集客の有効な手段のひとつとなるでしょう。
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