アーバンツーリズムとは | 地域の魅力を発信・3つの戦略と成功事例

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海外では定番の旅行スタイルであるアーバンツーリズムは、近年日本でもさまざまな地域が積極的に取り入れており、来訪者の取り込みに成功しています。

アーバンツーリズムに官民一体となって取り組むことで、東京や大阪といった大都市以外の地域でも、訪日客を呼びこめる可能性があります。

アーバンツーリズムはどのような旅行スタイルなのか、その詳細や特徴、実践する際のポイントを解説するとともに、成功事例をご紹介します。

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アーバンツーリズムとは

アーバンツーリズムとは、もともとある地域の魅力を発信することで旅行者を呼び込み、さらにその効果を街づくりに活かす旅行スタイルです。

従来の観光とはどのような違いがあるのか、旅行スタイルの詳細と特徴を解説します。

都市の魅力を体験

従来、観光は名所や旧所などをめぐることが主流とされてきました。一方でアーバンツーリズム「都市観光」とも呼ばれており、従来の観光とともにその地域の人々との交流や、都市のさまざまな魅力を体験することを総称した旅行スタイル及び活動を指します。

アーバンツーリズムのなかには、飲食やテーマパークなどのアミューズメント、アートや古典芸能の鑑賞などの芸術ショッピング、その都市の歴史と文化や朝市のような人々の暮らしに接する体験も含まれています。

パリやロンドン、バンコク、香港など海外では定番の旅行スタイルであるアーバンツーリズムですが、日本でもこの活動に取り組む都市が増えてきています。

アーバンツーリズムの特徴

アーバンツーリズムは、主に4つの特徴があります。まず、旅行者から得られた経済効果や知名度アップなどの社会的効果、異文化体験のような文化的効果など多様な効果を、都市の発展につなげることが挙げられます。

2つ目の特徴としては、旅行者の効果に注目しているため、「モノ消費」よりもそこで何をするのかというコト消費」に重きが置かれる点があります。

旅行者にとっての魅力だけではなく、元々その都市にあったものに普遍的な魅力や価値を見出すことで、旅行者と地域の人々との距離を縮め、一体性を図る必要があることも特徴として挙げられるでしょう。

そして、その都市の行政や観光関連機関、民間企業と市民が一丸となって都市観光の目的や目標を共有し、作り上げていくという特徴もあります。

「モノ消費からコト消費」の意味や種類とは?変化の理由とインバウンド対策方法を解説

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アーバンツーリズムを実践するために必要なこと

既にあるものを活用して旅行者を取り込むアーバンツーリズムでは、実践する上で必要なことが3点あります。

どのような点に注目し実践していくべきか、アーバンツーリズムの実践ポイントを解説します。

マーケティング戦略

アーバンツーリズムにおけるマーケティング戦略では、その都市の魅力に関心を持ちそうな旅行者や、都市に呼び込みたい対象者を設定することから始まります。

ターゲット層の設定により、何を魅力としてPRするのかという都市開発の方向性を定められるため、より効果的に旅行者を呼び込めるでしょう。

そして、そのターゲット層に向けてより魅力が伝わるようにPR活動に取り組むことで、集客につながると考えられます。

コミュニケーション戦略

一度来てもらった旅行者に再度来訪してもらうためには、来訪者のフィードバックを重視することが効果的です。

フィードバックを参照することで、さらなる旅行者の集客を図れます。

そのためには、旅行者と接点を持つための情報発信の方法と旅行者から情報収集をする方法の確立が必要になります。

この2点を解消するためには、観光案内所のような地域の人々と旅行者が直接意見を交換できる場所を設けることや口コミサイトへの登録などの手段が挙げられます。

ロジスティクス戦略

旅行者に滞在や移動を快適と感じてもらい、より訪れやすい都市にするために工夫を凝らす必要もあります。

地方でのアーバンツーリズムの場合は特に、空港や最寄駅から都市中心部への移動手段を分かりやすくするための、ロジスクティクス対策が求められます。

マップやパンフレットを作成することや、案内板の設置、バス電車の一日乗車券の導入、交通手段の整備について検討すると良いでしょう。

アーバンツーリズムを提案する企業・自治体の事例の紹介

日本でも多くの地方自治体アーバンツーリズムを実践し、旅行者の呼び込みに成功しています。

ここでは、アーバンツーリズムに取り組み、その年ならではの旅行スタイルを提案している企業や自治体事例を紹介します。

アートイベントで地域活性化を進める広島県尾道市

尾道市には、丈夫で通気性の良く、静電気を発生させにくい尾道製帆布という特産物があります。

この尾道製帆布を広める活動として、2000年からアートイベント「尾道帆布展」をほぼ毎年開催しています。

東京など遠地から美術大学の学生や作家を招待し、尾道市内の廃校や空き店舗、民家に1ヶ月程居住してもらいながら、制作・作品展示を行う「レジデンス形式」のイベントです。

こういったイベントを開催することで、地元の尾道大学の美術系専攻の学生・教授陣・その他関係者も尾道帆布展のPRに参加するなど、地元民と観光客の交流を生みながら地域を盛り上げることにつながりました。

結果的に尾道帆布展は、美術関係者だけでなく、地元や全国からの観光客に尾道市の社会・産業の課題を伝える社会問題学習・解決活動型のアーバンツーリズムの役割を果たすことに成功しました。

ナイトライフ観光を充実させる東京都

東京都は都市観光(アーバンツーリズム)が観光産業だけでなく、都市経済に広く影響を与えると捉えています。

そのため、夜の経済を活性化する目的で特にナイトライフ観光に力を入れていますナイトライフ観光とは、夜間に特徴的な観光行動のことをいい、時には飲酒を含む観光を踏まえることもあります。

東京都ではこの取り組みの1つとしてナイトライフツアーを実施しています。主に六本木・渋谷界隈で開催されている「東京パブクロールPub Crawl」はその一例で、2008年に開始された徒歩ツアーです。

ツアーの内容は、4時間の間に3~6件のバーを来訪した後、終盤には六本木界隈のクラブを訪れるようになっているそうです。

また、来訪するバーやクラブは毎回異なり、少なくとも20件のバー・クラブから選ぶことができます。都内にある複数のお店をツアーに組み込むことで、観光に来た人自身が見つけることができなかったお店も広めることができる機会となります。

このツアーは、トリップアドバイザーにより優秀なツアーとして複数回認定されていますが、特に2016年のハロウィーンでは850人の参加者を記録したことから、東京で最大規模のパブクロールツアーとして登録されています。

また、大阪(2015)や京都(2016)でも同様のサービスが開始されていて、注目を集めています。

ナイトライフとは?夜のインバウンド観光を解説/国内外の先進事例も紹介

近年、インバウンド市場において、「ナイトライフ」というキーワードを耳にする機会が増えています。日本のインバウンドにおいて、日中時間に楽しめるモノやコトがあふれていますが、「ナイトライフ」という夜間観光のコンテンツの需要が高まりつつあります。中国の経済日報によれば、今年の「メーデー休暇」での中国人観光客のトレンドはまさしく「ナイトライフ」だったといいます。しかも、これまでのような「夜の時間帯の観光地をざっと巡る」「ライトアップショーを見る」といった定番モノから、より深い体験にニーズが移行して...


新たな都市型観光を進める埼玉県越谷市

越谷市は高齢化により今後人口減少が見込まれています。

そういった中で、地域のあらゆる資源を活かし、人や企業に選ばれる自治体となることが、地域の活性化になると考え、将来の越谷市を見据えて都市型観光に注力しています。

その一例として、観光イベントや観光名所とは縁がなかった地域の特徴も魅力をプラスすることで、観光資源として捉える取り組みを進めています。

「ナンバー1」や「オンリー1」、「楽しい」、「新しい」、「かわいい」などをキーワードとした付加価値づけと、これまで焦点のあたらなかった分野での聖地化など時代のトレンドを捉えた地域の魅力の掘り起こしを行なっています。

具体的には、自転車メーカーホダカと連携したサイクリング観光などを実施しています。

地域にもともとあった魅力に特別感を加えることが、アーバンツーリズムに繋がるでしょう。

アーバンツーリズムをインバウンドへ活かす

アーバンツーリズムは、都市が元来有している地域の魅力や価値を、より観光客に広めることで地域活性化につなげる仕組みです。そのため、新たに観光資源を作るのではなく、今ある都市の魅力をさらに磨くことが必要となります。

外国人観光客の間では、日本ならではの体験や農業体験などを好む人も多くなっており、「コト消費」へのニーズが高まっています。その都市ならではの魅力を発信することは、こういったニーズに応えるとともに今後のインバウンドの対策にも活かしていけるでしょう。

アグリツーリズムでインバウンド客のコト消費を促進

「アグリツーリズム」は、観光として農場や農村を訪れ、農業を体験することを意味する言葉です。訪日外国人観光客の数は年々増加しており、その旅行目的も多様化しています。消費傾向は「モノ消費」から「コト消費」に変わり、その土地でしか体験できないことにフォーカスする人が増えています。今回は、アグリツーリズムとはどのようなものなのか、また日本国内での事例や、アグリツーリズムが持つ課題を紹介します。関連記事コト消費とは持続的な観光、エコツーリズムが抱える課題欧米豪市場に響くエコツーリズムの作り方インバウ...

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【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

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宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

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「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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