政府は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けについて、緩和していく考えであることを示しています。現在、新型コロナウイルスは「2類相当」に準じた措置がとられており、医療機関の負担増大が見受けられている状態です。
新型コロナウイルスが「指定感染症」から解除された場合の、観光業が把握しておくべき経済の動きや感染拡大のリスクについて解説します。
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
「指定感染症」から解除される可能性
厚生労働省は、世界的に感染が拡大している新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けについて、見直しの検討をすることを2020年8月26日に明らかにしました。
現在、新型コロナウイルスは「2類相当」に該当されており、指定感染症の5段階中2番目に高い危険度とされています。「2類」には新型コロナウイルスの他に、結核やSARSが該当されていて、入院勧告や就業制限の対象です。
政府は同月24日の分科会にて、現段階での新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが妥当かどうか議論し、今後メリット・デメリットの整理を行うこととしました。政府内では、新型コロナウイルスを「指定感染症」から解除し、「2類」からインフルエンザと同等の5類に引き下げるという考えが出ています。
解除となった場合どうなるのか
新型コロナウイルスが「指定感染症」から解除される場合、経済効果に大きく影響を与えることが見込まれています。ただし、それと同時に感染拡大のリスクが懸念されるため、各自で慎重な判断が必要になっていきます。
医療機関や観光業の経済回復、そしてその裏側に潜む感染拡大のリスクについて解説します。
無症状患者の入院不要、経済好転への追い風に
現在では新型コロナウイルスが指定感染症に指定されているために、軽症者や無症状者であっても入院措置がとられ、患者を受け入れている医療機関の負担が増大しています。そのため、人員不足の深刻化が見られ、通常であれば収益が見込まれる一般患者の受け入れや手術などを縮小せざるを得ない状況になっています。
新型コロナウイルスが指定感染症から解除されれば、入院措置が不要となり、医療機関への負担が軽減されます。一般患者の受け入れを増やすことができ、医療機関は経済回復が見込めます。
また、解除後は若年層の自粛マインドの緩和が想定され、経済効果へのプラス効果も期待できます。7月22日に開始された国内観光需要の喚起を目的とした「Go Toトラベルキャンペーン」では、200万人のキャンペーン利用者のうち感染者数は1人だったと、8月24日の記者会見で菅官房長官が明かしています。「3密回避・マスクの着用・手洗い」などの感染予防対策を行うことで感染リスクを避けられると見解を示しています。
感染拡大のリスクは?
新型コロナウイルスが指定感染症から解除された場合、低迷していた経済が好転することが期待されています。しかし一方で、感染拡大のリスクが懸念されます。
例えば、新型コロナウイルスに感染していても入院費用が自己負担となるため、入院が必要な患者が入院を拒否する恐れがあります。したがって、症状が完治していない状態、または無症状感染の状態で他人にうつす機会が増える可能性があります。
医療機関への甚大な負担から、高齢者や重症化リスクが高い人のみ入院措置が必要との指摘がある中で、自粛意識の低下による感染拡大が危惧されています。
今後のインバウンドを成功させるカギは「安全・安心」
日本では新型コロナウイルスの第二波が懸念されていますが、観光業にとって「指定感染症」解除は朗報でしょう。逼迫している医療機関にとっても、負担の緩和が見込まれます。
新規感染者数の増加スピードは緩やかになりつつあるものの、重症患者数は微増傾向であるうえ、今後インフルエンザが流行する冬に備えて医療リソースの確保は重要です。
したがって、今回の新型コロナウイルスの位置付けの再検討は、決して新型コロナウイルスの危険性が軽視されているわけではなく、医療崩壊を防ぐ現実的な対応措置ともいえるでしょう。
「指定感染症」解除後は、観光地の感染対策の徹底がより必要となります。西村康稔経済再生担当相は8月26日、「Go Toトラベルキャンペーン」における東京都の取り扱いについて9月に判断する考えであることを示しました。もし東京発着の旅行が「解禁」となれば、国内旅行者の数は増加し、観光地のソーシャルディスタンスの確保はよりシビアなトピックとなるでしょう。
しかし、国内観光が安全かつスムーズに活発化し、日本は安全・安心に旅行ができるという情報が対外的に発信できれば、訪日潜在層への需要喚起に繋がります。
来るべくインバウンド需要の回復に備えて、観光業従事者は「安全・安心」の実現と訴求をいかに行えるかが焦点となりそうです。
新型コロナウイルス「指定感染病」「検疫感染症」に閣議決定:強制入院や就業制限が可能に・2003年以降5例目・日本国内を対象
世界で感染が広がっている新型コロナウイルス(COVID-19)を「指定感染病」にすることが、本日28日、閣議決定されました。また同時に、水際対策の強化につながる、「検疫感染症」に指定するための政令も決定されています。それぞれの政令の意味、また今回の新型肺炎に対してこのような決定が下された意義について整理します。関連記事韓国版「マスクマップ」登場!アメリカ、フランスのディズニーも続々閉鎖!【速報】WHO「新型コロナウイルスはパンデミック」新型コロナマップまとめ目次「指定感染症」とは?今までと...
Go To「やって良かった」と政府・自治体:200万人利用のうち感染者1人、近隣旅行に活気
国内観光需要の喚起を目的とした「Go Toトラベルキャンペーン」は、7月22日開始から1か月経過しました。施行直前に東京発着の旅行が対象外になるなど、一部で混乱を招くこともありましたが、施行によって一定以上の効果が現れていると、政府や自治体関係者がコメントしています。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次利用者数200万人・420万人泊、宮城県知事:「やって良かっ...
観光4大要素に追加すべき「安全・安心」とは?インバウンド復活を成功させる「2つの新条件」
日本国内において新型コロナウイルスの第二波が懸念されている中、政府は入国制限の緩和に慎重な姿勢を示しています。観光目的の渡航に対する制限はもちろんのこと、ビジネス目的でも緩和の合意に至ったのはベトナム一国のみとなっています。6月17日に日本政府観光局(JNTO)が発表した統計によれば、4月の訪日外国人の数は、前年同月と比べて 99.9%減という衝撃的な減少幅を記録しましたが、これが新型コロナウイルスの流行以前まで回復するにはどのくらいかかるのでしょうか。IATA(国際航空運送協会)は、国際...
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる
中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!