来週10月1日より、中国では国慶節という大型連休を迎えます。国慶節は、例年国内外を旅行する人が多いシーズンでした。
今年は新型コロナウイルスの世界的流行によって海外旅行にいけないかわりに、延べ6億人の中国人が国内旅行に出かけると推計されています。
そうした中、Trip.comの調査によると、人気の観光地1位は新型コロナウイルスの"震源地"である「武漢」が選ばれました。日本人からするとぎょっとするような現象が、現在の中国の旅行シーンで起きています。
なぜ、新型コロナウイルスの発生地である武漢が一躍人気の観光地として脚光を浴びているのか、その理由について解説します。
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人気観光地ランキングに「武漢 黄鶴楼」が1位に Trip.com調査にて
中国の大手オンライン旅行会社「携程」(Trip.comグループ:2019年10月まで、中国国内では「Ctrip」の名称で展開)が9月17日に発表した「国庆黄金周旅行热力地图(国慶連休旅行ヒートマップ)」によると、全国人気の観光地ランキングでは、2位の上海ディズニーを抑えて第1位となったのが「武漢の黄鶴楼」です。
また、中国の大手検索エンジン「百度」の「2020国庆搜索大数据(2020年国慶節検索データ)」によれば、「黄鶴楼」が人気旅行目的地ランキングで2位となりました。
これらの調査から、武漢は今年の国慶節連休の旅行先として注目されていることがわかります。
武漢の黄鶴楼とは
黄鶴楼は武漢市の武昌区に位置しており、三国時代に建築されて以来何度も焼失により再建され、現在我々が目にしているのは1985年に再建されたものです。
多くの中国の文学作品で言及された黄鶴楼は、武漢の重要なランドマークであり、中国随一の観光名所でもあります。
また4月29日に98日ぶりに一部開放された際に、中国現地のメディアが「黄鹤归来,武汉复苏(黄鶴が帰ってきたら武漢が復興を迎える)」と形容したほど、黄鶴楼は新型コロナウイルスに克服することができた「武漢の復興のシンボル」とされています。
なぜ武漢が人気なのか?
武漢は、新型コロナウイルスの感染が最も早く広がり、新型コロナウイルスの「震源地」とも言われていました。
それにもかかわらず、なぜ武漢はこの国慶節8連休にもっとも行きたい観光地となっているのでしょうか。
その理由としては以下の背景が考えられます。
1. 新型コロナ封じ込めに成功、収束をアピール
まず、中国政府は武漢における新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に抑え込み、それが奏功したことによって、武漢が安全であることを国内外にアピールしたことが一因として考えられます。
ここで、武漢の新型コロナウイルスの感染抑え込みまでの経緯を振り返りましょう。今年1月23日に、中国政府は武漢市のロックダウンを発表し、空港・鉄道・フェリーなどの交通機関が運行を全て停止しました。
厳格な移動制限や感染者の徹底隔離などの対策により、武漢の新規感染者は減り続け、4月8日に3か月以上にわたり続いていた武漢市のロックダウンが解除されました。この日以降から、武漢が徐々に感染拡大前の状況を取り戻していきます。
さらに、世間からの武漢への批判を回避するために、990万人という空前の規模を対象にした武漢市民へのPCR検査を実施し、陽性患者はもちろん、無症状感染者とその濃厚接触者まで徹底的に捕捉し、隔離しました。
この徹底した「封じ込め」施策が奏功したのか、武漢をはじめ湖北省全体の新規感染者は以後低い水準で推移しています。
そして9月、中国当局が外国のメディアを招き、武漢の最新状況を紹介する取材ツアーが行われました。
この取材ツアーでは、ロックダウンが解除された後、武漢の街や学校、病院などを案内することによって、新型コロナウイルスの収束を迎えた「安心安全」の武漢をアピールしていました。
2. 湖北省の「惠游湖北」観光誘致キャンペーン
また、湖北省政府が行っている「惠游湖北」観光誘致キャンペーンの効果も大きな要因として考えられます。
8月8日に、湖北省政府はコロナ禍で全国からの支援に感謝する気持ちを込めて、今年の年末までに全国の観光客に対し、省内約400か所のAクラス観光地の入場料無料化を実施しました。
(※中国政府は国内の重要な観光地に対して等級を付与しており、A〜5Aまでの等級が存在します。なお、黄鶴楼は最高評価の5Aの観光地です。)
この続きから読める内容
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