【独自取材】JNTO企画「インフルエンサー育成」施策とは?293万人の在留外国人の情報発信力に活路か

新型コロナウイルスの世界的流行によって観光客の渡航が制限されている現在、日本の「今」を海外の家族や知人に伝える在留外国人の情報発信力が着目されはじめています。

こうした中、日本政府観光局(JNTO)が初の試みとして、在留外国人のインフルエンサーを「育成」するというプロジェクトを立ち上げています。

今回訪日ラボは、JNTOの当プロジェクトの担当者・市場横断プロモーション部の及川氏に取材しました。

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JNTO初の試み 在留外国人インフルエンサーの「育成」施策

JNTOは2020年11月21日から、「在留インフルエンサーによるオンライン講座」を開催します。

本施策はインフルエンサー志望の在留外国人を対象に、実際のインフルエンサーが講師となり、オンライン講座と座談会を実施するというものです。このような在留外国人インフルエンサーの育成をするという施策は、JNTOとしては初の試みということです。

講座の対象はアメリカをはじめとする英語圏出身の在留者の方、中国と台湾出身の在留者の方であり、講座は3つのクラスに分け、オンライン形式で開催されます。

なぜこれらの市場を対象としたかについて及川氏は、「日本に現在住んでいる『在留者数』と日本に来る『訪日外国人数』をかけ合わせて考えました。今後、この施策を継続できる場合は、市場を広げていけたらと考えています。」と説明しています。

なお、本施策は「在留外国人を活用した訪日促進事業」に位置付けられ、SNS投稿促進キャンペーンである「My own personal Japanキャンペーン」と並行して実施されます。

この「My own personal Japanキャンペーン」が在留外国人に日本の情報を発信してもらう「きっかけづくり」を目的としているのに対し、「在留インフルエンサーによるオンライン講座」は、すでに情報発信を継続的にしている人を対象とすることにより「投稿の質を高める」ことを目的としています。

JNTO、「在留外国人」向けSNS投稿促進キャンペーン開始:海外への情報拡散狙い

10月12日、JNTO(日本政府観光局)は「在留外国人」向けのSNS投稿促進キャンペーン「My own personal Japanキャンペーン」を10月19日より実施することを発表しました。このキャンペーンは、インバウンド回帰を見据えた訪日意欲喚起の取り組みであると考えられています。目次JNTO、在留外国人向け「My own personal Japanキャンペーン」開始JNTO、在留外国人向け「My own personal Japanキャンペーン」開始JNTOが期間限定で実施する「M...


講座の内容は?

インフルエンサーを育成することは、JNTOにとって初の試みであるといいます。では実際に、どのようにインフルエンサーを育成していくのでしょうか。

具体的な講座内容について及川氏に訪ねたところ、講師の意向または受講生の質問や要望に応じて変更する可能性があるものの、大筋は以下の通りとのことです。

第1回目の講座は導入として、インフルエンサーの発信意図」というテーマを予定しています。

講師を務めるインフルエンサーに、インフルエンサーになるまでの自身の成長過程を語ってもらい、情報発信の際に大事にしていること、意識していることについて話をしてもらいます。

第2回目の講座ではより具体的・実務的な視点から、「どのような点に目をつけて、どのようなところに取材しにいき、どのように撮影するのかなど技術的な部分に触れていただく」としています。

第3回目の講座ではSNSの運用にスポットを当て、主にフォロワーとのコミュニケーションのとり方について扱う予定です。フォロワーと密なコミュニケーションを取り、より身近で信頼できる存在になることで、情報発信の内容へのエンゲージメントを高めることにつながります。

施策実行の背景や狙いは

在留外国人インフルエンサー育成の施策を実行するに至った背景について、及川氏は2つの理由があると説明します。

理由1:在留外国人の増加で情報発信の影響力が高まっている

法務省による在留外国人数の推移を示した下記グラフからわかるように、在留外国人数は2012年から年々増加しています。その数は2019年末には293万人を突破し、過去最高を記録しました。

こうした在留外国人数の増加に比例して、情報発信のインバウンドに与える影響力も増していると考えられます。

▲[在留外国人数の推移]:法務省プレスリリース
▲[在留外国人数の推移]:法務省プレスリリース


理由2:在留外国人の母国への人脈からVFRの誘致が狙える

また、在留外国人によるSNSを通じた情報発信は母国の友人・知人に伝えることで、VFRを後押しする狙いもあるといいます。

VFRとは、「Visiting Friends and Relatives」の略で、「友人・親族訪問を目的とした旅行」を意味します。2019年の訪日外国人消費動向調査では、訪日目的のうちVFRが占める比率は4.8%とされています。今後在留外国人が増加していくことで、VFR市場の重要度は増していくと考えられています。

また、UNWTO(国連世界観光機関)は、新型コロナウイルスの世界的流行によるダメージから市場が回復するフェーズにおいて、観光旅行のうちVFRが旅行需要の牽引役になる可能性が高いと予測しています。

及川氏も「渡航制限が解除され、どこへ行きたいかと考える時に、まずは友だちや家族がいる国から検討する人が多いのではないでしょうか。」と指摘します。

在留外国人によって日本の日常生活や観光スポットの魅力といった情報発信が継続してなされることで、それが「信頼できる生の声」として一人ひとりの在留外国人のそれぞれの人脈を通じ、母国に拡散されることが期待されています。

最近話題の「VFR=知人・家族訪問」訪日客4,000万人誘致の鍵に?

訪日外国人の旅行目的はまちまちです。観光をしに訪日する人もいれば、出張や研修などビジネス目的で訪日する外国人もいます。中には日本で働いでいる、もしくは勉強している知人や親族に会うことを目的に訪日している外国人も存在しています。こうした人たちは、旅行業界ではVFRと呼ばれています。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次VFRとは?:Visiting Friends ...

渡航制限解除後の「橋渡し役」を増やすために

今回の取材では、在留外国人インフルエンサーの育成を含む「在留外国人を活用した訪日促進事業」の成立経緯や狙い、具体的な実施方法について伺いました。

近年次第に大きな影響力をもつようになった在留外国人の情報発信の量と質の向上を促進し、母国に日本の魅力を伝えてもらい、渡航制限が解除された時の訪日需要を喚起することを目的としています。

取材の最後に、新型コロナウイルスの収束を見据え、インバウンド事業者が今できることについて、及川氏は次のように語りました。

「海外への情報発信に慎重になっているタイミングだからこそ、国内ではしっかりコンテンツを磨いていく動きが大事だと思っています。

外国人の目線で我々の商品・サービスの良さを認識し、磨き上げ、そして発信できるようにする、今はまさにその準備期間という位置付けではないでしょうか。

訪日外国人観光客の)ゲートはいつか開くので、そのときにこれまで以上に良質な情報や商品、サービスを提供できるような準備のサポートができればと思っています。」

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<参考>

法務省:令和元年末現在における在留外国人数について

観光庁訪日外国人消費動向調査 「2019年年間値の推計」※確報値

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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