ガーデンツーリズムとは?事例、国交省創設の登録制度・登録の流れを解説

ガーデンツーリズムとは、歴史的な価値のある庭園や植物園、公園を訪れる旅行の形です。

日本ではガーデンツーリズムの普及に向けて、歴史ある庭園を地域の観光資源として活用する取り組みが各地で進められています。

その取り組みのひとつが、国交省の推進する「ガーデンツーリズム登録制度」です。

国交省は、この制度を通して地域の複数の庭園が連携して、国内外向けのPRやイベント開催を行うための支援を行っています。

この記事では、ガーデンツーリズムの定義や日本におけるガーデンツーリズムの取り組み、国交省の展開する「ガーデンツーリズム登録制度」などについて解説します。

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ガーデンツーリズムとは?

ガーデンツーリズムとは「歴史的な価値のある庭園や植物園、公園などをめぐる旅行の形」を指します。

もともとガーデンツーリズムは欧米から始まったもので、観光客を地方に呼び込む手段としてイギリスを中心に普及してきました。

イギリスでは、およそ100年にわたってガーデンツアーが根付いています。

日本には地域ごとに特色のある多様な庭園が存在していますが、一方で観光資源として十分活用されていない場所も数多く存在しています。

このような課題を解決するために、各地の庭園間の連携やそれぞれの魅力の再発見をうながす取り組みが必要であるとされています。

国交省が推進する「ガーデンツーリズム登録制度」

日本においては、国交省は観光客誘致の方法としてガーデンツーリズムに着目し、2019年より「ガーデンツーリズム登録制度」を創設しました。

これまでの庭園の観光客集客では、それぞれの庭園や公園が個別で管理や対策を行っており、互いに連携した取り組みはあまり行われていませんでした。

そこで国交省は、地域の複数の庭園が連携し、より魅力的な体験を創出できるように「ガーデンツーリズム登録制度」を設けています。

これに認定した協議会に対して、PRやイベントの開催を支援しています。

また、国交省はこの取り組みを通して、訪日外国人観光客の地方への誘致も図るとしています。

日本の庭園や公園、盆栽は海外でも人気があり、訪日した際に訪れたいと考えるインバウンド客も少なくありません。

そのような訪日外国人観光客をターゲットに、地域が一体となって庭園の魅力をアピールすることで、観光客の増加や認知度の向上につながると考えられます。

これまで登録された計画

国交省は、現在までに10の計画をガーデンツーリズム登録制度の中に登録してきました。(2020年11月時点)

まず2019年5月の第1回登録では、以下の6つの計画が登録されました。

  • 北海道ガーデン街道(北海道)
  • ガーデンネックレス横浜(神奈川県)
  • 富士・箱根・伊豆「皇室ゆかりの庭園」ツーリズム(神奈川県、静岡県)
  • にいがた庭園街道(新潟県)
  • アメイジングガーデン・浜名湖(静岡県)
  • 宮崎花旅365(宮崎市)

2019年10月の第2回登録では、以下の2つが追加されました。

  • いばらきガーデン&オーチャードツーリズム(茨城県)
  • 湘南邸園文化ツーリズム (神奈川県)

さらに2020年10月の第3回登録で、以下の2つが追加されています。

  • 雪舟回廊(岡山県、島根県、広島県、山口県)
  • むさしの・ガーデン紀行(東京都)

アフターコロナのインバウンドへのアピールとしても期待

新型コロナウイルスによって大きな打撃を受けた地方の観光業界にとって、ガーデンツーリズムは立て直しに向けた一手として注目されています。

政府は、7月から始まった「Go To トラベル」事業に合わせて、ガーデンツーリズム登録制度に認定された地域や庭園のイベント開催や観光PRの支援を強化し、観光需要の促進を行っています。

また日本の庭園文化は海外からの人気が高く、Tripadvisorが発表した「外国人に人気の日本の観光スポット2020」には、石川県の兼六園や東京都の新宿御苑、広島県の縮景園など、多くの庭園がランクインしています。

このような人気ぶりから、新型コロナウィルスが収束した後の訪日外国人観光客の取り込みにおいて、ガーデンツーリズムが有力な観光コンテンツとして注目されています。

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すでに登録されているガーデンツーリズムの取り組みを紹介

国交省の推進するガーデンツーリズムには、すでに10の地域が登録されており、観光ルートの整備やプロモーションなどの取り組みが行われています。

ここではその中から、いくつかの事例について紹介します。

北海道:北海道ガーデン街道

北海道ガーデン街道協議会の推進する「北海道ガーデン街道」は、北海道の旭川・富良野・十勝エリアをつなぐ庭園施設の認知度向上を目指す取り組みです。

これらの地域に点在する8つの庭園施設に関して、移動手段やオフィシャルの周辺宿泊施設なども含めた観光ルートを設定し、共通チケットなどの販売により利便性をアップして観光地としての定着を図る施策が実施されています。

他にもガーデナーや施設関係者に向けたレベル向上に関する勉強会の開催や、近隣のバス・タクシーとの連携による旅行プランの創設、SNSを活用したPR、ホームページの多言語化などのさまざまな取り組みが実施・予定されています。

静岡県:アメイジングガーデン・浜名湖

浜名湖ガーデンツーリズム推進会議による「アメイジングガーデン・浜名湖」では、「浜名湖からはじまる感動四季めぐり」をテーマとしたガーデンツーリズムを展開しています。

「アメイジングガーデン・浜名湖」は、はままつフラワーパークや龍潭寺などの7つの庭園から構成されています。

取り組み内容には共通入場券の販売や情報発信のほか、3月から6月にわたって「梅から始まる花のリレー」を通じた大規模な「浜名湖花フェスタ」の開催などがあります。

また、浜松市はインバウンド向けの公式ウェブサイト「iN HAMAMATSU.COM」で、「浜名湖花フェスタ」の情報の多言語配信や、四季折々の浜松湖の様子を映した動画の配信を行っています。

ガーデンツーリズム登録審査の流れ

前述したとおり、「ガーデンツーリズム登録制度」に登録することで、近隣の庭園や自治体、政府と協力し、庭園の魅力を最大限に引き出したり、観光客の利便性の向上につながることが期待されます。

ここでは、ガーデンツーリズムへの登録審査の手順について説明します。

1. 協議会の設立

まず、申請のためには協議会の設立が必要です。協議会は庭園の管理者や構成員が地方公共団体や公的団体とともに設立します。

このとき、ある庭園が単独で協議会を設立し登録申請をすることはできません。

国交省のガーデンツーリズムにおける取り組みは、かならず複数の庭園等が連携したものである必要があります。

2. 「庭園間交流連携促進計画」の作成・申請 

協議会の設立ができたら、次は「庭園間交流連携促進計画」の提出する必要があります。計画書は、地方整備局等を通じて国土交通署に提出・申請します。

国交省が発表した「庭園間交流連携促進計画申請の手引き」によると、計画書の内容には、以下の9つの内容の記載が必要です。

  • 計画の名称
  • 計画の将来像(ビジョン)
  • 取り組みの対象範囲
  • 計画のテーマ
  • 取り組みを構成する庭園
  • その他計画の実施に当たって必要な事項
  • 実施する事業と実施体制
  • 具体的な事業一覧表
  • 登録申請の頭紙

作成した「庭園間交流連携促進計画」は、地方整備局など経由して提出します。

3. 有識者による審査

協議会が作成した「庭園間交流連携促進計画」をもとに、外部有識者による審査が行われます。

審査基準は「庭園間交流連携促進計画申請の手引き」によると、以下となります。

  • 地域の環境や歴史を反映した各庭園等に共通するテーマが設定されていること
  • 「ガーデンツーリズム」を通して実現を目指す地域の活性化等の将来像(ビジョン)が定められていること
  • 構成庭園等がテーマに適合していること
  • 庭園等が公開されており、各施設に一般的な交通機関でアクセスできること
  • 庭園等の管理者が明確であること
  • 事業がテーマに適合し、庭園等及び地域の活性化につながるものであること
  • 事業が、計画性があり、一定の継続性を有していること
  • 庭園等の管理者等による協議会が組織されていること
  • 協議会へ地方公共団体その他の公的団体が含まれていること、または協議会の会議へ地方公共団体その他の公的団体が参画していること

審査の過程でヒアリングや現地確認が実施される場合もあります。

認可が降りた場合は都市局長が登録し、登録した「庭園間交流連携促進計画」は国交省のHP等で公表されます。

国交省が推進する「ガーデンツーリズム」

ガーデンツーリズムは、歴史的価値を有する庭園や植物園、公園をめぐるツーリズムの形です。

ガーデンツーリズム推進の取り組みは国をあげて行われており、国交省は2019年に「ガーデンツーリズム登録制度」を創設しました。

これに申請し、登録されることで、イベントの開催やプロモーションなど国内外へ対するアピールに関して、国のサポートが得られるようになり、地方の観光業会にとって大きな助けとなります。

また、登録の際には、複数施設での取り組みになることや、宿泊や交通などの関係事業との連携が生まれることで、地域全体での活性化が見込めることも利点です。

日本の庭園は海外からの評価も高く、訪日外国人の間でも人気の観光スポットとなっており、アフターコロナの観光コンテンツの一つとして期待できるでしょう。

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<参考>

国交省:ガーデンツーリズムの推進

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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