新型コロナウイルスの感染拡大により、今年は世界中で外出規制や海外渡航自粛などが発生しました。
日本では今後、東京オリンピック・パラリンピックの開催等を見据え、インバウンド需要の回復に期待がかかっています。政府は、外国人観客に対し、入国後14日間の待機を免除する方向で検討している状況です。
なかでも、日本と距離も近く、2019年まで多くの観光客を受け入れてきており、リピーター率は約87%にものぼる台湾市場の回復に期待が高まります。
本記事では、台湾における現在の新型コロナウイルスの感染状況や感染対策、国内旅行需要のトレンドをふまえ、アフターコロナの訪日意欲について紹介します。
データでわかる訪日台湾人観光客
インバウンド施策をしていく上ではターゲットとなる方々がどのような特性や国民性を持っているのかを知るのは非常に重要です。このページでは台湾人は国として国民性としてどのような特徴や特性を持っているのか、訪日台湾人は日本国内でどのような行動を取っているのかを実際のデータを元に紐解いていきたいと思います。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
台湾の現在の新型コロナウイルスの感染状況
海外からの渡航者などを除く台湾域内の新規感染者は、4月13日以降、7か月以上ゼロをキープしています。1日の感染者数は、4月以降ほぼ一桁に抑えられている状況です。
専門家のなかでは、早期に入境禁止措置を講じたことや海外渡航規制の厳格化が、台湾で感染拡大を押さえることに成功した鍵となったという声が挙がっています。
さらに、厳格な接触者追跡システムや、テクノロジーを活用した検疫隔離措置、マスク着用の徹底なども、感染数を抑えた要因として指摘されました。
台湾の現在のトレンドは?
台湾社会の現状として、SNSと政治、国内旅行需要に関する3つのトレンドを紹介します。
SNS:海外旅行に「行ったつもり」になれる国内のスポットが話題に
台湾・苗栗県のホテル「馥藝金鬱金香酒店」は3月18日、Facebookにて、県内で海外旅行気分が味わえる観光地を紹介し、4,564いいね!と3,503のシェア数を獲得しています。
投稿では、苗栗県にあるニュージーランドのホビトンに似たスポットや、日本の鎌倉高校駅前を連想するようなスポット、韓国チェジュ島のミカン畑に似たスポットなどを画像付きで紹介しました。
InstagramなどのSNSでも、実際に苗栗県の各スポットを訪れた台湾人の投稿が多く見受けられ、国内旅行の新たな形として話題になりました。
台湾で「日本そっくりスポット」が大混雑…「聖地」への憧れがコロナ禍で加速
いま台湾では、新型コロナウイルスの影響で海外旅行ができないなか、「行ったつもり」旅行がブームとなっています。 台湾の苗栗県にあるホテル「馥藝金鬱金香酒店」は、Facebookで「県内の観光地だけで世界旅行が楽しめる」といった投稿をし、大きな反響を呼びました。 今回は、台湾の「行ったつもり」旅行ブームについて、Facebookや
政治:公共の場所でのマスク着用義務化へ
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えたとされる台湾ですが、陳時中衛生福利部長は18日、対象スポットにおけるマスクの着用を12月1日より義務化することを発表しました。
インフルエンザの流行などが予想される冬場は、医療機関の負担増加が懸念されることが背景としてあります。
対象スポットは、駅のホームやバス停、公共交通機関の車内に加え、デパートや映画館といった商業施設のほか全8大箇所です。
マスクの着用を拒否した人には、最高で1万5000台湾元(約5万5000円)の罰金を課すということで、再び厳格な規制を講じる姿勢がうかがえます。
国内旅行需要:海外旅行気分を味わう「離島旅行」がトレンドに
台湾では、引き続き海外渡航が自粛されていることから、国内旅行需要が高まっています。
現在人気となっているのが、離島旅行です。離島旅行では、飛行機や船で移動するなど、台湾域内を旅行しながら海外旅行気分を味わえるため、コロナ禍の海外旅行欲を満たす旅行スタイルとして、人気を集めました。
台湾では、このように海外旅行に出たつもりになることを「偽出国」と呼んでいます。
エバー航空傘下のユニー航空によると、同社が運行する台湾の離島を結ぶ路線の搭乗者数は、2020年7月8月ともに延べ42万人と、昨年同時期50%増を記録しました。
離島旅行なかでも特に人気の旅行先が「馬祖列島」です。観光客が島民と交流しながら、島の伝統文化や特産物、島の生活などのディープな体験ができるツアーを造成しました。
台湾のオンライン旅行代理店「ezTravel(易遊網)」では、馬祖列島を訪れるツアーの売上が、昨年同時期から90%増加するなど、大きな話題となっています。
台湾の旅行会社「雄保旅遊(ライオンボビートラベル)」によると、これまで台湾域内での旅行は、日帰りや1泊2日などの短期旅行が主流でしたが、コロナ禍で観光地でのんびり過ごす滞在型の旅行商品が人気になったとしています。
台湾人が熱をあげる「微出国」「偽出国」とは?つのる日本旅行への想いを受け止める様々なプランが出現
新型コロナの世界的な感染拡大から、海外旅行へ自由に出かけられなくなった今、2019年の訪日観光客数第3位と親日度が高い台湾では、画期的なプランが登場しています。日本へ旅行に行けない代わりに、台湾域内で日本旅行気分をあじわえるホテルプランが話題です。今回は、今台湾で注目されている「微出国」「偽出国」というホットワードをふまえ、ウィズコロナ時代の台湾人の訪日意欲について解説します。関連記事「台湾で最も予約困難」星のやグーグァン目次台湾国内で日本旅行気分を満喫できるホテルプランとは台湾人の外国旅...
訪日台湾人はいつ戻る?台湾人の訪日意欲とは
日本インバウンド・メディア・コンソーシアムは2020年4月、台湾のインターネットユーザー450名に訪日旅行に関する意識調査を実施しました。
新型コロナウイルスが収束し、旅行が可能になったときの訪日旅行への意欲について、回答者の約54%が「台湾政府が安全宣言を出したら行ってもよい」と回答しました。
一方で、2番目に多かった回答が「一年以内は行かない」であり、割合としては約21%に上りました。このような結果から、台湾人の慎重さや安全志向がうかがえます。
インバウンド向けプロモーション支援などを手がけるペイサー株式会社も2020年4月、中国人と台湾人の計878人を対象に、アフターコロナの訪日旅行に関する意識調査を実施しました。
新型コロナウイルスの収束後に日本へ旅行したいと回答した台湾人は88%に上っており、依然として高い訪日意欲が見受けられる結果となりました。
日本・台湾間では9月8日より、ビジネス目的での往来は再開しています。駐在員などの往来が可能となったことで、経済活動の回復が期待されています。観光客の受け入れはいまだ具体的な目処は立っていませんが、ビジネス目的での往来再開は、アフターコロナの出入国制限緩和に向けた第一歩といえるでしょう。
アフターコロナの台湾人の高い訪日旅行需要獲得へ
台湾は、7か月にわたり台湾域内での感染者数をゼロに抑え、国内旅行需要が高まりを見せるなど、世界的にも旅行需要の回復が進んでいる例といえます。
海外旅行気分を味わえる「偽出国」が話題になっていることから、アフターコロナの海外旅行需要もうかがえます。
訪日旅行への意欲も比較的高いことから、アフターコロナの台湾人観光客の再誘客に向けた、情報発信の継続が求められるでしょう。
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<参考>
・JETRO:「新型コロナ禍」でも域内旅行が活況の台湾、東部や離島も好調
・PR TIMES:【台湾人最新訪日意識調査】アフターコロナの訪日台湾人リピーターは行きたい場所に行く!
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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