京都市観光協会は11月30日、2020年10月のデータ月報を公開しました。
本調査では、京都市内における日本人と外国人、それぞれの延べ宿泊客数をはじめ、客室稼働率、客室収益指数などのデータに基づき、京都市内の観光業界の現状と今後の展望について予測しています。
2020年10月のデータによると、10月の日本人延べ宿泊者数は前年同月を上回るなど、回復の傾向をみせました。一方で外国人延べ宿泊者数は、現在外国人観光客の入国が制限されていることから、7か月連続でほぼゼロに近い数字が続いているのが現状です。11月以降は、観光需要に回復の兆しがみえるものの、新型コロナウイルスの感染急拡大に警戒が強まっており、依然として厳しい状況が続いています。
本記事では2020年10月のデータをふまえ、感染再拡大によって懸念される今後の観光宿泊事業への影響や、11月以降の外国人に対する入国制限の緩和、そして観光業界の今後について解説します。
≪注目ポイント≫
・日本人延べ宿泊客数は2019年9月以来初めて前年同月を上回る
・外国人延べ宿泊客数は7ヶ月連続でほぼゼロに近い数字が続く
・11月以降は需要回復の兆しがあるも、感染の再拡大に警戒が必要
京都の日本人宿泊数、前年5割まで回復:Go To効果か【京都市観光協会 データ月報】
京都市観光協会は8月31日、2020年7月の月報にて市内宿泊施設のデータを発表しました。本調査では、京都市内における延べ宿泊者数や外国人比率、客室稼働率、平均客室単価、客室収益指数のデータをもとに、京都市内の観光業の現状と今後の動向を予測しています。2020年7月のデータでは、日本人延べ宿泊客数が前年同月の5割まで回復した一方で、外国人延べ宿泊客数は4か月にわたり「ほぼゼロ」の状態が続いていることが明らかになりました。市内宿泊施設の客室稼働率も微増傾向にはありますが、依然として厳しい状況は...
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日本人延べ宿泊者数、前年同月を2.2%上回る
京都市観光協会データ月報(2020年10月)によると、日本人延べ宿泊客数は、前月より26.1ポイント回復しました。前年同月比でも2.2%増と、2019年9月以降初めてプラスに改善しています。
一方で外国人延べ宿泊客数は722人と、前年同月比99.8%減でした。全ての国と地域において外国人の宿泊がほぼゼロとなる状況が、7ヶ月にわたり続いています。
日本人と外国人を合わせた総延べ宿泊客数は、前年同月比54.4%減となりました。5ヶ月連続で前月を上回っているものの、前年と比べると依然として半分程度の水準に低迷している状況です。
外国人比率は0.4%と、前年同月より50.9ポイント減少しており、現在の宿泊客はほぼ全て日本人が占めていることが改めてうかがえます。
客室稼働率は、33.0%だった前月よりも8.0ポイント増加し41.0%でした。2020年4月以降、初めて4割を上回っています。背景としては、10月よりGo To トラベルキャンペーンの対象に東京発着の旅行が追加されたことが考えられます。
前年同月比では50.5%減と、前年同月の約半分まで回復しました。しかし、平均客室単価(ADR)が前年同月比19.8%減となったことから、客室収益指数(RevPAR)は前年同月比60.3%減となっています。
客室稼働が改善している一方で客室単価が下がったため、客室収益指数は前年同月比を前月より2.5ポイント下回りました。背景としては、Go To トラベルキャンペーンを考慮し、客室の本体価格の値引きをした影響が考えられます。
10月の京都駅周辺への来訪者数について、スマートフォンの位置情報をもとに集計したデータによると、前年同月比33.4%減となりました。来訪者数は増加傾向にあるものの、引き続きさらなる改善が期待されます。
11月は紅葉シーズンで需要回復の期待/感染再拡大による影響も懸念
11月は京都観光の繁忙期である秋の紅葉シーズンに入り、Go Toトラベル キャンペーンと合わせて、引き続き日本人宿泊客数の回復が期待されます。
一方で、11月に入り新型コロナウイルスの新規感染者数が増加した影響から、11月24日〜12月15日にかけて、近隣の大阪を目的地とする旅行はGo To トラベルキャンペーンの対象から除外されることとなりました。
さらに大阪市に居住する人に対しても、12月15日までに出発予定のGo To トラベルキャンペーンを利用した旅行は控えるよう呼びかけられています。
大阪への旅行需要が京都に流れる可能性がありますが、近隣の大阪市から訪れる観光客は減少することも考えられるため、依然として京都の観光需要は不安定な状態が続きそうです。このような中でも観光客を受け入れる上では、引き続き感染拡大防止対策に努めるとともに、衛生管理の徹底など、観光客が安心して旅行に来れるような環境づくりが求められます。
11月以降入国制限の緩和も続く/東京オリンピックに向けた外国人受け入れ検討も
政府は、10月1日から全ての国と地域からの入国制限を緩和し、中長期の在留資格を持つ外国人に限り、新規入国を認める判断をしました。感染拡大防止の措置として、入国者数は限定するほか、入国後14日間の待機をすることが条件です。
11月に入ってからも、政府は入国制限の緩和や検討を進めてきました。11月30日には、中国とのビジネス目的での往来を再開させています。
さらに、来年4月からの外国人観光客の受け入れ開始も検討している状況です。2021年夏に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、感染対策を実施した上で、外国人の観客の受け入れ再開を目指したいとしています。
しかし、現在の国際線の航空需要はいまだ伸び悩んでいるため、引き続き国内の宿泊客の受け入れと、感染防止対策の徹底に取り組んでいくことが求められます。
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<参考>
・京都市観光協会:京都市観光協会データ月報(2020年10月)
・Go To トラベル事務局:札幌市又は大阪市を目的地とする旅行に関する当面の措置について
・Go To トラベル事務局:札幌市又は大阪市に居住する方のGo To トラベル事業の利用について
・NHK:入国制限措置 10月1日から全世界対象に緩和 限定的な範囲で
・NHK:中国とのビジネス関係者らの往来再開 空港には防護服姿の人も
・Airstair:外国人観光客の受け入れ再開を本格検討へ 「発熱センター」設置などのコロナ対策で 2021 年 4 月から
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