TISインテックグループのTIS株式会社は、沖縄全域におけるMaaS実証事業「沖縄MaaS」のサービスを12月23日より開始すると発表しました。
沖縄本島の公共交通機関や観光施設などさまざまなチケットをスマホひとつで購入できるようにするもので、車を持たない観光客も観光や移動がスムーズになります。
沖縄はインバウンド市場において人気の観光地であり、2019年は訪日外国人の訪問率が6.1%と、国内で10番目の高さとなっています。
本記事では、沖縄MaaSの導入により、沖縄観光でどのような改善が期待されるのか考察します。
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沖縄MaaSとは?
沖縄では、地域住民の自家用車や、旅行客のレンタカー利用が多く、全国と比較して公共交通分担率が低いため、那覇市中心部などで渋滞の深刻化が課題となっていました。
また観光客にとっては、主要な空港や駅から観光地までの移動手段となる、路線バスや鉄道などの「二次交通」は現金利用がほとんどで、行先や系統が分かりにくいという課題もありました。
「沖縄MaaS」はこのような観光に関する交通課題を解決をめざす実証事業で、国土交通省の「令和2年度日本版MaaS推進・支援事業」に採択されています。
沖縄全域のモノレールやバス、船舶などの乗車券や、観光・商業施設、その他サービスとの連携を目指すもので、さらにAPI連携やリンク連携により、ほかのMaaSアプリやシェアリングサービスといった、さまざまなサービスとの連携を実現します。
TISと沖縄都市モノレール株式会社、株式会社ゼンリン、株式会社琉球銀行の4社と、沖縄県の7つの自治体で構成される「沖縄MaaS事業連携体」が実施しており、交通事業者20社以上、交通事業者以外10社以上、7自治体が参画しています。
沖縄MaaSの実施期間は、2020年12月23日から2021年3月31日までとなっています。
沖縄MaaSのサービス内容:スマホ1つで検索から決済まで
沖縄MaaSで提供されるサービスは、沖縄県内のモノレール・バス・フェリーなどの交通手段や観光施設、商業施設などのさまざまなチケットをスマホひとつで購入できるというものです。
MaaSの必須機能であるルート検索や電子チケットの購入のほか、観光スポットやアミューズメント施設、さまざまなサービスと連携することで、チケット購入、移動、観光までをシームレスに行うことができます。
すでに沖縄本島のゆいレール、カリー観光バス、東京バス、やんばる急行バス、沖縄美ら海水族館、首里城公園でチケットの電子化が行われており、今後利用場所を増やしていく予定としています。
一部事業者は沖縄MaaS専用のチケットを提供しており、 沖縄MaaSでしか購入できない「ゆいレール終日乗り放題乗車券と首里城公園入場券のセット券」など、複数チケットをセットにしたお得なサービスも提供されています。
さらに今後、公式Instagramなどを通じて、沖縄MaaSを使った旅行プランなども紹介していくとしています。
観光庁の2021年度予算が決定:総額では前年比1.55倍、DXなど観光再生に向け新規予算計上も
日本政府は12月21日、2021年度の観光庁関連の予算案を閣議決定しました。2020年度第3次補正予算では、GoToトラベル事業の延長に1兆311億円が計上されました。2021年度観光庁関係予算においても、観光再生に向けて新規予算が計上される一方、インバウンド関連予算では減少がみられる項目もあります。本記事では2021年度観光庁関係予算の概要について解説します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対...
令和3年度観光庁関連予算案で「公共交通利用環境の革新等」に注力
観光庁も公共交通機関利用環境の改善に注力する姿勢を示しており、令和3年度観光庁関連予算案において「公共交通利用環境の革新等」として12億4,000万円の予算が計上されています。
訪日外国人旅行者の移動手段の選択肢を充実させるため、二次交通において多様な移動ニーズに対応する新たな交通サービスの創出の促進を目指すとともに、観光地の交通機関についてウェブサイト等で検索できるようデータ化の取り組みを支援するとしています。
「MaaS」は「Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)」の略で、これまで個別に行われていた公共交通機関の経路検索や予約・支払いなどをひとつのサービスとして統合する新しい交通システムの概念のことです。
平成31年には、国土交通省も「日本版MaaS」に取り組むことを発表しており、同年の予算には「新モビリティサービス推進事業」として3.1億円が計上されました。
MaaSの分類として、国土交通省は「大都市型」、「大都市近郊型」、「地方都市型」、「地方郊外・過疎地型」、「観光地型」の5つを挙げており、地域別モデルの検討が進められています。
「観光地型」においては、観光客の回遊性の向上と、訪日外国人の観光体験の拡大・向上を目指すため、新たなモビリティサービスとして、多様な観光客ニーズに対応した交通サービスの提供や、宿泊施設・目的地との連携、複数観光地間でのサービスローミング機能の提供などが考えられています。
具体的には、地域内交通機関フリーパスや、宿泊施設と観光施設、交通サービスを一括で予約・決済できるサービス、観光地に到着してすぐ荷物を預けられるよう事前予約できるサービスなどが挙げられています。
2020年度第3次補正予算案、東京オリンピックコロナ対策に850億円計上:開催はどうなる?ホストタウンの今・IOCの動き
政府は12月15日、2020年度第3次補正予算案を決定し、スポーツ庁は東京オリンピック・パラリンピックの新型コロナウイルス対策費用として850億円を計上しました。日本国内をはじめ欧米諸国などでは、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大が顕著となっており、今後の開催可否の判断に注目が集まっています。本記事では、東京オリンピックのホストタウンの現在の取り組みをふまえ、大会開催をめぐるIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長と東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長の発言を振り返り、...
インバウンド業界におけるMaaSの推進にも期待
インバウンドに人気の観光地である沖縄は、旅行者にとっての交通の不便さが問題視されていました。
今回の「沖縄MaaS」の実証により、今後の沖縄観光における交通の利便性向上が期待されます。
現時点では沖縄MaaSは国内観光者向けですが、今後インバウンド業界においてもMaaSの推進が期待されるでしょう。
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<参照>
国土交通省:令和2年度 日本版MaaS推進・支援事業38事業について
沖縄MaaS事業連携体:沖縄MaaS公式ウェブサイト
IoT News:観光型MaaSが観光地での体験を変える
国土交通省:日本版MaaSの実現に向けて
国土交通省:地域別モデルの検討について
PR Times:沖縄全域におけるMaaS実証事業である「沖縄MaaS」のサービスを開始
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