【日本百貨店協会】11月の免税売上26億まで回復:一人あたりの購入単価は500%増加

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12月22日、日本百貨店協会・インバウンド推進委員会は、2020年11月免税売上高・来店動向の速報を発表しました。

11月の訪日外客数は56,700人と前年同月比では97.7%減となりましたが、実数としては前月の27,400人から2倍以上増加し、大幅に回復しました。

背景には11月より全世界を対象にした、中長期の在留資格を持つ外国人の入国再開をはじめ、韓国や中国とのビジネス目的の往来再開などがあると考えられます。

これにともない、百貨店の免税売上高と購買客数は前月より微増しましたが、10か月連続でマイナス傾向と厳しい状況が続いています。

一方で、一人あたり購入単価は大きく増加しています。

《注目ポイント》

  • 免税総売上高は前年同月比89.3%減の約28億円、購買客数は同98.2%減の約7,000人
  • 前月比では免税総売上高、購買客数ともに微増
  • 一人あたりの購買単価は前年同月比約500%となる約38万円に

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2020年11月の免税総売上高は約28億円:前年比89.3%減

2020年11月の免税総売上高は約27億9,000万円で前年同月比-89.3%となり、購買客数は同-98.2%となる約7,000人でした。

ビジネス関係や留学生の入国規制緩和を受けて、11月は中国や台湾からの来日客がわずかに増え、免税売上高と購買客数は前月より微増となりました。

一方で、観光目的の来日客数は依然少なく、 免税売上高と購買客数は10か月連続でマイナスが続いています。

免税購買客数および免税総売上高動向:訪日ラボ作成
▲免税購買客数および免税総売上高動向:訪日ラボ作成

コロナ後の免税売上推移

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、百貨店の免税売上は2020年2月から徐々に減少していきました。

6月には5月の3.5倍、約26億8,000万円まで売り上げが回復したものの、その後は前年比90%前後の減少が続き、20億円前後で横ばい状態が続いています。 

一人あたり購買単価は前年同月比約500%に

一方で、11月の一人あたり購買単価は約38万円で、前年同月比約500%と大きく増加しています。

これ以前から、7月は約23万7,000円(前年同月比271.7%)、8月は約31万1,000円(362.2% )、9月は約38万6,000円(487.2%)、10月は約42万円(549.6%)と増加傾向が続いています。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で観光客数が減少し、免税売上も減少するなか、一人あたりの購入単価は増加しており、まとめ買いが増えていることがうかがえます。

一人あたり購買単価が増加している背景の一つには、海外渡航が制限されている今の中国の「リベンジ消費」の需要を受け、ソーシャルバイヤーが活発化した可能性も考えられます。ソーシャルバイヤーとはいわゆる「代理購入者」のことで、中国にいる消費者の代わりに海外の商品を購入し、転売する際の手数料を収益にしています。

中国語では 「代購(ダイゴウ)」「海淘(ハイタオ)」 と呼ばれ、学生や主婦などさまざまな年齢層の人が、個人または法人化してソーシャルバイヤーとして活動していています。

ソーシャルバイヤーとは|代理購入・市場規模・中国市場へのアプローチとして必要な4つの理由を解説

ソーシャルバイヤーとは、一般消費者が必要としている海外商品を代理で購入し、購入手数料を上乗せして販売することで利益を上げる「代理購入者」を指します。ソーシャルバイヤーの代表例として、中国人の転売でしょう。中国市場において、様々な日本ブランドの製品は多くのニーズがあります。そのため、このソーシャルバイヤーの存在が中国市場と日本製品の橋渡しになると期待されています。この記事では、ソーシャルバイヤーについて、またソーシャルバイヤーがインバウンド市場で注目される理由・日本製品の販売に貢献する理由を...

新型コロナウイルスの感染拡大で越境EC市場が拡大

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、越境EC市場は拡大傾向にあります。

中国の商務部が11月3日に発表した「2020年第1~3四半期インターネット小売市場発展報告」によれば、中国の2020年第1~3四半期のインターネット小売額は、前年同期比9.7%増の8兆65億元(約120兆975億円、1元=約15円)にのぼりました。

越境ECについては、第1~3四半期の越境EC小売輸入額は前年同期比17%増(金額は未発表)となっており、国・地域別の割合では、日本が16.3%でトップとなっています。

米国が15.1%、オーストラリアが8.9%と続き、商品別では、化粧品(32.7%)、食品(24.4%)、アパレル(12.9%)の順となっています。

一人当たり単価上昇続く

新型コロナウイルス感染拡大はいまだ収束のめどが立たず、百貨店の免税売上は依然として厳しい状況が続いています。

2020年11月の免税売上は、ビジネス・留学目的での中国・台湾からの来日客がわずかに増えたものの、免税売上高と購買客数は減少傾向が続いています。

一方で一人あたり購入単価は前年同月比約500%と大きく増加しており、まとめ買いが増えた背景に、ソーシャルバイヤーが活発化している可能性もあります。

2019年に中国で施行された電商法により、ソーシャルバイヤーに対する規制は強まっていますが、百貨店の免税売上高における一人あたり購入単価は増加傾向が続いており、今後もその動向が注目されます。

<参照>

日本百貨店協会:2020年11月 免税売上高・来店動向【速報】

JETRO:第1~3四半期のインターネット小売額は約1割増の8兆元超え

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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